インプラントの基礎知識

更年期にインプラントをする場合の注意点

更年期にインプラントをする場合の注意点

更年期にインプラント…不安を感じるのは当たり前です

「この年齢でインプラント、大丈夫かしら?」

「手術なんて、ちゃんと治るのかな…」

「そもそも、私に合っているの?」

こんなふうに、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

更年期は、女性にとって心身ともに大きな変化が訪れる時期です。今まで当たり前だったことが、なんとなく違和感を覚えたり、体の調子が以前とは違ったり。

お口の健康も例外ではなく、「最近歯がもろくなった気がする」「歯茎が腫れやすくなった」なんて変化に気づくことも。

そんな中で、「インプラント治療」という選択肢を考えるのは、とても勇気のいることですよね。

手術に対する不安、治療後の痛み、体への影響…。

「本当に大丈夫?」と、心のどこかで迷ってしまう気持ち、よく分かります。

でも、ご安心くださいね。更年期でも、インプラント治療を受けることは可能です。

ただし、更年期ならではの体の変化に気をつけながら、無理なく進めることが大切です。

この記事では、更年期の方がインプラントを考える際に特に注意すべきポイントをお伝えします。あなたが不安なく、そして安心して治療に臨めるように、一つひとつ丁寧に解説していきますね。

更年期だからという理由でインプラントができないことはある?

「更年期だからインプラントはできないのでは?」

そう思われる方も多いかもしれませんね。

結論から言うと、更年期であること自体がインプラント治療の絶対的な禁忌(治療ができない理由)になることはありません。

しかし、更年期特有の体の変化を考慮しながら、適切な準備とケアを行うことがとても大切です。

更年期でもインプラント治療が可能な理由

顎の骨に十分な密度があれば、インプラントを支えることができる

ホルモンバランスの変化があっても、適切なケアをすれば歯茎や口内環境を維持できる

医師の指導のもとで治療を進めれば、安全にインプラントを埋め込むことができる

実際に、更年期を迎えた多くの方がインプラント治療を受けて、しっかりと噛める快適な生活を取り戻しているのです。

ただし、更年期の影響で治療が難しくなるケースも

更年期に伴う体の変化によって、通常よりも注意が必要なケースもあります。例えば、以下のような場合は、治療計画を慎重に進める必要があります。

1.骨密度が著しく低い(骨粗しょう症のリスクが高い)

更年期に入ると、エストロゲンの減少により骨がもろくなりやすくなります。骨密度が極端に低い場合、インプラントを支える顎の骨が十分でない可能性があります。

▶ 対策

事前に骨密度検査を受ける

必要に応じて骨を増やす治療(骨造成・GBR)を行う

カルシウムやビタミンDを摂取し、適度な運動を行うことで骨の健康を維持する

2. 歯周病の進行がある

更年期はホルモンの影響で歯茎が弱くなり、歯周病にかかりやすくなります。歯周病が進行していると、インプラントを埋め込んでも長持ちしない可能性があります。

▶ 対策

インプラントを行う前に、歯周病治療を優先する

歯磨きや歯科クリーニングを徹底することで、健康な歯茎を維持する

定期的な歯科検診(健診)を受け、歯茎の状態をチェックする

3. 免疫力が低下し、治りが遅い

更年期は、体全体の免疫力が低下しやすくなります。

そのため、インプラント手術後の傷の治りが遅くなったり、感染リスクが高まったりすることがあります。

▶ 対策

栄養バランスの良い食事で、体の回復力を高める

無理のないスケジュールで治療を進める(体調が安定している時期を選ぶ)

ストレスを溜めず、十分な睡眠を取ることで、免疫力を維持する

更年期でもインプラントは可能!大切なのは事前の準備

更年期だからといって、インプラントができないわけではありません。

ただし、体の変化を考慮し、適切な準備とケアを行うことが大切です。

骨密度が低い場合は、事前の検査と適切な対策を!

歯周病がある場合は、まず歯茎の健康を整えることが最優先!

免疫力を維持するために、生活習慣を整えましょう!

更年期の変化とうまく付き合いながら、インプラント治療を成功に導くことは十分可能です。気になることがあれば、歯科医師としっかり相談しながら、自分に合った治療方法を見つけていきましょう!

更年期の体の変化とインプラントへの影響

更年期には、主に以下のような体の変化が起こります。

骨密度の低下 女性ホルモン(エストロゲン)の減少により、骨がもろくなりやすくなります。

歯周病リスクの増加 ホルモンバランスの変化で、歯茎の炎症が起こりやすくなります。

免疫力の低下 感染症にかかりやすくなり、インプラント周囲の炎症リスクが上がります。

口腔乾燥 唾液の分泌が減少し、口の中が乾燥しやすくなります。

これらの変化は、インプラントの成功率にも関わるため、適切なケアが必要です。

インプラント治療で気をつけたい5つのポイント

1. 骨密度の低下に注意

インプラントは顎の骨に固定するため、十分な骨密度が必要です。更年期以降は骨が弱くなりがちなので、事前に以下のような対策をしましょう。

骨密度検査を受ける(必要に応じて、医師と相談)

カルシウムやビタミンDを意識的に摂取する(牛乳、小魚、きのこ類など)

適度な運動で骨を強くする(ウォーキングやストレッチがおすすめ)

▶ 骨密度が低い場合は、インプラントの前に骨を増やす治療(骨造成)を検討することもあります。

2. 歯周病のリスクを抑える

更年期はホルモンバランスの変化により、歯茎が炎症を起こしやすくなります。歯周病になるとインプラントの成功率が下がるため、しっかり予防することが大切です。

歯磨きを丁寧に行う(歯垢をしっかり落とす)

歯科医院での定期的なクリーニングを受ける

歯周病の兆候(歯茎の腫れ、出血など)があればすぐに受診する

▶ インプラントは、健康な歯茎が土台となる治療です。歯周病がある場合は、まず治療を優先しましょう。

3. ホルモンバランスと免疫の変化に配慮

更年期には、免疫機能が低下することで感染症のリスクが高まります。そのため、インプラント手術後の傷口が治りにくくなることもあります。

栄養バランスの良い食事を心がける(タンパク質やビタミンをしっかり摂る)

ストレスを溜め込まない(リラックスする時間を作る)

無理のない治療スケジュールを立てる(体調に合わせて進める)

▶ 体の回復力を高めるために、生活習慣を見直しておきましょう。

4. お口の乾燥対策が重要

唾液の分泌が減ると、細菌が繁殖しやすくなり、インプラントのリスクが高まります。

お口の乾燥を防ぐために、以下の対策を取りましょう。

こまめに水を飲む(常温の水がおすすめ)

よく噛んで食事をする(ガムを噛むのも効果的)

保湿ジェルやマウスウォッシュを活用する

▶ 乾燥を防ぐことで、口内環境が整い、インプラントの安定につながります。

5. ストレス管理で治療の成功率アップ

ストレスはホルモンバランスや免疫力に影響を与え、治療の成功率にも関わります。

リラックスできる時間を作り、心身の健康を整えましょう。

適度な運動(ヨガやストレッチなど)

好きな音楽を聴いたり、趣味を楽しむ

十分な睡眠をとる(寝る前のスマホ使用を控える)

▶ ストレスを軽減することで、体の回復力が高まり、インプラントも長持ちしやすくなります。

更年期の方におすすめのケア方法

更年期の方がインプラントを受ける際には、以下のようなケアを心がけると安心です。

歯科医院で定期的な健診を受ける(3〜6ヶ月ごとがおすすめ)

かかりつけの医師と相談しながら進める

無理のないペースで治療を進める

まとめ

安心してインプラントを受けるために

更年期でも、適切なケアと準備をすれば、インプラント治療は可能です。大切なのは、ご自身の体調を考慮しながら、慎重に進めること。

気になることがあれば、歯科医師としっかり相談し、不安を解消してから治療を受けましょう。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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