インプラント治療前・治療後の疑問

インプラントのインフォームドコンセントについて教えて

インプラントのインフォームドコンセントについて教えて

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

インフォームドコンセントは「説明と同意」という意味で、欧米での医療を中心に広まってきました。インプラント治療におけるインフォームドコンセントについてご説明します。

インプラントのインフォームドコンセントとは?

インプラントのカウンセリング

インプラント治療のための診査・診断を経て治療計画が出来上がったら、実際に治療に入る前に確認しなければならないことが、インフォームドコンセント(歯科医師の十分な説明による同意という意味)です。

どういうことかというと、患者さんが歯科医師の説明に十分に納得したうえで、最終的にご自身で治療の決定を行うというものです。

インプラント治療で確認しておくべきことは?

インプラント治療におけるインフォームドコンセントには、歯科医師から患者さんに説明すべき必要な事項がいくつかあります。

たとえば、

  • インプラント治療とはどういうものか
  • 入れ歯やブリッジなど、ほかの治療法との比較や利点(メリット)・欠点(デメリット)
  • 保険のきく治療ときかない治療について
  • インプラントの寿命
  • インプラントの安全性について
  • 治療期間
  • 治療にかかる費用
  • 手術の内容について
  • どんなインプラントを使用するのか
  • インプラント手術前に必要な治療の有無について
  • 麻酔・痛みや手術後の状態
  • 経過不良のリスクや合併症
  • メンテナンスと術後の管理法、費用 など。

これ以外にも患者さんのケースによってインプラントの治療メニューは変わりますので、ドクターに質問後、検討すべき内容はもっと多いこともあります。

そのほか、インプラントの保証期間とその内容は各医療機関によって異なりますので、しっかり確認しておきましょう。また、治療費用の見積りも必ずもらって保管しておきましょう。

わからないことは何でも聞くべき?

わからないことは何でも聞くべき?

インプラント治療は保険のきかない自由診療で、なおかつ外科手術が必要になりますので、事前のインフォームド・コンセントがとても重要です。もしも治療内容や費用などで不明な点がある場合は、実際に治療に入るまでに納得できるまで確認して可能な限り不安を解消しましょう。

歯科医師の説明に納得できない場合は、まだ手術を受けるべきではありません。ほかの歯科医師の意見をきく、いわゆるセカンドオピニオンを求め、別の歯科医院の先生に相談すると、インプラント治療に関する知識をより深めることが出来ますし、実際に他に最適な治療方法があるかもしれません。

カウンセリングはじっくり時間をかけて行います

カウンセリング

インプラント治療では、まず患者さんは無料の初診相談をお受けいただきます。初診相談では歯のお悩みや見た目のご希望、現在抱えている問題など、かなり多岐にわたるお話を伺い、治療についてのご質問やご要望などもお聞きします。

この際に心がけているのは、じっくりと患者さんのお話をお聞きして、患者さんが治療に求めておられることを詳しく知るということです。患者さんのご希望を十分に理解することが、患者さんのお悩みを解決するための治療計画を作成することに繋がります。

その後、CT撮影などの精密検査を経て治療計画や見積書を作成してご提案します。そして治療内容や治療方針などのご説明や手術の手順、手術の方法等を専門用語は避けて患者さんにわかりやすくご説明して、患者さんからのご質問にもお答えし、最終的にインプラント治療への同意を頂きます。

「すべてお任せします」ではインフォームドコンセントが成り立たない

「すべてお任せします」ではインフォームドコンセントが成り立たない

患者さんから「すべてお任せします」と言われた時も、歯科医師が患者さんに治療内容をご説明して、出来る限り意見のすり合わせをしていくことが重要です。

それは、患者さんが治療内容を詳しく知ったうえで同意して頂かないことには、インフォームドコンセントになっていないからです。もちろん信頼して「お任せします」と言っていただけることは有難いことなのですが、担当医としては、勝手に治療を進めていくわけにはいきません。

現在の歯の状態と、これからの治療のゴールをはっきりとさせ、そのためにどのような治療が必要で、費用はどのくらいかかるのか、治療期間は、外科手術の術式は、と様々なことを知っていただき、インプラントについての知識を得た後で患者さんご自身にその内容に同意していただくことが必要です。

また、技術的なことは難しいからわからないと思われるかもしれませんが、出来る限りやさしい言葉で患者さんにわかるようご説明することを心がけていますので、患者さんは今後ご自分の身体の一部となるインプラントについて出来る限り理解しようという気持ちを持っていただきたいと思います。

インプラント手術の麻酔の種類に関するQ&A

インプラント手術の麻酔はどのような方法が使われますか?

インプラント手術では主に局所麻酔が使用されます。局所麻酔は痛みを伴う処置を行う部分にのみ注射され、手術部位だけが麻痺するため、痛みを感じません。

局所麻酔とはどのような特徴がありますか?

局所麻酔は比較的小さな手術に使用される麻酔で、効いていない部分は感覚があります。麻酔の効果は個人差があり、通常2~3時間程度続きます。

静脈内鎮静法(セデーション)とは何ですか?

静脈内鎮静法は点滴で軽い眠り状態になる麻酔方法で、歯科恐怖症や不安が強い患者に使用されます。局所麻酔と組み合わせて、痛みと精神的な不安を軽減します。

まとめ

インプラント治療は長い期間と費用をかけて行われます。そのため患者さんとドクターの間でしっかりとコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことが大切です。インフォームドコンセント(説明と同意)は患者さんに安心と満足を感じていただくだけでなく、インプラント治療を成功させるためにも必ず必要なものです。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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