インプラント周囲炎の危険因子

歯周炎にかかりやすい患者は、かかりにくい人に比べるとインプラント周囲炎の危険がより高いと考えられます(Heitz-Mayfield 2008)。

 

ミュータンス菌が歯につくと、当分を分解した時に出る酸によって歯が溶けてむし歯になります。

 

インプラントの上部構造自体は人工物ですので、当然むし歯にはなりません。

 

しかし、インプラントにプラークがつくことによって、インプラントの周囲に炎症が起こります。

 

それを防ぐためには、すべてのインプラント患者にメンテナンス期間における十分なフォローアップとサポート治療が必要です。

 

特に歯周炎にかかりやすい患者には、インプラント周囲炎を防ぐためにフォローアップ期間中、包括的な感染管理を実施すべきです。

 

インプラント周囲炎は歯周炎と同様に非喫煙者よりも喫煙者においてより頻繁に起こりますので、注意が必要です。

 

臨床研究と実験で報告されているようにインプラント表面性状はインプラント周囲炎の追加危険因子です。

 

表面的な粗さだけでなく表面組成も、インプラント周囲炎の発生と進行に影響を与えるようです。

 

インプラント支持補綴物のデザインもインプラント周囲疾患の別の危険因子になる可能性があります。

 

インプラント周囲炎の発症を防ぐためにも、歯科医師や歯科衛生士による感染管理手順はしっかりと守られなければなりません。

 

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インプラント周囲炎の発生頻度

インプラント周囲疾患の発生頻度を報告している研究は、数編しかありません(Zitzmann & Berglundh 2008)。

 

入手可能な研究において、1本以上のインプラントでインプラント周囲炎が起こった患者の割合は28%-56%と、大きな開きがあります。

 

また、疾患の広がりと重篤度は患者により異なっていて、約10-15%のインプラント患者が数本のインプラントで重篤な骨喪失を伴う顕著なインプラント周囲炎が現われています。

 

インプラント周囲炎の発生頻度に関する現在のデータの大半は、一つのインプラントシステムにより治療された患者から得られたものですが、この疾患は一般的なもので、すべてのタイプのインプラント周囲で起こる可能性があります。

 

インプラントは、何らかの原因で歯がなくなり、なくなった歯の代替として用いられます。

 

日本人が歯を失う原因の7割はむし歯か歯周病といわれていますが、年齢によってその内容は変わってきます。40歳まではむし歯が抜歯原因の第1位となっていますが、40歳を過ぎた方はむし歯よりも歯周病が抜歯の主な原因となるといわれています。

 

むし歯と歯周病は歯にくっついた歯垢(プラーク)によって引き起こされるもので、インプラント周囲炎もまた、同じです。

 

歯に対する適切なプラーク・コントロールが、インプラントを長持ちさせることにもつながります。

 

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インプラント周囲疾患の定義と診断

インプラント周囲粘膜炎と歯肉炎は大変良く似ており、多くの特徴が一致しています。

 

両方の状態は元に戻ります。

 

歯の周囲の歯周疾患は、歯肉炎と歯周炎の2つに分類されます。

 

歯肉炎は歯肉の炎症を指し支持組織の喪失の兆候はないが、歯周炎は歯肉の炎症に加え付着と骨の喪失により特徴づけられます。

 

インプラント周囲組織で炎症によって起こる病変は、総合してインプラント周囲疾患と呼ばれます。

 

天然歯の歯周疾患の分類に従うと、インプラント周囲疾患も2つに分けられます。

 

インプラント周囲粘膜炎は歯肉炎、インプラント周囲炎は歯周炎に相当します。

 

即ち、インプラント周囲粘膜炎は粘膜での炎症を示す状態で、インプラント周囲炎はそれに加え支持骨にも影響を及ぼします(Lindhe & Meyle 2008)。

 

インプラント周囲粘膜での炎症の発見は、プロービングによる出血と排膿の特定が必要です。

 

プロービングポケット深さ(PPD)は、インプラント周囲の場所によって異なる場合がありますので、プロービング時出血(BoP)の補助的な検査と考えられています。

 

しかし、ポケットの深さが6mm以上の部位は何らかの炎症が起こっており、注意深く検査すべきです(図5)。インプラント周囲炎の診断には、レントゲンによる辺縁骨喪失の確認も必要です。

 

この場合は、インプラント埋入後早期に起こる骨の再構築と、その後インプラント周囲で発見される支持骨の喪失を区別することが重要です。

 

これらのことを考慮すると、インプラント周囲の骨レベル変化を見落とさないためにも、補綴物装着直後に比較用のレントゲンを撮ることが必要です。

 

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