インプラント周囲組織の検査

インプラント周囲組織の検査は、インプラントを長持ちさせるために、インプラント患者のメンテナンスとフォローアップに必須です。

 

インプラント周囲組織の臨床検査において適用される方法は、歯科衛生士による歯周病の検査において使われる方法に似ています。

 

プロービングとは、先端に目盛りのついた針のような器具を用いて歯周ポケットの深さを測ることで、歯周病の進行状況を知るために最も有効な検査方法です。

 

インプラント周囲組織の検査においてもプロービングは重要な評価の一つであリ、プロービングによるポケット深さ(PPD)の評価だけではなく、プロービングによる出血(BoP)の確認は、更に重要です。

 

インプラント周囲組織と歯周組織のプロービングは多くの点で類似しており、適切な力の大きさでプロービングをした場合、健康な組織と罹患組織を区別する上で確実で信頼できる方法です。

 

インプラントと天然歯の周囲の健康な組織をプロービングすると、プローブはインプラント周囲粘膜/歯肉の抵抗にあい、ポケット内のプローブの根尖方向への進入寸法は接合上皮の垂直的な寸法と一致します(図3-4)。

 

しかし、炎症組織のプロービングではプロープが上皮よりも根尖部に到達します。

 

これは炎症の程度により異なります(Schou et al.2002)。

 

 

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インプラント周囲の粘膜と歯肉

インプラント周囲粘膜と歯はどのような関係にあるのかを見ていきましょう。

 

インプラントの粘膜貫通部を囲む軟組織のことを、インプラント周囲粘膜と呼んでいます。

 

この粘膜の構造は、多くの点で天然歯の周囲の歯肉にある粘膜の構造と共通部分があります。

 

天然歯とインプラントに隣接して軟組織の厚みをコントロールする生物学的幅径の概念以外に、これら2種類の組織には、根本的な違いも存在しています。

 

即ち、天然歯の歯根はセメント質によリカバーされており、歯根の長軸に垂直に走行するコラーゲン線維によって周囲の硬組織と軟組織に付着しています(図1)。

 

インプラントは天然歯とは異なり、セメント質が無いために、歯の生物学的・機械的付着と同じようにインプラント表面にコラーゲン線維が付着することはできません。

 

インプラント周囲粘膜ではコラーゲン線維は異なる方向に走行しておリ、インプラント表面に沿った組織中ではコラーゲン線維はインプラントの長軸に平行に走行しています(図2)。

 

それでも、インプラント周囲粘膜のバリア上皮と結合組織により形成された生物学的付着は口腔環境に対する有効な軟組織シールを提供します。

 

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軟組織と硬組織のインテグレーション

インプラントの軟組織と硬組織のインテグレーションは、どのように行われるのでしょうか。

 

歯科インプラントの硬いチタンの金属面と軟らかい骨とがくっつくのは、手術で穴をあけられた骨の傷が徐々に治っていく過程で起こります。

 

骨に穴をあけ、インプラントを埋め込む手術によって患部には組織反応が起こりますが、それは2~3日以内に初期の肉芽組織を作るために、脈管構造と多数の炎症性細胞によって浸透する血餅を形成します。

 

治療が進んでいくにつれて、肉芽組織は骨形成を起こすために結合組織に変わり、その組織内で骨形成が生じることで、オッセオインテグレーションが起こり、インプラントと骨とがしっかりと結合します。

 

粘膜治癒では、インプラントに沿ってバリア上皮が形成され、この上皮の根尖側で結合組織が形成されて、チタン表面とのインテグレーションがなされ、そのインテグレーションにより上皮の深部進行を防ざます。

 

バリア上皮・結合組織とインプラントの境界面は、インプラント周囲の粘膜の一定の生物学的幅径を確立します(Berglundh & Lindhe 1996)。

 

インプラントと硬組織・軟組織のインテグレーションは、通常は数週間の治癒を必要とします。

 

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サボート治療-インプラント治療の成功のカギ

インプラント治療を成功させるための要素はいくつか考えられます。
基本的には外科手術の方法と、インプラントコンポーネントの生体親和性が、インプラント埋入後の治療のゆくえを決定づけます。

 

さらにインプラントを将来にわたって長持ちさせるという視点では、インプラントと生体との間のインテグレーションが良好な状態で維持されていることが要求されます。

 

患者さんは誰もがインプラントが長期にわたって安定したインテグレーションを維持することを願っておられますが、稀に口腔内の細菌がインプラント周囲組織に悪影響を与え、インテグレーションを破壊する場合もあります。

 

その結果、インプラントがぐらついたり、歯ぐきが腫れたり、痛みが出たり、最悪の場合はインプラント自体が骨から抜け落ちてしまうことにもなりかねません。

 

このような病変を防ぐことが、インプラントを長持ちさせる鍵といえます。
そのためには、メンテナンスにおける歯科医院での十分なサポート体制が必要となります。

 

代表的なインプラント周囲組織の病変にはインプラント周囲炎があげられますが、それを見つけるにはどうしたら良いか、どのように診断するか、そして予防と治療に関しても、大変重要な事柄です。

 

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