インプラントの基礎知識

インプラントとは何か教えて

インプラントとは何か教えて

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

「インプラントとは何か」「インプラントが気になるけれど歯医者さんに相談するのは気が引ける」「ネットで検索すると痛みなどの情報が多いし怖い」という方もおられるのではないでしょうか。今日はインプラントとは何か、メリットやデメリット、他の治療法との違いについてご紹介いたします。

インプラントとはどんな治療法?

インプラントとは、人工の歯根を顎骨に埋め込み、その上に人工歯を固定する治療法です。歯が抜けた場所にインプラントを埋入することで、天然の歯に近い見た目と機能を回復することができます。インプラントは、単独の歯の代わりとしてだけでなく、ブリッジや入れ歯を固定するためにも使用されます。

インプラントの構造

インプラントは主に3つの部分から構成されています。

  • インプラント体・・チタンなどの生体適合性の高い金属でできた人工歯根で、顎の骨に埋め込まれます。
  • アバットメント・・インプラント体と人工歯(上部構造)を接続する部分です。
  • 上部構造(クラウン)・・目に見える部分で、天然の歯に似た人工歯が装着されます。
インプラントの構造とメリット・デメリット

インプラントの材料

インプラントに使用されるチタンやチタン合金は、生体適合性が高く、骨と結合しやすい(オッセオインテグレーション)特性を持っています。これにより、インプラントは顎骨にしっかりと固定され、長期間にわたって使用可能です。

インプラントは外科手術が必要なので事前のカウンセリングや検査をしっかり行う

インプラント手術を受ける前には、歯科医師よりきちんと計画(何本のインプラントの埋入が必要か、治療期間、注意事項)の説明を受け、リスクやメリットなどを十分納得したうえで行いましょう。

インプラントの術式には一回法(即時荷重インプラント)、二回法の種類があり、患者さんのお口の状態によって担当医が選択します。

歯を失ったことによって食事の際に噛みにくいなどの機能面の問題がある方も、インプラント治療を行うと天然の歯のように噛めるようになります。

また、インプラントを長くもたせるためには、治療後のメンテンナンスを受けることが重要です。

インプラントの治療の流れ

  1. 顎骨にインプラント体(人工歯根)を埋め込む手術を行う
  2. 骨とインプラント体がしっかり結合するまで数ヶ月待つ
  3. インプラント体の先にアバットメント)を取り付ける
  4. アバットメントに上部構造(被せ物)をつける
  5. 定期的 にメインテナンスのため通院してクリーニングを行い、インプラント周囲炎などの感染による病気やインプラントの脱落を予防する

インプラントのメリット・デメリット

インプラントのメリット

メリット インプラントの治療によるメリットは以下のようなものです。

  • 人工歯根を顎の骨に埋めるため噛む力が他の義歯治療よりも強い
  • 他の歯を削ったりばねをかけることがないので隣接する歯や残存歯に負担がかかることがない
  • 見た目や美しさが他の治療法よりも自然である
  • インプラントを入れても違和感が少なく自分の歯のように感じられて咀嚼しやすい

インプラントのデメリット

デメリット 反対にインプラント治療のデメリットは以下のようなものです。

  • 手術や麻酔を行わなければならない
  • 検査によりあごの骨が薄いと診断された方はしっかり造骨した後にインプラント治療をするため治療期間が長い
  • 骨粗しょう症や糖尿病など全身疾患で薬を服用中の方は、担当医からインプラントの許可を得る必要がある
  • 他の義歯治療と違い保険適用外で(先天性の疾患や顎骨の欠損などでは保険適用)自費治療のため料金が高い
  • 金属を使用している器具があり、血管の流れが悪いと治療の結果に関わるため、一部の方(金属アレルギー・喫煙者)はできない可能性がある

差し歯とインプラントの違いとは?

一般的に言われる差し歯は、虫歯の治療の際に歯を削り被せ物を行う処置です。同じようにインプラントも人工の歯を被せる治療法です。差し歯とインプラントの違いは、歯根の有無が大きなポイントです。

歯根が残っている状態ならば差し歯で治療できる

差し歯は歯根に人工の土台を立て、セラミックなどの被せ物を被せます。

抜歯して歯根が既にない状態ならばインプラント

インプラントでは既に歯根がありませんので、歯茎を切開して人工歯根を埋め込みます。人工歯根と骨が結合した後に、人工歯根にアバットメントつけ、その上にと上部構造(被せ物)を被せます。

インプラントの歴史

インプラントの歴史は意外と古く、紀元2~3世紀の古代ローマ時代(日本では弥生時代)には行われていた治療です。上顎骨に鉄製のインプラントが埋まった人骨が発見されたり、7世紀(日本では飛鳥時代)にもマヤ文明の遺跡から抜去歯と貝でできたインプラントが使用された女性の骨が発見されています。

近代的な歴史としては、1952年にチタンと骨が結合するということ(オッセオインテグレーション)が発見され、日本では1990年代にさまざまな製法が開発されました。 2005年には薬事法でジルコニアアバットメント(インプラントのシステムの一部)が認可され、審美的な治療として広がっています。

インプラントとはに関するQ&A

インプラントはどのような治療法ですか?

インプラントは、虫歯や歯周病、事故などで歯が抜けた部分を改善するために行われる歯科治療法です。具体的な手順は、顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、骨と歯根の下部構造の結合をチェックし、支台部(アバットメント)を固定し、最後に人工歯(上部構造)を被せるという流れです。定期的なメインテナンスも重要で、クリーニングを行い感染症やインプラントの脱落を予防します。

インプラント治療のメリットは何ですか?

インプラント治療のメリットは以下の通りです: 1. 他の義歯治療と比べて噛む力が強くなる。 2. 隣接する歯や残存歯に負担がかからず、他の歯を削ったりばねをかける必要がない。 3. 見た目や美しさが自然であり、他の治療法よりも優れている。 4. インプラントを入れても違和感が少なく、自分の歯のように感じられて咀嚼がしやすい。

インプラント治療のデメリットは何ですか?

インプラント治療のデメリットは以下の通りです: 1. 手術や麻酔が必要である。 2. 骨の状態が薄い場合は、治療期間が長くなる可能性がある。 3. 全身疾患や薬の服用中の場合は、医師の許可が必要である。 4. 保険適用外であり、自費治療のため料金が高い。 5. 金属を使用しているため、金属アレルギーのある方や喫煙者には適さない可能性がある。

まとめ

インプラント治療を行うと、他の義歯治療よりも生活の質が向上するのでおすすめですが、メリットやデメリットによる影響も多くあります。ご自身がインプラント適応可能かどうか、設備の整った医院であるかなど検討する際にきちんと把握し、安心できる環境で治療を行うのが重要です。無料カウンセリングやCT撮影などの精密検査をすれば、歯科医師がインプラント手術が可能かどうか診断できます。大切な歯を長く使うためにも、気になる方は、一度お気軽にご相談ください。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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