インプラントの基礎知識

インプラントのうわものって何?

インプラントのうわものって何?

インプラント治療で必要なうわもの(被せ物)や人工歯根などの部品や治療はすべて保険適用外です。自由診療であるからこそ、被せ物一つにしてもどれを選択すればよいのか戸惑いもあるでしょう。インプラントのうわものの材料の違いや選び方についてご紹介致します。

インプラントのうわものとは

 うわものという言葉は土地の上の建物を指しますので、歯科においてこの言葉は正確ではありません。インプラント治療におけるうわものは、人工歯である被せ物(上部構造)が該当します。歯医者さんでのインプラント治療は、三つの部品を使用し、行われる手術です。

  • 人工歯の被せ物(上部構造)
  • 人工歯根と上部構造を繋ぐ土台(アバットメント)
  • 人工歯根(フィクスチャー)

インプラント治療の流れについて詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。 https://www.kitaosaka-implant.com/article/dentalnews/1927.html

うわもの(被せ物)の材料や値段はバラバラ?

インプラントでのうわものとなる人工歯は、患者さんの歯の色に合わせて作製します。インプラント治療は自由診療制で自己負担が大きく、クリニックによっても取り扱っているメーカーや材料、費用や実績数などは違います。インプラント治療をしている複数の歯科医院へ相談しに行くと、おおよその相場が見えてきます。

明らかに相場より安すぎる医院は、インプラントの材料が実績のある会社の製品ではないケース、歯科医師の経験不足による勉強代として安くなっているケースが多いため、注意が必要です。

うわもの(被せ物)の材料の種類

材料については、歯科医院によって異なりますが、下記の種類を取り扱っている医院が多いです。

  • ジルコニアセラミック
  • オールセラミック
  • ハイブリッドセラミック
  • メタルボンド
  • 金合金

ジルコニアセラミック

噛み合わせにも耐えられる金属に匹敵する強度を持つ材料です。ジルコニウムという素材から作製されているため、金属アレルギーの方も安心して使用でき、変色を起こしません。天然歯の透過性と差がでるため前歯ではなく奥歯に向いている材料です。

オールセラミック

陶器と同じようなポーセレンという材質で、審美性が高く強度もあります。天然歯に近い自然な透過性であるため、前歯に使用しても遜色がありません。ただ、ジルコニアセラミックよりは強度に劣り、いきなり強い力がかかると、割れるなどのリスクがあります。

ハイブリッドセラミック

セラミックと歯科用プラスチック(レジン)を混ぜて作られた材料です。オールセラミックやジルコニアセラミックと比べて、費用を抑えられるのがメリットです。ただ、プラスチックを使用するため、長い期間使用していると、吸水性によりハイブリッドセラミックは変色を起こすのがデメリットです。

メタルボンド(当院では取り扱ってはおりません)

中身は金属を使用し、見える表側の部分はセラミックという材料です。金属を使用しているため、非常に丈夫ですが、金属アレルギーの方には使用できません。また、歯茎が下がると金属の部分が見える可能性があり、見た目の透明感はオールセラミックよりも劣ってしまいます。

金合金(当院では取り扱ってはおりません)

金を主としていくつかの金属成分を混ぜた材料です。金属は腐食を起こさないですし強度もありますが、審美性では大きく劣ります。また、混ざっている金属成分によっては、体内に溶け出すリスクもゼロではありません。

これ以外にもインプラントを2~4本埋入し、磁性アタッチメントという磁石のようなものをインプラントの頭にくっつけて、取り外し式の総入れ歯を顎にしっかりと固定するインプラントオーバーデンチャーや、インプラントの頭にロケーターという留め具をくっつけて総入れ歯を固定するロケーター義歯など入れ歯とインプラントがミックスされた治療もあります。

インプラントを長持ちさせる方法

インプラントは手術で治療を行えば終わりではなく、むしろ、インプラント治療後に、しっかりとメンテナンスをして長持ちさせることができる治療法です。インプラントの周囲で細菌感染が起こらないようにしなければ、インプラントの周囲の歯茎がグラグラと揺れてしまい、噛む時に動揺や脱落が起こるからです。 インプラントや残存歯を長く健康に維持するためには、定期的に歯科医院へ通院しましょう。歯や歯肉、インプラントの状態をメンテナンスでしっかりと確認してもらい、クリーニングを受けることをおすすめします。

インプラントのうわものとはに関するQ&A

インプラントのうわもの(被せ物)とは具体的に何を指しますか?

インプラントのうわもの(被せ物)は、インプラント治療において使用される人工歯の部分を指します。この被せ物は、インプラント(人工歯根)と呼ばれるフィクスチャーと、その上に取り付けられる土台(アバットメント)の上に装着される部分です。被せ物の主な役割は、咬合機能の回復と審美性の向上です。それは天然歯のような見た目と機能を提供し、患者の咬む力に耐えられるように設計されています。材料の選択は、強度、耐久性、審美性、コストなどの要因に基づいて行われます。

インプラントのうわものに使用される主な材料は何ですか?

インプラントのうわものに使用される主な材料にはジルコニアセラミック、オールセラミック、ハイブリッドセラミック、メタルボンド、金合金などがあります。ジルコニアセラミックは非常に強度が高く、金属アレルギーの心配が少ないため、奥歯に適しています。オールセラミックは天然歯に近い透過性を持ち、前歯などの審美性が求められる場所に適していますが、ジルコニアセラミックよりは強度に劣ります。ハイブリッドセラミックはセラミックとプラスチックを混合した材料で、コストを抑えることができますが、長期使用による変色の可能性があります。メタルボンドは金属の内部構造を持ち、耐久性が高いですが、金属アレルギーのリスクや審美性の面で制限があります。金合金は強度があり腐食しにくいですが、審美性に欠けることが欠点です。

インプラントのうわもの選びで注意すべきことは何ですか?

インプラントのうわものを選ぶ際には、材料の種類、審美性、強度、耐久性、コスト、そして自分の健康状態(例えば金属アレルギーの有無)などを考慮することが重要です。また、歯科医院によって取り扱っている材料やメーカーが異なり、それに伴い価格も変わるため、複数の医院に相談し、適切な情報を収集することが推奨されます。特に価格が相場よりも極端に安い場合は、材料の質や医師の経験に問題がある可能性があるため、注意が必要です。患者のニーズと口腔内の状態に合った選択を行うことが、長期的な満足度を高める鍵となります。

まとめ

インプラントでのうわものと言える人工歯について、どの位置の歯なのか、見た目や機能はどんなものか、材料の特徴を理解したうえで、選択しましょう。治療で分からないことがあれば、スタッフや歯科医師へお気軽にご相談ください。手術後もインプラントや残存歯を長く保つことが出来るよう、セルフケアや定期通院でクリーニングでケアをすることが大切です。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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