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飛行機の機内で歯が痛むのはなぜ?気圧の変化による気圧性歯痛の原因と対策

飛行機の機内で歯が痛むのはなぜ?気圧の変化による気圧性歯痛の原因と対策

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

飛行機に乗ると歯がズキッと痛むことがあるのはなぜでしょうか?

飛行機の機内で歯が痛むのは、上空で起こる「気圧の変化」と、お口の中に潜んでいたトラブルが関係しているためです。この痛みは「気圧性歯痛」と呼ばれ、普段は症状がなくても、飛行機という特殊な環境で突然現れることがあります。

飛行機の機内で歯が痛むのはなぜ?【マンガ】飛行機の機内で歯が痛むのはなぜ?

この記事はこんな方に向いています

  • 飛行機に乗るたびに歯の違和感や痛みを感じたことがある方
  • 旅行や出張を控えていて、事前にできる対策を知りたい方
  • 痛み止めでやり過ごしてよいのか不安な方

この記事を読むとわかること

  1. 気圧性歯痛が起こる仕組み
  2. 痛みが出やすい歯の状態
  3. 搭乗前・搭乗中にできる具体的な対策
  4. 痛みが出たときに注意すべきポイント

 

なぜ飛行機に乗ると歯が痛くなるのですか?

なぜ飛行機に乗ると歯が痛くなるのですか?【図解】なぜ飛行機に乗ると歯が痛くなるのですか?

飛行機は上昇・下降の過程で機内の気圧が変化します。このとき、歯の内部や歯の周囲に閉じ込められていた空気が膨張・収縮し、神経を刺激することで痛みが生じます。

気圧変化によって歯の中の空気が動き、神経が刺激されるためです。

歯は一見すると硬い組織ですが、内部には神経や血管が通る空間があります。また、虫歯や詰め物のすき間など、目に見えない部分に空気が残っていることもあります。

上空では気圧が低くなるため、その空気が膨張し、歯の内側から圧力がかかることで痛みとして感じられるのです。

どんな歯の状態だと気圧性歯痛が起こりやすいですか?

気圧性歯痛は「健康そうに見える歯」でも起こることがありますが、特に虫歯や治療途中の歯がある場合に起こりやすくなります。

虫歯や治療中の歯があると起こりやすくなります。

起こりやすい状態には、次のようなものがあります。

  1. 初期の虫歯

      → 表面の穴が小さく、普段は痛みが出にくい状態でも、内部に空間があると影響を受けます。
  2. 詰め物・被せ物のすき間

      → わずかな段差や劣化が、空気の通り道になることがあります。
  3. 神経の近くまで進んだ虫歯

      → 刺激に対して過敏になっているため、気圧変化の影響を受けやすくなります。

これらが重なると、地上では無症状でも、飛行機内で突然痛みが出るケースがあります。

飛行機で痛みが出やすい代表的なケース

気圧性歯痛は、特定の歯の状態があると起こりやすくなります。

以下は、飛行機で痛みが出やすい代表的なケースを整理したものです。

歯の状態 痛みが出やすい理由
初期の虫歯 歯の内部に空間があり、気圧変化で圧がかかりやすい
神経に近い虫歯 刺激に対して敏感な状態になっている
詰め物のすき間 微細な空間に空気が入り込みやすい
被せ物の劣化 密閉性が低下し、圧の影響を受けやすい

これらの状態は、日常生活では症状が出ないことも多くあります。そのため「問題がない」と思っていても、飛行機内で突然痛みが現れることがあります。

痛みは上昇中と下降中、どちらで起こりやすいですか?

多くの場合、上昇時に痛みを感じやすい傾向がありますが、下降時に違和感が出る方もいます。

上昇時に起こりやすいですが、個人差があります。

上昇時は急激に気圧が下がるため、歯の中の空気が一気に膨張します。一方、下降時は気圧が戻る過程で、圧がかかる感覚として違和感が出ることがあります。どちらが強く出るかは、歯の状態や治療歴によって異なります。

上昇時と下降時で起こりやすい症状の違い

気圧性歯痛は、上昇時・下降時で感じ方が異なることがあります。それぞれのタイミングで起こりやすい特徴を整理します。

タイミング 起こりやすい症状 主な理由
上昇時 ズキッとした鋭い痛み 気圧低下で歯の中の空気が膨張
下降時 重だるさ・圧迫感 気圧が戻ることで圧がかかる
巡航中 違和感が続く 圧の変動が完全に落ち着かない

どのタイミングで症状が出るかは、歯の状態によって異なります。痛みの出方そのものが、歯の異変に気づく手がかりになることもあります。

機内で歯が痛くなったらどう対処すればいいですか?

突然の歯の痛みが出た場合、応急的な対応で一時的に和らぐことはありますが、根本的な解決にはなりません。

応急対応は可能ですが、後日歯科医院の受診が必要です。

機内でできる対処としては、次のような方法があります。

  1. ガムを噛む・唾を飲み込む

      → 気圧変化による違和感がやわらぐことがあります。
  2. 市販の痛み止めを使用する

      → 一時的に症状を抑える目的で使用します。
  3. 強く噛みしめない

      → 刺激を増やさないよう注意します。

ただし、これらはあくまで応急的な方法です。痛みが出たということは、歯に何らかの問題が隠れているサインでもあります。

機内で歯が痛くなったときの対処と注意点

飛行機内では歯科的な処置ができないため、できる範囲で痛みを和らげる対応が中心になります。

対処法 期待できる効果 注意点
ガムを噛む 圧の変化による違和感を軽減 強く噛みすぎない
唾を飲み込む 耳・歯周囲の圧調整 効果には個人差がある
痛み止め 一時的な痛みの緩和 根本的解決にはならない
安静にする 刺激を最小限に抑える 放置は避ける

これらはあくまで応急的な対応です。痛みが出た場合は、帰国後や到着後に歯科医院での確認が必要です。

飛行機に乗る前にできる予防策はありますか?

気圧性歯痛は、事前の準備によって防げるケースが少なくありません。特に旅行や出張前の歯科受診は有効です。

搭乗前の歯科健診が最も効果的です。

具体的な対策としては、

  1. 早めに歯科健診を受ける

      → 小さな虫歯や詰め物の不具合を事前に確認できます。
  2. 治療途中の歯を放置しない

      → 仮詰めのままの状態はリスクが高くなります。
  3. 違和感がある歯は必ず相談する

      → 「痛くないから大丈夫」と自己判断しないことが重要です。

気圧性歯痛は、歯からの「そろそろケアが必要です」という静かなサインとも言えます。

搭乗前にできる気圧性歯痛の予防チェック

気圧性歯痛は、事前の準備で防げるケースも多くあります。

搭乗前に意識したいポイントを整理します。

チェック項目 確認する理由
歯科健診を受ける 目立たない虫歯や劣化を確認できる
治療途中の歯がないか 仮詰めは特に影響を受けやすい
違和感のある歯がないか 小さなサインを見逃さないため
旅行日程までの余裕 必要なら治療計画を立てられる

これらを確認しておくことで、「何が起きてもおかしくない」という不安を減らした状態で搭乗できます。

痛みが出た場合、放置しても大丈夫ですか?

一時的に痛みが治まったとしても、原因そのものが解消されたわけではありません。放置すると、次回以降さらに強い症状が出る可能性があります。

放置せず、歯科医院で原因を確認することが大切です。

気圧性歯痛をきっかけに歯科医院を受診した結果、初期虫歯や詰め物の劣化が見つかるケースは珍しくありません。その結果、早期治療につながり、歯を長く守れることも多くあります。

「気圧性歯痛」はなぜ“予兆がないまま”起こるのか?

気圧性歯痛が厄介なのは、事前に分かりにくい点にあります。多くの患者さんが「普段はまったく痛くない」「前日に歯磨きをしても違和感がなかった」と感じています。

その理由は、虫歯や詰め物のすき間が神経に直接触れていない段階では、日常生活では症状が出にくいためです。

しかし飛行機では、

  1. 地上とは異なる急激な気圧変化
  2. 数十分単位で起こる圧の変動
  3. 機内の乾燥による粘膜への刺激

といった条件が重なります。

その結果、これまで沈黙していた歯のトラブルが一気に表面化します。

これは「突然悪化した」のではなく、もともと存在していた問題が、飛行機という環境で可視化されたと考える方が自然です。

治療済みの歯でも安心できない理由

「虫歯は全部治療しているから大丈夫」と考える方も多いですが、気圧性歯痛は過去に治療した歯で起こるケースも少なくありません。

特に注意が必要なのは、

  1. 治療から年数が経過した詰め物
  2. 金属・樹脂の劣化による微細なすき間
  3. 噛み合わせの変化による負担の偏り

といった状態です。

詰め物や被せ物は永久的なものではなく、長い時間をかけて少しずつ精度が落ちていきます。そのすき間に空気や細菌が入り込むことで、普段は問題なくても、気圧変化の影響を受けやすくなります。

そのため、痛みがない=問題がないとは言い切れません。

まとめ

飛行機での歯の痛みは「偶然」ではありません

飛行機内で起こる歯の痛みは、気圧という特殊な環境が引き金になって表面化した症状です。普段は気づかない歯のトラブルを教えてくれる「警告灯」のような存在とも言えます。

旅行や出張を安心して楽しむためにも、搭乗前の歯科健診を習慣にすることが、もっとも確実な対策です。歯の健康管理は、移動中の快適さにもつながっています。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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