インプラント治療前・治療後の疑問

インプラントを長もちさせるためのケアの仕方を教えて

インプラントを長もちさせるためのケアの仕方を教えて

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

インプラント治療が終わったら、インプラントを長持ちさせるためのケアを続けていかなければなりません。それには歯科医院での「定期健診」とご家庭での「セルフケア」が重要です。どのようにすればよいのかをご説明します。

インプラントを長もちさせるためのケアについて

インプラントを大切に長く使うためのケアのポイントは以下の4つです。

  1. インプラントは痛みを感じにくいので注意する・・インプラントは天然歯と違って痛みを感じにくいので、トラブルが起こっていないか注意する必要があります。
  2. 歯茎からの出血があったらすぐに歯科医院へ・・インプラントの周囲に歯間ブラシを使った際に、歯間ブラシに血がついていたら、インプラント周囲炎の可能性がありますので、すぐに歯科医院に行って相談しましょう。
  3. メンテナンス(定期健診)は必ず受けよう・・インプラントを長もちさせるためには、インプラントの周囲に歯垢や歯石がたまらないように、歯科医院でのクリーニングを受ける必要があります。
  4. 歯科医院でのクリーニング後のお口の感じを忘れずに・・歯科医院でクリーニングした後の、歯や歯茎の状態を忘れないように、セルフケアでもある程度は維持できるようにしましょぅ。

インプラント長持ちのためには定期健診+自宅でのケア

インプラント長持ちのために定期健診+自宅でのケア

インプラント周囲炎にならないためには、歯科医院での定期検診とご自宅での丁寧なセルフケアが欠かせません。定期健診ではインプラント周囲の歯茎の状態、インプラント体の緩みなどをチェックし、お口全体の状態もチェック(歯周病検査)して、その後クリーニングを行います。

ご自宅でのセルフケアは毎日の歯磨きが基本になります。この点も天然歯のための歯周病予防と同じです。歯周病で気を付けなければならないのは歯と歯茎の境目(歯周ポケット)にたまった歯垢ですが、インプラントの場合も同じで、インプラントと歯茎の境目は炎症を起こしやすい場所ですので汚れをしっかりと落とします。

歯ブラシだけではお口全体の歯垢の6割程度しか落とせませんので、歯間ブラシやデンタルフロス(糸ようじ)も用いて歯と歯の間、歯と歯茎の間をしっかりお掃除します。しっかり磨いているつもりでも、歯垢が残ってしまっている箇所は、定期健診の際に染め出し液を使ったり、歯科衛生士が目視でチェックしますので、セルフケアの方法を工夫して、磨き残しが減るように改善していきましょう。

歯のケアグッズ

インプラント周囲炎は細菌による感染症ですので、他の歯が虫歯や歯周病にならないように常にお口の中をきれいにしておかなければなりません。お口の中から虫歯菌や歯周病菌だけを殺菌することは出来ませんので、虫歯や歯周病を予防するためには、お口全体の菌を減らすことが大切です。特に歯垢がたまりやすい歯と歯の間や、歯と歯茎の間の溝の部分をきれいにすることが、インプラントや残った歯の長持ちに繋がります。

インプラントを長持ちさせるための生活習慣の改善

インプラントを長持ちさせるための生活習慣の改善

近年、歯周病と糖尿病などの全身疾患に相互関係があることがわかってきました。歯周病予防が糖尿病の発病や悪化を抑制し、逆に糖尿病が改善すると同時に歯周病も改善するというものです。歯周病とインプラント周囲炎はよく似ていますので、全身疾患を悪化させないためにも口腔内をきれいにし、規則正しい食生活を心がけましょう。

また喫煙習慣のある方は、インプラント治療を機にぜひ禁煙することをおすすめします。たばこの煙に含まれるニコチンやタールなどの有害物質は、血管を収縮させ、歯茎に十分な血液がいき渡ることを阻害します。

そのため、ヘビースモーカーの方がインプラント治療をされる場合には、手術後の傷の治りが遅かったり、インプラントと骨の結合が十分に行われないなど、インプラント治療の成功率が多少落ちることもあります。

インプラントを長く良い状態で維持していくためには生活習慣の見直しを行いましょう。

インプラント周囲炎を防ぐことが一番重要

インプラント周囲炎

インプラント体自体はチタンで出来ているため半永久的にもち、変質したり腐食したりする心配はありません。しかし歯磨きなどのケアが十分でないとインプラントと歯茎の間から細菌が侵入して、インプラント周囲の粘膜が炎症を起こし、悪化するとインプラントが骨から抜けてしまいます。

この場合の症状は歯周病と似ており、インプラント周囲炎と呼ばれています。インプラント周囲炎によってインプラントの周囲の歯茎の炎症がどんどんひどくなると、やがて炎症は骨にまで広がり、インプラントを支えている歯槽骨が溶けて歯茎が下がり、インプラント体が歯茎の上に露出して、その後はインプラントがぐらぐらになって抜けてしまうという最悪のコースをたどります。

それを食い止めるために、インプラント治療後はケアをしっかり行っていく必要があります。

【動画】インプラントの寿命について

クローバー歯科総院長の松本正洋がインプラントの寿命について解説。

インプラントを長もちさせるためのケアの仕方に関するQ&A

インプラント周囲炎を防ぐためにどのようなケアが重要ですか?

インプラント周囲炎を防ぐためには、歯科医院での定期検診と自宅での丁寧なセルフケアが欠かせません。歯垢をしっかり落とすために歯磨きと歯間ブラシ・デンタルフロスの使用が重要です。

インプラントの寿命を延ばすための定期健診の頻度はどれくらいですか?

インプラントの寿命を延ばすためには、歯科医院での定期健診は半年に1回以上が推奨されます。3ヶ月毎に定期健診を受けていただくと、歯についた歯垢を除去し、歯石が出来る前にクリーニングできれいにすることが出来ます。定期的な健診でインプラント周囲の状態を確認し、早期に異常があれば対応できます。

インプラントの長持ちを促すための生活習慣の改善にはどのような点が重要ですか?

インプラントの長持ちを促すためには、口腔内の清潔を保つことが重要です。定期的な歯科健診や歯科医院でのクリーニングを受けると共に、規則正しい食生活を心がけ、喫煙を避けることが大切です。

まとめ

インプラントを長もちさせるためのポイント

インプラントの寿命を長く保つためのケアの方法をご説明しました。歯科医院での定期健診と毎日のお口の中のケアはインプラントを長持ちさせるために欠かせないものですが、生活習慣を見直して全身の健康管理もぜひ行ってください。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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