インプラント治療前・治療後の疑問

インプラントを長持ちさせるための注意点を教えて

インプラントの長持ちのための治療後の注意点を教えて

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

インプラントを長持ちさせるためにはいくつかの注意点があります。インプラントの長持ちのために気をつけなければいけないことをご説明します。

インプラントの長もちの為に:手術直後からの痛みや腫れへの対応

インプラント手術後の痛みや腫れについて

インプラントを長持ちさせるために、手術直後から痛みや腫れへの対応に気をつけて過ごす必要があります。

インプラントは外科手術が必要ですので、手術後に麻酔が切れたあとは、多少の痛みや腫れを伴うことがあります。痛みや腫れには個人差があり、その程度はインプラントの埋入本数によっても違います。骨造成の処置を行った場合は腫れが起こりやすいです。

歯科医院では、インプラント手術後、患者さんに鎮痛剤と抗生剤とうがい薬が処方されます。痛みやうずくような感じ、腫れなどが起こった場合は、決められた時間や回数を守って服用するようにしてください。もし痛みが止まらなかったり、出血が止まらないようなことがあれば、すぐに来院して処置を受けていただくよう御案内しています。

インプラントの長もちの為に:手術後数日間の過ごし方

インプラント手術後の数日間の過ごし方

インプラント手術を終えてからの数日間の過ごし方も、インプラントを長持ちさせるために影響があります。この期間は、インプラント埋入のために切開した歯茎の治癒を妨げないような生活を心がけましょう。

まず、手術後数日は、血行が良くなることは極力避けて、傷が塞がるのを待る必要があります。手術時の傷からの出血や化膿を防ぐため、お酒や激しい運動、マッサージを受けることなどを避け、入浴はシャワーで済ませるようにして、ゆっくりと身体を休めましょう。

インプラントの長持ちの為に:術後の食事、歯みがき

インプラント体と骨をしっかりと結合させることが、インプラントの長持ちのために避けて通れない重要なことです。

歯槽骨に埋め込んだインプラント体が完全に骨と結合して定着するために要する期間は、一般的に下顎で手術後3ヶ月、上顎で半年といわれています。その間をどのように過ごせばインプラント体が長期にわたって骨としっかりと結合して安定するのか、ご説明します。

この期間中に気をつけなければならないのは、毎日行う食事と歯磨きについてです。

インプラント手術後の食事について

インプラント手術後の食事について

手術直後は出血が止まらなくなるのを防ぐために、血行が良くなるアルコールの摂取を控えることは、既に述べました。その後も、腫れや痛みを起こさないために、アルコールや香辛料などの刺激物は避け、熱いものや冷たいものも控えるようにして、患部を刺激しないようにしましょう。

固いものは患部を傷つける可能性がありますし、口を大きく動かして噛まなければならないものも、避けた方が良いです。手術の傷口が治ってくるまでは、なるべく柔らかい食べ物を選びましょう。患部を傷つけないことが、インプラント体が安定し、インプラントを長持ちさせることにも繋がります。

インプラント手術後の歯磨きについて

インプラント手術後の歯磨きについて

インプラント手術後は、鎮痛剤や抗菌剤と同時にうがい薬も処方されます。手術した部位の洗浄は軽くやさしいうがいで済ませます。決して強いうがいをしないよう、出来る限り患部は安静に保ち、出血や感染から患部を守りましょう。

他の歯には歯ブラシを使っても良いのですが、歯磨き粉は使わずに水を使って歯ブラシをやさしくあてるようにします。患部に近い部分には歯ブラシをあてないように注意しましょう。約2週間程度はこのような方法でお口のケアを行ってください。

インプラントの長持ちの為に:噛み合わせの調整が大切

インプラント後のかみ合わせの調整について

最終的な上部構造の取り付けの時には、噛み合わせの調整を十分に行い、噛んだ時に違和感がないかを確かめます。しかし噛み合わせの調整はこの時だけで終了するのではなく、治療後に約3ヶ月ごとに受けていただく定期健診でも、診ていくことになります。

シニアになると、お口の中の状態が若い頃とは違ってきます。もちろん個人差はあるのですが、具体的には、治療をした歯が増え、歯と歯茎の間に若い頃にはなかった段差が生じ、噛む力が弱り、親知らずや歯を失った部分などの影響で歯並びも変化します。歯周病による影響も考えられます。

インプラントの上部構造は主にセラミックを被せますので、天然の歯よりも硬く、周囲の歯の方がすり減りやすい状態になります。それが原因で周囲の歯との噛み合わせにずれが生じることがあり、特に食いしばりや歯ぎしりをする方は、インプラント以外の歯がすり減りやすく、噛み合わせが悪くなってきます。

噛み合わせが狂うと、奥歯の特定の歯に負担がかかるようになり、その歯を傷めることになります。また、歯ぎしりで歯を擦り合わせると歯の根に負担がかかり、インプラント体にも悪い影響が出ます。

このように、インプラントの長持ちのためには、噛み合わせのチェックが大切な要素となります。

インプラントの長持ちの為に:周囲炎を出来る限り防ぐ

インプラント周囲炎

インプラントは人工歯根と人工歯ですので、それ自体の寿命は半永久的ともいえます。ただ、インプラントの周囲の歯茎や骨などの口腔組織は人工物ではありませんので、病気になることもあります。それを防ぐことがインプラントを長持ちさせるための鍵となります。

インプラント周囲炎とは?

天然歯にとっての歯周病は歯周病菌による感染症で、放っておくと歯が抜けてしまう病気です。インプラントの周囲の組織が歯周病にかかることを、インプラント周囲炎といいます。

インプラント周囲炎になれば、インプラント体とせっかく結合した骨が歯周病菌によって溶かされてしまい、グラグラし出してやがて抜けてしまいます。

歯周病は自覚症状が少なく、わかったときにはかなり進行しているやっかいな病気ですが、インプラント周囲炎も、気付いた時には既に手遅れということが起こる可能性があります。

インプラント周囲炎予防のためには定期健診とセルフケア

インプラントの周囲には天然歯のもつ防御機能がありませんので、歯周病菌による感染が早く進行してしまいます。それを避けるために、インプラントの治療後は定期健診を必ず受けるようにしましょう。

歯周病は早期発見で適切な処置を行い、毎日のケアをしっかりすれば治りますので、インプラント周囲炎を不正でインプラントを長持ちさせるためには、歯周病予防の考え方で間違いはありません。

【動画】インプラントの寿命について

クローバー歯科総院長の松本正洋がインプラントの寿命について解説。

インプラントの長持ちのための注意点に関するQ&A

インプラントを長持ちさせるための手術後の食事や歯磨きにはどのような注意点がありますか?

インプラント手術後は、食事において刺激物や温度の極端な飲食を避け、口腔内の患部を刺激しないようにすることが重要です。柔らかい食べ物を選び、傷口を傷つけないように注意しましょう。歯磨きに関しては、うがい薬を使って軽く行い、患部に近い部分は歯ブラシをあてないようにしましょう。

インプラント周囲炎を予防する方法はありますか?

インプラント周囲炎を予防するためには、定期的な健診とセルフケアが重要です。インプラント周囲炎は歯周病菌による感染症であり、インプラント自体は長持ちするものですが、周囲の歯茎や骨などの口腔組織が病気になることで問題が発生します。定期健診で早期発見し、適切な処置を行い、日常的なセルフケアを徹底することで予防できます。

インプラントの寿命に影響を与える食事や歯磨き以外の要素はありますか?

インプラントを長持ちさせるためには、過度な力をかけないことも重要です。特に食いしばりや歯ぎしりをする場合は、周囲の歯に負担がかかり、インプラント体にも悪影響を及ぼす可能性があります。口腔状態の変化にも注意し、定期的な歯科検診を受けることで、インプラントの長持ちをサポートすることができます。

まとめ

インプラントを長持ちさせるためには、インプラント埋入直後からの適切な処置と、毎日の生活に気をつけることが大切です。定期健診はインプラントや口腔内に起こる不具合や炎症を早期発見するために大変重要なもので、早期対処すればインプラントは長持ちします。

インプラントが数年でだめになって後悔することのないよう、インプラント治療後は必ず定期健診を受けていただきたいと思います。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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