インプラント治療前・治療後の疑問

インプラント手術後の過ごし方と注意点。食事や運動などのガイドライン

インプラント手術後(主に手術当日)の注意点)

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

インプラントの手術が終わったあと、手術当日に注意すべきことが何点かありますので、ご説明します。インプラントは外科手術が必要なため、手術後はどのように過ごしたら良いのか不安になる方も多いと思います。基本的には普通にお過ごしいただいても大丈夫ですが、控えて頂きたいことが何点かありますので、ぜひご一読ください。

インプラント手術後の食事について

インプラント手術後1回目のお食事は麻酔が切れてから

インプラント手術時の麻酔は3~4時間程度で切れますが、麻酔が完全に切れるまでは唇が痺れる、唇の感覚がない、唇が腫れているように感じるなど、感覚が鈍くなっていますのでお食事は危険です。術後初めてのお食事は、麻酔が完全に切れて口の中の感覚が戻ってきてからにしてください。

それまでにお腹がすいたら、野菜ジュースやゼリー飲料、スープ、甘酒などの飲み物を摂取しましょう。更に、麻酔が切れるまでは熱いものも避けた方が安全です。

麻酔が効いている時に食事をすると、唇や頬の内側をガリッと噛んでしまって血が出たり、口内炎になる可能性がありますので、麻酔が完全に切れるまでの間は食事を控えるようにしましょう。

麻酔が切れてお食事が出来るようになったら、麺類やおかゆなど、やわらかいものを中心に食事をしましょう。また、インプラントをした部位とは逆の歯で噛むようにしましょう。

インプラント手術当日のアルコールは出来るだけ控える

アルコール禁止

麻酔が切れたらお食事が出来ますが、アルコールの摂取は控えてください。お酒を飲むと血流が良くなり、インプラント手術後の傷口の出血が止まりにくくなったり、腫れや炎症を起こしやすくなるためです。出血などによって傷の治りが遅くなる場合もあります。

手術当日は痛み止めや化膿止めのお薬をのんでいただきますので、アルコールを同時に摂取することは避けた方が安全です。

インプラント手術後のセルフケアについて

インプラント手術当日の歯みがき

手術当日は、食後に簡単にうがいをして口全体をきれいにしましょう。ただし強くうがいをすると傷口から出血することもありますので、うがい薬をお口の中にいきわたらせる程度にします。

翌日は食後は少し念入りにうがいをし、食事以外の時も時々うがいをしましょう。水のうがいや、リステリン、イソジン等殺菌の効果があるものをお使いいただくと良いと思います。

歯磨きについては、手術した部分を避けるようにして、それ以外の歯は歯ブラシできちんと歯垢が取れるようにしっかりと磨いてください。手術した部分には触れないように気をつけましょう。舌で触れるのも刺激になり、手術した部分から出血したり感染や炎症を起こしたりして治癒を遅らせる可能性があります。

インプラント手術後の運動、入浴について

インプラント手術当日の運動は控えましょう

インプラント手術後は、ウォーキングや室内での腹筋、スクワットなどの軽い運動は2~3日の間は控えましょう。スポーツなどの激しい運動は、1週間程度は避けていただいた方が、腫れや炎症を起こすことなく傷口が治りやすくなります。

インプラント手術当日の入浴はシャワーのみに

手術当日は湯船につからず、シャワーのみにしましょう。お風呂につかると、アルコールと同じように血行が良くなって出血や炎症が起こりやすくなります。

血の巡りが良くなることは避けるというのがポイントです。

インプラント手術後の仕事などの日常生活について

インプラント当日は安静に

手術当日は安静にリラックス

手術当日は、出血や腫れが起こっていることがあるため、出来るだけ安静にリラックスしてお過ごしください。翌日からはデスクワークなどの軽いお仕事なら可能です。

増骨の処置をした場合は殆どのケースで腫れが伴いますし、身体を動かすと出血や腫れがひどくなることがありますので注意が必要です。

疲労や寝不足にならないように

また、疲れや睡眠不足があると、免疫力が低下して細菌に感染しやすくなったり、傷が治りにくくなりますので、疲労が残るようなことは避けましょう。

このような注意点は、手術後に患者さんに直接お話させていただいており、ツール(印刷物)をお渡ししますので、ご安心ください。

インプラントと喫煙について

禁煙マーク

インプラント治療のためには、出来るだけ喫煙をやめていただくことが望ましいです。

ヘビースモーカーの方の場合、インプラント体が骨と結合しにくいという臨床結果が出ています。

どうして喫煙がインプラントに良くないかといいますと、喫煙することによって体内に取り込まれたニコチンが強い血管の収縮を起こしたり、血流を阻害して血行が悪くなるような働きをしたり、白血球の機能障害を起こすと言われています。これらのことが合わさってインプラント体と骨との結合がしにくくなり、手術の際の傷の治りも遅くなります。

インプラントが骨と結合しなければ、ぐらぐらした義歯になってしまいます。これはインプラントの失敗を意味していますので、普段喫煙される方も、インプラント手術前と手術後の一ヶ月間は禁煙するようにお願いしています。

タバコは歯周病にも良くないと言われていますので、健康のためには出来ればインプラント治療の間だけでなく、ずっと禁煙していただくことが望ましいです。

インプラント手術後にこんな症状が出たら注意!

以下のような症状が出た場合は早めに歯科医院にご連絡ください。

  • 痛み止めを飲んでも痛みが続く
  • 痛み止めを飲んだら下痢や湿疹がおこった
  • 下唇の感覚が戻らない
  • 鼻から血や膿が出る
  • 出血が止まらない
  • 大きく腫れている

痛み止めのお薬が身体に合わない場合は、薬を服用してしばらくするとお腹が緩くなることがあります。術後の気になる症状には個人差がありますが、腫れや出血などの辛い症状が続く場合は手術した部位に感染が起こっている可能性があるため、なるべく早く受診してください。

インプラントの安全性について

歯のイメージ

せっかくインプラント治療をして快適に食事ができるようになっても、もし壊れてしまったら・・と、不安に思われる方が多くおられます。インプラントはまだまだ新しい治療法で、今後どうなるかわからないと思われている方も多いです。

確かにインプラントの技術は最先端治療で、まだまだ新しい分野と言えるかもしれませんが、長年にわたる研究と多くの臨床データによって確立された治療法で、世界の五十カ国以上で治療が行われています。

長年の研究の積み重ねによって、安全性が高く強固な、現在のインプラントの構造が生まれました。そのため、インプラント本体が折れて骨がダメージを受けるということはありません。インプラント本体の上に取り付けられている上部構造も、セラミックで作られているため、とても丈夫です。

必ず何年持つという言い方は出来ないのですが、スウェーデンのアデル教授によって「90パーセント以上の方が15年以上安定して使用している」という内容が発表されており、殆どの方がインプラントを安定して使い続けているというデータが数多くあります。

また、当院では、インプラント本体は10年間、上部構造は5年間の保証期間をもうけておりますので、安心して治療を受けていただくことが出来ます。

インプラント手術当日の過ごし方と注意点に関するQ&A

インプラント手術後の初めての食事はいつから可能ですか?

初めての食事は、麻酔が完全に切れて口の中の感覚が戻ってきてからにしてください。

インプラント手術当日にアルコールは摂取してもよいですか?

アルコールの摂取は控えてください。血流が良くなり、出血が止まりにくくなったり、腫れや炎症を起こしやすくなる可能性があります。

インプラント手術当日の歯磨きの注意点はありますか?

手術した部分を避けて、他の歯はきちんと歯垢が取れるようにしっかりと磨いてください。

まとめ

リラックス

インプラント手術当日の注意点や過ごし方をご説明しました。インプラント手術をした部位の痛みや腫れは通常殆どの場合、1週間程度でおさまります。気になる症状があったり体調が悪い状態が続くときは我慢せずに歯科医院にご連絡ください。処置によって不快な症状を改善できることがあります。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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