
インプラント手術で人工歯根を骨に埋め込む手術の後、仮歯をつけるのか、それとも歯がない状態で過ごすのかについてご説明します。
目次
インプラント手術後の仮歯とは?
インプラント手術後、患者さんが「歯がないままで過ごさないといけないのか?」と心配されることが多いです。実際には、手術後すぐに「仮歯」と呼ばれる一時的な歯を装着するケースが一般的です。仮歯は、審美性や機能性を一時的に補う目的で使用され、インプラントがしっかり骨に固定されるまでの期間を、仮歯が担ってくれます。
仮歯を装着する目的
仮歯の主な目的は以下の通りです。
- 審美性の向上・・仮歯は見た目を整えるため、歯がない状態での不安や不快感を軽減します。
- 機能性のサポート・・仮歯は軽い咀嚼機能を持っており、食事や会話での不便を少しでも解消します。
- インプラントへの保護・・手術後のインプラントが無理な力を受けないよう、仮歯がクッション役を果たします。
仮歯の装着のタイミングと方法
仮歯は、インプラント手術後の骨の癒合を確認し、インプラントが安定している段階で装着します。一般的な流れとしては、次のような手順です。
- 手術当日または翌日・・一部のケースでは、即日に仮歯を装着することも可能です。
- 数週間後・・インプラントが安定するまで数週間を待って仮歯を装着することもあります。
手術当日は前歯や犬歯には仮歯を入れます
一般的なインプラント治療では、手術当日は顎の骨にインプラント体(人工歯根)を埋め込んで修了です。歯茎を切開した部分を一度閉じて縫合し、インプラント体が顎の骨と結合するまでの約1ヶ月半~3ヶ月の間は、そのまま過ごしていただきます。
仮歯は入れる場合と入れない場合がありますので、治療期間中の口元の見た目が気になる方は、仮歯について事前に歯科医と良く相談しましょう。
仮歯を入れない場合は、インプラントを埋めた部分に歯がないように見えますので、前歯や犬歯など、他人から見える歯に関しては、殆どの方がとても気にされます。そこで当院では、見えやすい位置の歯に関しては、仮歯を入れるようにしています。
前歯の場合の仮歯は隣の歯にレジン(歯科用プラスチック)で貼り付けて固定させたり、また、奥歯には入れ歯を入れることも出来ます。歯がない状態で過ごすことはほとんどないようにすることも可能です。どのような仮歯が入るのかについては、周辺の歯などの状態によって異なります。
手術当日に仮歯が入る即時荷重インプラント
手術をしたその日に仮の上部構造を装着して、食べ物を噛むことも出来る「即時荷重インプラント」という方法もあります。この方法で行うと歯のない期間がないので、口元の見た目を気にすることなく、安心して手術を受けることができます。
ただし、即時荷重インプラントは顎骨の大きさや硬さが一定の水準以上でないと出来ません。患者さんの骨質や骨密度が極端に少ない場合などは適応できない場合もありますので、詳しい検査・診断を行って、可能かどうかを判断することになります。
総入れ歯の方や全ての歯を失った方には、即時荷重インプラントの技術を使ったオールオン4という術式があり、4本(または6本)のインプラントで全ての上部構造を支えます。
仮歯の期間中に注意するケア方法
仮歯を装着している期間中は、丁寧なケアが求められます。以下のポイントを意識することが大切です。
- 柔らかい歯ブラシを使用・・仮歯の周囲の歯肉に負担をかけないよう、柔らかめの歯ブラシで優しく磨きます。
- 歯磨き粉の選択・・研磨剤の少ない歯磨き粉を使用し、仮歯の表面を傷つけないようにします。
仮歯が取れてしまったらすぐに受診を!
仮歯はプラスチックで出来ており、もともとそう長く使うようには出来ていません。患者さんの口内の状態や、食いしばりなどがあるかによっても異なりますが、ある日ポロっと取れてしまうことも考えられます。また、擦り減りも早いので、数か月たつと噛み合わせが変わってしまうこともあります。
インプラントの治療は、骨に埋め込んだインプラント体がしっかりと骨の中に固定されるまでに半年程度の期間がかかりますので、その間に仮歯が取れてしまうことも起こり得ます。また、仮歯の表面には汚れがつきやすいため、歯磨きの時にていねいにブラッシングしましょう。
まとめ
インプラント治療では、必要に応じて手術の後に仮歯をおつけします。しかし、仮歯はあくまでも仮の歯ですので、取れたり、すり減ったり、欠けたりすることが考えられます。仮歯に異常が起こったら、すぐに受診しましょう。