
インプラントの手術を受けた後、圧迫感を感じるケースが稀におられます。今日はそのような症状がなぜ起こるかについてご説明します。
目次
仮歯を入れたら圧迫感がある場合はどうすれば良い?

インプラント手術後に仮歯を装着した後で、歯茎が締め付けられるような圧迫感を感じる方がおられます。そのような痛みを感じる方もおられれば、あまり痛みを覚えない方もおられますが、長期間にわたり痛みを覚える方は、一度通院先の歯科医師にご相談ください。
インプラントの上部構造(被せ物)にはスクリュー固定とセメント固定と二種類のタイプがありますが、スクリュー固定の上部構造でしたら、締め付けを少し弱くすると圧迫感を感じなくなることがあります。仮歯の調整を行ってもらいましょう。
また、仮歯という名前ですがインプラントの治療においては、最後に被せる人工歯の基礎となる重要なものです。圧迫感以外にも、噛み合わせに違和感がある方、食事の際に食べ物が詰まりやすくなった方、舌や頬に当たり話しにくくなった方は、早めに通院をして症状を主治医やスタッフに伝えましょう。仮歯が隣の歯を圧迫すると、健康な隣の歯が動いてしまい、歯並びや噛み合わせが悪化する可能性もあります。
指や舌で必要以上にインプラントを触らないようにし、歯ぎしりや食いしばりのないお口の状態を心がけましょう。また、インプラントをよく使わなければならない固い食べ物や、刺激のある飲み物は圧迫感や痛みがある場合、避けた方が賢明です。
インプラント治療後の圧迫感の原因
インプラント治療後に圧迫感を覚えることは、患者さんの中で比較的よく見られる症状です。この圧迫感にはいくつかの理由が考えられますが、一般的には以下のような要因が関連しています。
1. 骨とインプラントの適応過程
インプラントが骨に埋入された後、骨とインプラントが結合するプロセスが始まります。この過程では、インプラントが骨にしっかりと結合するための圧力がかかります。これが原因で、一時的に圧迫感を感じることがあります。この感覚は通常、数日から数週間で徐々に和らいでいきます。
2. 周囲の歯や組織への影響
インプラントが埋入されると、その周囲の歯や組織にも影響が出ることがあります。インプラントが周囲の歯に近接している場合や、埋入位置が歯列に対して調整された場合、これが一時的な圧迫感を引き起こすことがあります。また、歯茎や骨にかかる負担も圧迫感の一因となることがあります。
3. インプラントのサイズと位置の問題
インプラントのサイズや位置が適切でない場合、圧迫感が強く感じられることがあります。例えば、インプラントが隣接する歯に対して過度に接近している場合や、埋入位置が本来の骨の形状と合わない場合に、違和感や圧迫感が生じることがあります。
4. 感覚の過敏性
治療後、歯茎や骨が一時的に過敏になることがあります。特に、手術後に周囲の組織が腫れている場合や、神経が過敏になっている場合には、圧迫感や違和感が増すことがあります。このような過敏性は通常、時間の経過とともに改善します。
5. 精神的な要因
インプラント治療は、患者さんにとって大きなストレスとなることがあります。このストレスや緊張が、インプラント周囲の感覚を過敏にさせ、圧迫感を感じやすくさせることもあります。また、治療に対する不安が、身体的な感覚を強調してしまうこともあります。
インプラントの圧迫感や痛みはどれくらいで消える?
インプラントの手術後に痛みを伴うことは多いです。細菌感染などによる痛みではなく、手術は切開を行いますので、麻酔が切れた後に痛みを感じます。歯科医院は痛み止めを処方しますので、鎮痛薬(ボルタレンやロキソニン)を服用しましょう。早い方ならば約2~3日、痛みが続く方でも約2週間ほどで痛みはなくなります。
1ヶ月以上たっても痛みが消えない場合は、要注意です。ただ、それ以上に長い期間痛む場合、インプラントが神経を圧迫しているという原因が考えられます。不快な痛みが続かないように、インプラントを戻すなどの調整を行う必要があります。
圧迫感が続く場合の対処法
通常、インプラント治療後の圧迫感は時間とともに軽減されますが、長期間続く場合や痛みを伴う場合は、歯科医に相談することが重要です。圧迫感が長引く場合には、インプラントの位置や状態に問題がある可能性も考えられるため、早めの診察が推奨されます。
インプラントはどんな治療?

そもそも、インプラントとはどのような治療か、流れを踏まえてご説明します。インプラントとは歯科医院で行う義歯治療です。虫歯や歯周病、不慮の事故により歯を失った方へ行う治療法です。義歯治療には、入れ歯・ブリッジ・インプラントとあります。
入れ歯やブリッジは、保険適用内で作製し治療を行うことができるため、費用は安いというメリットがあります。ただし、食べ物を噛む際などの不安定さや、隣接歯への負担が増すために残存歯の健康を保てないというデメリットがあります。
インプラントは、保険適用外の自由診療のため、高額な料金がかかることと麻酔をして手術を行うというデメリットがあります。ただし、顎に人工の歯根を埋入するので、入れ歯やブリッジと比べても噛んだ際の安定感があり、他の残存歯に影響を及ぼさないというメリットがあります。
インプラント治療の流れ
インプラントの治療を行いたいと思われたら、まずカウンセリングを予約してください。インプラントの相談は、無料で行っているクリニックが多いです。カウンセリングを受診し、お悩みを相談され、インプラント手術を決断されれば、CTや精密検査を行います。
●骨粗しょう症・糖尿病・免疫不全・白血病・血友病・チタンアレルギーなど他の全身疾患による服薬がないか
●インプラントが可能である骨の量である
この二点をきちんと確認し可能であれば、生体親和性の高いチタン製フィクスチャー(人工歯根)を埋入します。あごの骨(歯槽骨)とフィクスチャーが結合するまで時間を置き、しっかりと結合したかドクターがチェックできれば、歯茎を再び開け、フィクスチャーの頭部にアバットメントを装着します。アバットメントは上部構造と呼ばれる人工歯と、骨に埋まっている人工歯根を繋ぐ役割があります。アバットメントの上に仮歯を被せて、型どりを行い、審美性の高い人工歯を作製し終えれば、仮歯を外し、上部構造を被せます。
オールセラミックやジルコニアセラミックなどの人工歯は、自然な色合いで美しい強度を保ちます。インプラント手術後には定期通院を行ってもらい、インプラントをより長く保つためのメインテナンスを患者様に受診してもらう歯科医院が多いです。
インプラントの後の圧迫感に関するQ&A
仮歯の圧迫感がある場合は、まず通院先の歯科医師に相談しましょう。スクリュー固定のインプラントであれば、締め付けを調整することで圧迫感が軽減されることがあります。歯科医師による仮歯の調整や適切な治療を受けることが重要です。
インプラントの手術後は痛みを伴うことが一般的です。通常、痛みは約2?3日で軽減し、2週間ほどで完全に消えることが多いです。しかし、痛みが1ヶ月以上続く場合は注意が必要です。このような場合は、インプラントの調整や再評価が必要になる可能性があります。
インプラントの手術後に痛みが長期間続く場合は、通院先の歯科医師に相談しましょう。痛みが持続する原因は様々ですが、神経への圧迫が考えられます。主治医が必要な調整や治療を提案してくれるはずです。早めの対応が重要です。
まとめ

インプラントの圧迫感は長く続くと、やらなければ良かったと後悔してしまいます。信頼関係の築ける歯医者さんに通い、なにかトラブルや不安な点があればすぐに確認できるようなクリニックでインプラント手術を受けることが望ましいです。担当医がきちんとした説明や処置を行ってくれない場合は、セカンドオピニオンを視野に入れることも検討しましょう。