歯ぎしりがあるとインプラントを失敗する?
歯ぎしりがあるとインプラントが失敗するリスクは高まりますが、適切な対策を取れば成功させることは可能です。歯ぎしりは強い咬合力がインプラント体や周囲の骨に負担をかけるため、注意が必要です。ナイトガードなどの予防策や、正しい治療設計によって長期的な安定が期待できます。
この記事はこんな方に向いています
- 歯ぎしりをする自覚がある方
- インプラント治療を検討しているが、歯ぎしりが心配な方
- インプラントの成功率を高めたいと考えている方
この記事を読むとわかること
- 歯ぎしりがインプラントに与える具体的な影響
- 歯ぎしりがある人のインプラント治療で気をつけるべき点
- 失敗を防ぐための対策とメンテナンス方法
- ナイトガードなどの補助的ケアの重要性
目次
歯ぎしりがあるとインプラントは失敗しやすいの?
歯ぎしりは、天然歯よりも負荷を逃がしにくいインプラントに過剰な力を与え、ネジの緩みや骨との結合不全を起こす可能性があります。特に睡眠中の強い咬合圧は無意識下で起きるため、知らないうちにダメージが蓄積していくことがあります。
歯ぎしりはインプラント失敗のリスクを高める要因です。
歯ぎしり(ブラキシズム)は、寝ている間やストレス時などに上下の歯を強く噛みしめたりこすり合わせたりする癖のことです。インプラントは骨に固定されるため安定感はありますが、クッションの役割を果たす「歯根膜」がないため、強い力を分散できません。
そのため、歯ぎしりによって過度な力が加わると、インプラント体や被せ物、周囲の骨に損傷が起きることがあります。
なぜ歯ぎしりがインプラントに悪影響を与えるのか?
天然歯には「歯根膜」という弾力組織があり、咬合力を吸収・分散します。しかしインプラントにはそれがないため、歯ぎしりによる力がダイレクトに骨へ伝わり、炎症や骨吸収を引き起こす危険があります。
インプラントは衝撃を吸収できず、歯ぎしりの力が直接骨に伝わるため危険です。
歯ぎしりがインプラントに与える影響
- 骨への負担 → インプラント体が動くことで、骨との結合が弱まる
- ネジや被せ物の破損 → 強い力が繰り返されることでネジが緩む・破損する
- 歯茎への炎症 → 微細な動揺や衝撃で周囲組織に炎症が生じやすくなる
このように、歯ぎしりがインプラントに与えるダメージは多面的です。とくに夜間の歯ぎしりは、日中の数倍の力がかかるとされており、放置は禁物です。
歯ぎしりが原因で起こるインプラントのトラブル例
歯ぎしりを放置すると、インプラント体の緩み・骨吸収・被せ物の割れなどさまざまなトラブルが生じます。見た目が悪くなるだけでなく、再手術が必要になることもあります。
歯ぎしりを放置するとインプラントが損傷し、再治療が必要になることがあります。
主なトラブルの種類
- インプラント体の動揺・脱落
→ 骨との結合が弱まり、ぐらつきや脱落が起こる。 - 被せ物の破損・欠け
→ セラミックの歯が割れたり欠けたりするケースが多い。 - スクリューの緩みや破損
→ ネジを固定する部分が繰り返しの力で緩むことがある。 - インプラント周囲炎の発症
→ 微動による隙間に歯垢が溜まり、炎症が進行する。
これらは一見「ちょっとの不具合」に思えても、放置すると骨が吸収され、再度インプラントを埋入できない場合もあります。
歯ぎしりを持つ方は、早期に対策を取ることが何より大切です。
歯ぎしりがある人でもインプラントを成功させる方法は?
歯ぎしりがあっても、術前の咬合設計や素材選び、夜間マウスピースの使用でリスクを最小限に抑えられます。歯科医と連携し、個別に合った治療プランを立てることが成功の鍵です。
対策を講じれば、歯ぎしりがあってもインプラントは成功できます。
歯ぎしりを考慮した治療のポイント
- 咬合力の分散を設計に組み込む
→ 歯ぎしりの力を考慮して、複数のインプラントで噛む力を分散。 - 適切な素材の選択
→ セラミックよりも弾性のある素材を選ぶことで破損リスクを軽減。 - 夜間のナイトガード使用
→ 睡眠中の無意識な力を和らげるため、マウスピース型の装置を装着。
具体的な対応例
- 単独インプラントではなくブリッジ状の連結構造にする
- 強度の高いジルコニアやチタンベースの素材を使用
- 上下の咬み合わせを微調整し、力のかかる角度を変える
こうした工夫により、歯ぎしりの影響を抑え、長期安定を目指すことができます。
治療後にできる歯ぎしり対策とケア方法
治療後も継続的な歯ぎしり対策を行うことが、インプラントを長持ちさせる秘訣です。ナイトガードの装着やストレスケア、定期的なかみ合わせチェックが重要です。
歯ぎしり対策を継続すれば、インプラントは安定します。
歯ぎしり対策の具体例
- ナイトガードの使用 → 力を緩和して歯や骨への負担を軽減
- ストレス緩和 → 心理的緊張が歯ぎしりを助長するためリラックスを意識
- 生活習慣の見直し → 寝る前のカフェイン・スマホの使用を控える
- 咬み合わせの定期チェック → 小さなズレを早期に調整
これらの習慣を継続することで、インプラントの寿命を延ばすことができます。歯ぎしりは完全に止めることが難しいため、「いかにダメージを軽減するか」がポイントになります。
定期的な健診で早期発見・早期対応を
歯ぎしりによるトラブルは初期では自覚しにくいものです。定期健診で噛み合わせや骨の状態を確認し、早期に修正を行うことで長期安定が可能になります。
健診を怠らないことがインプラントを守る鍵です。
定期健診でチェックすべきポイント
- インプラントの動揺やネジの緩み
- 被せ物の摩耗や破損
- 周囲歯茎の炎症や出血
- 咬合の左右バランス
これらを歯科医が確認し、必要に応じて微調整を行います。
特に歯ぎしりのある方は、3ヶ月ごとの健診を推奨します。
歯ぎしりによってインプラントが失敗するケース
患者さんに歯ぎしりや食いしばりの癖がないかどうかは、インプラントだけでなく、補綴治療をするうえでも大変重要です。
歯ぎしりによって上部構造が擦り減る
セラミックの被せ物が歯ぎしりによる強い摩擦で欠けたり外れたりしてしまう場合があります。上部構造が破損した場合は、上部構造(被せ物)だけを作り変えたら解決すると思われるかもしれませんが、歯ぎしりによってインプラント体(人工歯根)に強い力がかかり続けると、インプラントが骨と結合している部分にダメージを与えてしまいます。
歯をぐっと噛みしめると歯に力がかかりますが、歯ぎしりや食いしばりの時に歯にかかる力は体重の倍以上といわれ、成人男性では100kg以上の力がかかることになります。
毎晩歯ぎしりを行っていると、上部構造の先端が擦り減って歯の形が変わって噛み合わせがおかしくなることもあり、インプラントの失敗の原因になります。
歯ぎしりの揺れによってインプラント体がグラグラし始める
隣の歯との間はぴったりくっついていて、お互いに支え合っています。そのため、歯は左右の方向への揺れには強い構造になっています。しかし、唇側から舌側への揺れには大変弱く、歯ぎしりによって力が加わると、歯の根に大変な力がかかってダメージを与えます。
インプラントの場合は、歯槽骨に埋まっているインプラント体(人工歯根)に過多な力がかかりすぎることによって、インプラントがグラグラしてくるというリスクがあります。グラグラした状態が続くと、やがてインプラントが抜けてしまい、インプラントが失敗することにもなりかねません。
歯ぎしりは医学的な原因が不明とされています
睡眠中の無意識下で上下の歯を強く擦り合わせてしまうのが歯ぎしりです。歯ぎしりの原因と考えられているのは、ストレス、飲酒、喫煙、カフェインの摂りすぎ、抗うつ剤などの薬の影響などですが、医学的にはっきりとした原因が解明されていないため、原因をなくす治療方法がありません。
そのため、ご本人がいくらやめたいと思っていても、確立された治療法がないのが現状です。ストレスが歯ぎしりの原因の一つと考えられているため、なるべくストレスのない生活を送ることと、睡眠中に歯ぎしりから歯を守るためにナイトガードと呼ばれるマウスピースを付けて寝ていただくというのが、歯ぎしりへの歯科での一般的な対応となります。
歯ぎしりや食いしばりは、医学的にはブラキシズムと呼ばれます。
ブラキシズムとは
- グランディング:歯ぎしり
- クレンチング:食いしばり、噛み締め
- タッピング:上下の歯をカチカチと噛み合わせる
歯ぎしりとインプラント失敗の関係に関するQ&A
歯ぎしりによってインプラントが失敗する理由は主に2つあります。まず、歯ぎしりによってセラミックの被せ物が摩擦で欠けたり外れたりする場合があります。さらに、歯ぎしりによる強い力が継続すると、インプラントと骨との結合部にダメージを与えることがあります。
歯ぎしりや食いしばりの癖があっても、インプラント治療は行うことができます。ナイトガードと呼ばれるマウスピースを装着することで、夜間にインプラントを保護することができます。ナイトガードは個別に作製され、歯にぴったりと合うものです。
歯ぎしりによるインプラントのリスクは主に2つあります。まず、歯ぎしりによってインプラントに強い力がかかり続けると、インプラントと骨との結合部にダメージを与える可能性があります。これによってインプラントが失敗する恐れがあります。また、歯ぎしりによる揺れによってインプラントがグラグラし始め、最終的には抜け落ちる可能性もあります。
まとめ
歯ぎしりがあっても正しい管理でインプラントは長持ちする
歯ぎしりはインプラントにとって確かにリスクですが、原因を理解し、治療設計・素材・アフターケアを徹底すれば成功率を高められます。歯科医院と連携し、長期的なサポートを受けながら安心して治療を続けましょう。
歯ぎしりがあっても、正しい対策でインプラントは守れます。
- 歯ぎしりはインプラントの骨結合や被せ物を損傷させるリスクがある
- ナイトガードや素材選定で負担を軽減できる
- 定期的な咬合チェックと健診が成功の鍵
歯ぎしりを放置しても治療自体が不可能になるわけではありません。
大切なのは、「自分の咬む力の特徴を知り、歯科医とともに管理すること」です。
その結果、歯ぎしりがあっても長期的に安定したインプラント生活を送ることが可能です。
医療法人真摯会