インプラント治療前・治療後の疑問

インプラントが壊れたときの対処法とは?慌てず行動するためのガイド

インプラントが壊れたときの対処法とは?

インプラント治療は、「第二の永久歯」とも呼ばれるほど、高い耐久性と機能性を誇る治療法です。しかし、どんなに優れた人工歯でも“絶対に壊れない”というわけではありません。

ある日ふと、「あれ、なんだか違和感が…」「硬いものを噛んだ瞬間に音がした」など、突然のトラブルに見舞われることも。

そんなとき、多くの患者さんが最初に思うのは??

「インプラントって壊れるの?」「これってもうダメなの?」「また手術しなきゃいけないの?」という不安。

でも、ご安心ください。

インプラントが壊れたとしても、落ち着いて正しく対処すれば修復や再治療が可能なケースは多くあります。

この記事では、「インプラントが壊れたとき、まず何をすべきか?」という視点から、放置のリスク、再治療の選択肢、注意点などをわかりやすくご紹介します。焦らず、冷静に行動するためのヒントとして、ぜひ最後までお読みください。

インプラントが壊れてしまった!どうすればいい?

インプラント治療後、何年も快適に使っていたのに突然トラブルが起きると、誰しも不安になります。人工物とはいえ、壊れることがあるのは事実です。まず大切なのは「慌てないこと」。壊れた箇所や状況を確認し、適切な対処をすることが将来的なトラブル防止につながります。

インプラントが壊れても、落ち着いて対処することが大切です。

まずは落ち着いて、現状を確認しましょう。

インプラントが「壊れた」と感じる状況は人それぞれですが、以下のような症状がよく見られます。

  1. 被せ物が外れた・取れた
  2. 被せ物やネジが欠けた・割れた
  3. 噛むと違和感がある
  4. インプラントがグラグラしている
  5. 金属音がした、または異物感を感じる

これらの症状があった場合、焦ってご自身で直そうとせず、次の対応を心がけましょう。

やってはいけないこと

接着剤やテープなどで無理やり固定する

そのまま普段通りに食事を続ける

強く磨く、強く噛むなどの無理な力を加える

ネジや部品を捨ててしまう

こうした行動は、かえって状態を悪化させる原因になります。

壊れたパーツがある場合は清潔に保管を

もし、取れた被せ物やネジがあれば、以下の点に注意して保管してください。

清潔なティッシュや袋に包んで持参する

洗浄せず、そのままの状態で歯科医院に持っていく

一見使えなさそうに見える部品でも、再利用できる可能性があります。

できるだけ早めに歯科医院に連絡を!

インプラントは人工歯ですが、土台である骨や歯茎と密接に関わっています。壊れたまま使い続けると、周囲の骨や組織にまで悪影響を及ぼすおそれがあります。

「壊れたかも?」と感じた時点で、迷わず歯科医院に相談しましょう。状況をできるだけ詳しく伝えることで、診察時の処置もスムーズになります。

第一のステップは「慌てないこと」

インプラントが壊れるとショックを受けるのは当然ですが、「まずは落ち着くこと」が最も大切です。自分で直そうとせず、すぐに信頼できる歯科医院に相談することで、被害を最小限に抑え、スムーズな回復につながります。

壊れたからといって、すべてやり直しになるとは限りません。正しい行動が、次のステップへの第一歩となります。

放置するとどうなる?さらなるトラブルのリスク

インプラントの破損を放置すると、周囲の歯や骨、歯茎に悪影響を及ぼす可能性があります。場合によっては、インプラントを除去しなければならないこともあります。早めの対応が、ダメージの拡大を防ぎます。

放置すると、口腔内に悪影響が広がる可能性があります。

放置によるリスク一覧

周囲の骨へのダメージ → 破損部分から細菌が侵入し、骨が炎症を起こすことがあります。

歯茎の炎症や腫れ → 壊れたパーツが歯茎を刺激し、炎症を引き起こす可能性があります。

隣接する歯の移動や噛み合わせの乱れ → インプラントが正常に機能しないことで、周囲の歯列に影響を及ぼします。

噛む力のバランスの崩れ → 片側だけで噛むなど、偏った使い方が口腔全体のバランスを崩す原因になります。

これらのトラブルを避けるためには、「早期発見・早期対応」が最も重要です。違和感を覚えたら、まず歯科医院に連絡しましょう。

実際に起きたケースと対応例

インプラントの破損には、被せ物だけが取れるケースから、インプラント体自体が折れるケースまでさまざまです。ここでは、実際に起きたトラブル例をご紹介します。

壊れ方によって対処法は変わります。事例を知っておくと安心です。

よくあるケース

被せ物が外れた(ネジの緩み)

→歯科医院でネジを締め直すだけで済むケースが多いです。

被せ物が欠けた・割れた

→被せ物の再製作・交換により対応可能です。

アバットメントが緩んだ

→締め直しまたは交換が必要です。

インプラント体(骨に埋まっている部分)が破損した

→再手術や除去が必要になることもあります。

壊れた原因や部位によって処置が大きく変わります。まずは診断を受けることが不可欠です。

インプラントが壊れたときの正しい対処法

壊れた時の対処法

インプラントが壊れたときは、自己判断せずに専門の歯科医院へ連絡することが最善の対応です。無理に触ったり接着剤で留めたりするのは、状態を悪化させる可能性があるため避けましょう。

すぐに歯科医院に連絡し、自己処置は控えることが大切です。

具体的な対処法

壊れた部分を確認し、落ち着いて保存する

→被せ物などが取れた場合は清潔な袋に入れて保管しましょう。

そのまま使用しない

→壊れた状態で噛むと悪化の原因になります。

できるだけ早く歯科医院に相談する

→放置せず、数日以内に受診するのが理想です。

壊れた時の状況をメモしておく

→「噛んだときに音がした」「痛みがあった」などの情報は診断の手助けになります。

このように、壊れたインプラントに対して冷静に対応することが、将来の口腔環境の保護につながります。

再治療・修理の方法と選択肢

壊れたインプラントは、程度に応じて修理や再治療が可能です。最新の技術により、再度の埋入ができるケースも増えています。

壊れた箇所によっては、修理や再埋入が可能です。

選択肢の一例

  • 被せ物の再製作 → セラミックやジルコニア素材で新たに作成。見た目と強度を回復できます。
  • アバットメントの交換 → 連結部分の劣化があった場合に行われます。
  • インプラント体の再埋入 → 骨の状態が良ければ再度インプラント手術が可能です。
  • ブリッジや入れ歯への切り替え → 再埋入が困難な場合の代替治療法です。

インプラントの破損は決して終わりではありません。適切な診断のもとで、再び機能と見た目を取り戻すことが可能です。

まずは歯科医院へ連絡を!

まずは連絡を!

壊れたからといって、すぐに治療費のことを心配したり、放置したりするのはNGです。大切なのは「今どうするか」。信頼できる歯科医院に相談し、現状を正しく評価してもらいましょう。

迷わず、すぐに歯科医院に連絡しましょう。

相談時のポイント

連絡前に壊れた時の状況を整理しておく

可能であれば壊れた部品を持参する

写真を撮っておくと説明がスムーズ

歯科医院では専門的な機器と知識で診断・処置が行われます。「自己判断よりプロの判断」が失敗を防ぐカギです。

まとめ

壊れたときこそ落ち着いて、適切な対応を

インプラントが壊れたとき、焦りや不安にとらわれてしまいがちですが、正しい対応を取ることで多くのケースは再び回復できます。大切なのは次の3点です。

  1. 壊れたらまず歯科医院に連絡
  2. 自己処置をしない
  3. 放置せず、早めの対応を心がける

インプラント治療は長期にわたるお口の健康管理の一部です。壊れたとしても、適切な処置とケアを行うことで、再び快適な生活を取り戻せるでしょう。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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