インプラントやマグネットデンチャーはどんな時に選べばいいの？
噛む力・体への負担・将来の変化への対応力など、何を優先したいかによって適した治療は変わります。インプラントにもマグネットデンチャーにも、それぞれ向いている状況があります。
この記事はこんな方に向いています
- 歯を失ったあと、どの治療を選べばよいか迷っている方
- インプラントに興味はあるが、不安や抵抗感がある方
- 入れ歯が合わず、別の選択肢を探している方
この記事を読むとわかること
- インプラントとマグネットデンチャーの考え方の違い
- それぞれが向いている具体的なケース
- 後悔しにくい治療選択の視点
目次
インプラントとマグネットデンチャーは何が違うの？
【図解】インプラントとマグネットデンチャーの違いインプラントは顎の骨に人工の歯根を埋め込み、その上に被せ物を装着する治療です。一方、マグネットデンチャーは残っている歯根や人工歯根を活用し、磁石の力で入れ歯を安定させる方法です。両者は「固定の考え方」が大きく異なります。
固定するか、支えて外すか、という違いがあります。
主な違い
- インプラント
→ 顎の骨に直接固定し、天然歯に近い感覚を目指します。 - マグネットデンチャー
→ 磁石の力で入れ歯を安定させ、取り外しが前提です。
これらを総括すると、インプラントは「噛む機能の再現」を重視した治療、マグネットデンチャーは「体への負担と調整のしやすさ」を大切にした治療といえます。どちらが優れているかではなく、目的が異なります。
しっかり噛めることを重視するなら、どちらを選ぶべき？
食事の満足感や噛む力を最優先に考える場合、インプラントが候補に挙がることが多くなります。顎の骨と一体化する構造のため、ズレにくく、力をしっかり伝えられるからです。
噛む力重視ならインプラントが有利です。
噛み心地の違い
- インプラント
固定式のため、硬いものでも安定しやすいです。 - マグネットデンチャー
従来の入れ歯より安定しますが、固定力には限界があります。
これらを踏まえると、「食事を以前と同じように楽しみたい」「噛む力を落としたくない」という希望が強い場合は、インプラントの特性が合いやすいといえます。
インプラントやマグネットデンチャーがおすすめのケース
歯を失ったといっても、前歯を1本失った方もおられれば、奥歯を連続で複数本失った方、飛び飛びに歯を失った方など、口腔内の状態は様々です。
また、歯が1本も残っていない方もおられます。歯を何本失っていようと、患者さんお一人おひとりにぴったりの治療法はあります。
入れ歯を使っているが満足できていない、または入れ歯を使っているが残っている歯への負担が気になる、入れ歯の見た目が悪くて気に入らないなどの患者さんにお勧めなのが、インプラントやマグネットデンチャー、そしてインプラント・マグネットデンチャーです。これらはより快適な噛み心地と違和感のなさを追求した新しい治療法です。
患者さんのお口の状態やご希望に合わせて、これらの治療方法を選択して用います。そうすることによってどんなお口の状態にも対応出来るようになりました。
失った歯の本数によって治療法を選ぶ
失った歯が1～2本の場合はインプラント
失った歯が1～2本の場合はインプラントによる治療がおすすめです。奥歯でも前歯でも、飛び飛びに数本のみ歯が抜けているようなケースでも、インプラントの良さが失った歯を補います。
失った歯がもう少し多い場合はマグネットデンチャーやインプラント・マグネットデンチャーの部分入れ歯ができる
失った歯がもう少し多い場合は、マグネットデンチャーやインプラント・マグネットデンチャーによる部分入れ歯が歯をうまく補って咬合を回復させてくれます。
部分入れ歯では入れ歯を歯に固定するためにバネを歯にひっかける必要があります。しかしマグネットを使った部分入れ歯では、バネが必要なくなります。磁石の力で入れ歯を固定するため、バネなしでピッタリとした入れ歯に出来ます。
歯が2～3本しか載っていない場合もマグネットデンチャーやインプラント・マグネットデンチャーでできる
歯を多く失ってしまって2～3本しか残っていない方にもマグネットデンチャーはおすすめです。歯が残っているものの状態があまり良くないというケースでは、その歯を削って歯根にマグネットを取り付けてマグネットデンチャーにすることが出来ます。
もし歯根だけしか残っていないという場合でも、歯根に磁石を取り付けることで総入れ歯タイプのマグネットデンチャーにも出来ます。
総入れ歯の方にはインプラント・マグネットデンチャー
歯が一本もない総入れ歯の方は、インプラント・マグネットデンチャーでかなり快適になります。
上顎の場合はインプラントを4～6本埋入してマグネットを取り付け、総入れ歯を安定させます。下顎の場合は2～4本のインプラントで総入れ歯が安定します。
安定感だけでなく、外れにくいのもマグネットデンチャーの特徴です。歯茎が退縮しているために入れ歯がどうしても安定しなかった方も、インプラント・マグネットデンチャーなら安定させることが出来ます。
外科手術に不安がある場合はどう考えればいい？
インプラント治療には外科手術が伴います。そのため、持病がある方や手術そのものに抵抗感がある方にとっては、大きな心理的ハードルになることがあります。
手術への不安が強いなら慎重な検討が必要です。
不安を感じやすいポイント
- 全身状態への影響が心配
- 手術後の腫れや痛みが不安
- 長時間の治療が負担になる
これらの点を総括すると、外科的な負担をできるだけ避けたい方には、マグネットデンチャーという選択肢が現実的になるケースがあります。治療への安心感も、選択基準の一つです。
将来の体調変化や年齢を考えた選び方はある？
歯科治療は「今」だけでなく「将来」を見据えることが大切です。年齢を重ねると、体調や通院状況が変わる可能性があります。
将来の変化を見据える視点が重要です。
将来を考えたポイント
- インプラント
→ 固定式で快適ですが、将来メンテナンスが必要です。 - マグネットデンチャー
→ 調整や作り替えが比較的しやすい特徴があります。
これらをまとめると、「長期的な体調変化に柔軟に対応したい」「介護や通院負担を減らしたい」と考える方には、マグネットデンチャーの考え方が合う場合もあります。
お手入れや通院のしやすさで選ぶなら？
どちらの治療も、治療後のケアは欠かせません。ただし、管理方法や通院の考え方には違いがあります。
続けられるケアかどうかが大切です。
お手入れの考え方
- インプラント
→ 毎日の歯磨きと定期的な健診が重要です。 - マグネットデンチャー
→ 取り外して清掃できるため、管理しやすい面があります。
これらを総括すると、「自分の生活習慣の中で無理なく続けられるか」が大切です。どんなに優れた治療でも、ケアが続かなければ意味を持ちません。
インプラントやマグネットデンチャーの選び方に関するQ&A
インプラントやマグネットデンチャーは、失った歯を補うための歯科治療法です。インプラントは人工の歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工歯を取り付ける方法です。一方、マグネットデンチャーは磁石を使って入れ歯を安定させる方法で、部分入れ歯や総入れ歯に適用できます。
インプラントやマグネットデンチャーは、入れ歯の不満や負担を感じる方、歯を多く失っている方、歯の状態が悪い方などにおすすめです。失った歯の本数によって、適切な治療法を選ぶことが重要です。
適切な治療法を選ぶ際には、患者さんのお口の状態や希望に合わせて判断します。失った歯の本数や残っている歯の状態、口腔の特性などを考慮して、インプラントやマグネットデンチャー、またはそれらを組み合わせるインプラント・マグネットデンチャーを選択します。
まとめ
結局、自分に合った治療はどうやって決めればいい？
インプラントとマグネットデンチャーは、優劣で選ぶものではありません。噛む力、体への負担、将来の変化、通院や管理のしやすさなど、複数の視点を重ねて考える必要があります。
正解は一人ひとり違います。
判断のための視点
- 何を一番大切にしたいか
- 不安や負担に感じる点は何か
- 将来どうありたいか
これらを総合的に考えることで、「自分にとって納得できる選択」が見えてきます。歯科治療は生活の質に直結するものです。だからこそ、治療法そのものよりも「自分の価値観に合っているか」を大切にして選ぶことが、後悔しにくい選び方といえるでしょう。
医療法人真摯会
