
歯科医院でインプラントの手術を行ったあと、うがいをしてもいいのかどうか、うがい薬の特徴についてご説明します。
目次
インプラント手術直後にうがいしてはダメ?

インプラント手術当日は、傷口を安静にしなければなりません。そのため、強いうがいをしないようにしてください。強いうがいをするとインプラント手術後の傷が刺激されて治りが悪くなったり、血がとまりにくくなってしまいます。そのためうがいをなさる時は、軽くゆすぐだけのうがいにとどめてください。
同時に、インプラント手術をした歯の周辺部分はなるべく舌先で触ったりしないようにしましょう。手術後数日間は少しの刺激でも出血しやすい状態になっていますので、気をつけましょう。当院では歯みがきも7~10日間位は控えて頂くようにお話しています。
うがい薬は消毒ができるので傷口に良いのでは?

うがい薬と聞くと「うがいで消毒できるから、口内を衛生的に保てて傷に良いでは?」と、一般的に思われるかもしれません。
うがいは喉本来の防御機能を高めてくれ、洗浄効果や殺菌効果によってお口の中やのどを清潔にしてくれます。更には口臭を防いだり、口腔内の様々な菌を洗い流す効果もあります。
うがいの効用
・適度の刺激が粘液の分泌や血行を盛んにする
・のどに潤いを与え、粘膜の働きが弱まるのを防ぐ
・ホコリなどを粘液とともに上気道から洗い流す
・口腔粘膜への細菌の付着を抑え、定着しにくくする
・のどや口腔を消毒する(うがい薬使用時)
・セキを抑え、タンを除去します。のどの痛みを抑える
・口臭の元になる汚れを除き、口臭の発生を防ぐ
・口腔内を殺菌・消毒し、虫歯を予防する※
・さわやかな後味が、口腔内に清涼感を与え、口臭を抑える※
・かぜの予防効果が実証されている
(出典:サラヤ株式会社)
感染症対策のうがい

うがい薬は効能が違うの?

うがい薬は、ヨード系、アズレン系、第四級アンモニウム塩系などさまざまな種類に分かれていて、そのため、それぞれ特徴が違います。それぞれについてご説明いたしますね。
第四級アンモニウム塩系

第四級アンモニウム塩系は、医院で処方されるネオステリングリーンがこの種類ですね。
ヨード系より殺菌作用は多少劣りますが、文字通り緑色のうがい薬が特徴です。ただ、副作用がヨード系のうがい薬より出にくくなるので、インプラント体を腐食してしまう可能性はありません。治療が遅延することもないので、インプラント治療直後にこのお薬を出す歯医者さんもあると思います。
アズレン系

アズレン系は代表的なもので言いますと、浅田飴AZうがい薬、パブロンうがい薬です。
抗炎症作用が特徴です。口腔内の炎症を抑えてくれるので、口内炎などには作用しますが、ヨード系の持ち味の殺菌作用は期待できません。ただ、ヨード系の弱みである創傷の治癒促進を行ってくれますので、殺菌作用以外はヨード系よりもメリットが多いといえます。
ヨード系

ヨード系は、皆様ご存知と思いますが、イソジンが有名ですね。
イソジンは特徴として強い殺菌作用がありますが、注意点として、甲状腺機能に異常がある方や、造影剤などでアレルギーのある方は使用しないようにしてください。
インプラント手術直後のうがい薬の使用に関するQ&A
インプラント手術直後には傷口を安静に保つ必要があるため、強いうがいは避けるべきです。強いうがいは手術後の傷を刺激し、治りが悪くなったり、血がとまりにくくなる可能性があります。したがって、軽くゆすぐ程度のうがいにとどめるべきです。
アズレン系のうがい薬がインプラント手術後の傷口の治りを促進する効果があります。アズレン系は抗炎症作用が特徴で、創傷の治癒をサポートします。ただし、ヨード系のような強力な殺菌作用は期待できませんので、殺菌が重要な場合は別の選択肢を検討する必要があります。
インプラント手術後には、ヨード系のうがい薬は避けるべきです。ヨード系は強い殺菌作用があるため、インプラント体を腐食する可能性があります。また、甲状腺機能異常やアレルギーのある方は使用しないように注意してください。
まとめ

今回は、インプラント治療とうがいの関係性についてご説明しました。
口腔内の環境でお悩みの際は、第四級アンモニウム塩系のうがい薬が総合的におすすめだとは思います。ただ、市販のうがい薬でうがいを行いたい場合は、担当医やスタッフに相談する事が一番安心できるのではないでしょうか。