インプラント周囲炎と歯肉炎の類似点

現在では多くの患者さんがインプラント治療を受けておられ、インプラント治療が可能な歯科医院もどんどん増えています。数年前にインプラント手術の危険性についてテレビや雑誌で取り沙汰されましたが、その後、インプラント手術が安全に行われるようになるにつれ、インプラント治療後のメンテナンスの重要性が議論されるようになってきました。

インプラント周囲の骨が細菌感染によって吸収されるインプラント周囲炎にかかっている患者さんが増えており、どのようにしてそれを予防し、また対処するかが今後の歯科医療の大きな問題となってきています。

インプラント周囲炎にかかってしまうと、歯周病と比べてインプラント周囲の骨は急速に吸収されてなくなっていきます。歯周病がすすむと歯が抜けてしまうように、インプラント周囲炎が悪化するとインプラントが抜けてしまうのです。そのため、歯科医院ではインプラント治療後の患者さんに対して定期的にメンテナンスに通うように呼びかけています。

さて、ここでインプラント周囲炎と歯肉炎の類似点等についてみていきましょう。

粘膜炎


動物実験やヒト生検標本から、インプラント周囲粘膜の炎症と歯肉炎が良く似ていることが確認されています。さらに歯肉やインプラント周囲粘膜辺縁部の結合組織が細菌に反応して起こる炎症は、同じパターンをたどり、2つの病変の炎症性細胞の組成も類似しています(図6-7)。
歯肉炎と粘膜炎は治癒して元に戻る状況であり、炎症は適切な手当やメンテナンス等の感染管理手段の対策をとることで完全に消し去る事ができます。

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インプラント周囲炎


インプラント周囲炎は粘膜炎とは対照的に、歯周炎とは大きく異なる特徴があります(図8-9)。
歯周炎で起こる炎症は、歯肉の上皮化結合組織部位に限定されており、1mm幅の密な結合組織ゾーンによって歯槽骨から分離されています。
さらに、ポケット領域はポケット上皮が最根尖側で歯根面と接触しているため、ポケット内の最近のバイオフィルムを遮断し、直接触れないようになっています。

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インプラント周囲炎もまた、細菌が増殖するポケットが存在するという点では、同じです。
しかし、歯周炎のポケット上皮とは対照的にインプラント周囲炎の上皮はポケット全体を覆っていません。その結果、ポケット内の根尖側から3分の1の炎症組織は覆われておらず直接バイオフィルムと接触してしまっています。

歯周炎とのもう1つの相違点は、インプラント周囲炎の炎症の広がり方です。
歯周炎ではその病変は結合組織ゾーンで歯槽骨から分離されていますが、インプラント周囲炎の病変は、骨表面に近接した位置まで広がります。疾患の治療のための方針を選択する際、歯周炎とインプラント周囲炎とのこれらの違いを理解することが重要になります。

インプラント周囲炎を放っておくことのないように注意しましょう。