インプラント治療前・治療後の疑問

インプラントが臭くなるのはどうして?

インプラントが臭くなるのはどうして?

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

インプラントが臭い場合は、歯科医に相談し、原因を特定して正しい治療法を受けることが重要です。歯周病にかかっている場合は、インプラントにとっては大敵ですし、残っている天然歯にとっても歯の寿命を縮める可能性があるため、直ぐに治療に入る必要があります。

インプラントが臭くなる理由とは?

臭い

お口の中の臭いは、細菌が原因です。細菌が引き起こすお口の病気には、虫歯と歯周病があり、口臭が強い場合は、どちらかが発症している可能性が高いです。

歯周病や歯肉炎の場合、歯茎が腫れて炎症が起こり、その部分に細菌が繁殖します。細菌が悪臭を出す場合もありますが、膿が出て臭うという場合もあります。ただし、歯周病で歯ぐきに膿が出るのは、かなり歯周病が進行していますので、直ちに治療が必要です。

臭いの原因として他に考えられるのは、インプラントの周囲の歯に汚れが付着している場合や、インプラントと歯の間に隙間が出来て汚れがたまっている場合です。

汚れの中には臭いを出す細菌が増えますので、インプラントが臭いと感じる場合もあります。

インプラントの周囲が歯周病になると大変危険

インプラント周囲炎

インプラントの周囲の歯茎が歯周病菌によって炎症を起こし、歯周病と同じような症状が出ることを「インプラント周囲炎」といいます。

インプラント周囲炎は、インプラントがダメになる一番の理由ですので、インプラント治療を受けた方は全員が気をつけなければいけません。

インプラント周囲炎の症状

インプラント周囲炎には以下のような症状があります。

  1. 歯茎の腫れ、出血
  2. 歯茎が痩せる
  3. インプラントと歯茎の間の溝が深くなる
  4. インプラントの周囲の歯茎から出血したり、膿が出る
  5. インプラントがグラグラし始める
  6. インプラントが抜けてしまう

インプラント周囲炎は、細菌の感染によって歯茎が炎症を起こします。強い臭いが発生するのは4の血や膿が出ている段階のときです。膿が臭う段階では、インプラント周囲炎はかなり進行しており、直ぐに治療を始めなければなりません。

歯周病と同じように、初期の段階では自覚症状が殆どないために、インプラント周囲炎にはなかなか気づけません。症状が出はじめると、かなり進行していることが考えられます。

インプラントによる口臭を防ぐにはどうしたらいい?

歯みがき

ご自宅で出来ることとしては、毎日の歯みがき等のセルフケアを正しい方法で行うことです。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使って、出来るだけ歯垢などの汚れを取り去り、原因となる細菌の数を減らすことです。

外出先や就寝前にフッ素配合のマウスウォッシュ(洗口液)でうがいをすることも、臭いを防ぐための効果が期待できます。

奥歯の一番奥側、歯と歯の間の隙間、歯と歯茎の間(歯周ポケット)は特に歯垢が残りやすい場所ですので、丁寧にケアを行いましょう。

アバットメントの結合部分が臭う場合

インプラント治療は、まず顎骨にインプラント体を埋め込み、その上にアバットメントというパーツを取り付けて、上部構造(被せ物)とアバットメントにネジや接着剤で固定します。

アバットメントを固定しているネジが緩んでいたり、ズレていたりすると、その部分に汚れがたまって細菌が繁殖して臭いが発生することがあります。

この部分のトラブルは、患者さんご自身ではなおせませんので、インプラントのメンテナンス時に、担当の歯科医師に処置をしてもらいましょう。

セルフで口臭チェックしてみよう

ご自身で簡単に出来る口臭チェックの方法をご紹介します。

  1. 唾液の臭いは大丈夫?
  2. コップやビニール袋に息を閉じ込めてみよう
  3. 口臭チェッカーを使ってみよう

唾液の臭いは大丈夫?

ご自分の指で舌の上や歯と歯ぐきの溝部分などを触ってみましょう。指に付いた唾液のにおおいを嗅いでみて、唾液が臭い場合は、口臭が発生している可能性があります。

コップやビニール袋に息を閉じ込めてみよう

コップやビニール袋に息を吹き入れて、においを嗅いでみましょう。臭いと感じたら、口臭が発生している可能性が高いです。ただし、朝起きてすぐは口臭が強い時間帯ですので、においを強く感じる場合があります。

口臭チェッカーを使ってみよう

市販の口臭チェッカーを使って息がにおっているかどうか調べてみましょう。

インプラントが臭くなる原因に関するQ&A

インプラントが臭くなる主な原因は何ですか?

インプラントが臭くなる主な原因は、歯周病や歯茎の炎症による細菌感染です。また、インプラント周囲の汚れや隙間による細菌繁殖も原因として考えられます。

インプラントの臭いを感じた場合、どのような対策を取るべきですか?

インプラントの臭いを感じた場合は、まず歯科医に相談し、原因を特定して適切な治療を受けることが重要です。歯周病の治療やインプラント周囲の清掃、メンテナンスを行うことで臭いの改善が期待できます。

インプラントによる口臭を予防するためには、どのようなケアが必要ですか?

インプラントによる口臭を予防するためには、日常的な歯みがきやデンタルフロス、歯間ブラシを使用して歯垢や汚れを除去することが重要です。また、フッ素配合のマウスウォッシュでうがいをすることや定期的な歯科検診、メンテナンスも効果的です。

まとめ

インプラント治療後に臭いが発生する原因は様々ですが一番多いのがインプラント周囲炎によるものです。その他に、アバットメントが緩んでいる場合もあります。いずれにしても、放っておくと更に問題を引き起こす可能性がありますので、すぐに歯科を受診しましょう。

インプラントが臭くなる原因は、主に口腔内での微生物の活動に関連しています。研究によると、口臭や不快な匂いの約90%は口腔内で発生し、特に舌の後部、歯周ポケット、歯間スペース、不完全な修復物、デンタルインプラント、義歯、膿瘍などが発生源となり得ます。この状態は、一時的な口腔乾燥によって促進されることがあります。口臭は、口腔内の揮発性硫黄化合物(VSC)のレベルに基づいて間接的に、または人間の臭気判断者によって直接測定されることが最も一般的です。【Sterer, Rosenberg, 2011

また、別の研究では、ハリトーシス(口臭)が口腔内で発生する不快な臭いとして定義されており、インプラント周囲疾患、歯周疾患、口腔内感染症、咬合周囲疾患、歯肉包頭炎、粘膜潰瘍、食物や破片の埋没、唾液分泌量の減少などが原因であることが示されています。舌は口臭の主要な発生源です。【George, 2014

これらの研究は、インプラントが臭くなる原因が、口腔内の微生物による有機基質の分解によって生成される揮発性化合物、特に揮発性硫黄化合物によるものであることを示しています。インプラントの清潔を保つこと、定期的な歯科検診、適切な口腔衛生習慣が口臭の予防に不可欠であることが強調されています。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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