インプラントの基礎知識

インプラントは副鼻腔炎のリスクがあるの?

インプラントは副鼻腔炎のリスクがあるの?

インプラントで副鼻腔炎を引き起こしてしまうと、歯科以外の治療も必要となり、とても大変です。今日は、インプラントが原因で副鼻腔炎を起こさないために注意すべきこと等ポイントを含めてご紹介いたします。

インプラントの治療とは

インプラントは歯科医院で行う義歯治療です。対して、副鼻腔炎は耳鼻科で治療を行うべき疾患です。歯科と耳鼻科、近いようであまり関係ないように思われますが、実はつながりがあります。

インプラントの治療の流れ

インプラントとは、歯が抜けた部分を改善するための義歯です。保険適用外で費用が高いというのがデメリットですが、入れ歯・ブリッジと比べても安定しており、噛む力が強いのが特徴です。では、インプラント治療について、簡単に流れなどをご説明します。インプラントの種類は、一日でインプラントが終わる即時荷重インプラント(一回法)もありますが、一般的に多い二回法の治療でご案内します。

インプラント手術前

  1. インプラントの治療をされたい部分について歯科医師やスタッフと相談
  2. 歯科用CTを撮影し、あごの骨の量(厚み)をチェックする精密検査
  3. 服薬や全身疾患(糖尿病・骨粗しょう症・脳梗塞・心筋梗塞)がないか確認
  4. インプラントを埋入する位置をガイドなどを用いて確認

インプラント手術中

【一次手術】

  1. 局所麻酔を行う(歯科恐怖症の方には笑気麻酔や静脈内鎮静法を適用)
  2. 歯肉を切開し、生体親和性の高いチタン製のフィクスチャー(人工歯根・インプラント体)を顎骨に埋入し歯肉を縫合
  3. 数か月後、あごの骨とインプラント体が結合したかどうか歯科医師がチェック

【二次手術】

  1. 歯肉を切開しインプラントの頭を出す
  2. インプラント体と被せ物をつなぐ連結部分(アバットメント)を立てて仮歯やキャップを被せて歯周組織の状態の安定を待つ

【仕上げ】

  1. きちんとくっついていると確認されれば最終の型どりを行う
  2. 歯科技工士が作製した人工歯(上部構造)をキャップを外してはめてインプラント手術は終了

インプラント手術後

  1. 歯科衛生士が行う定期的なインプラント用のメインテナンスを受診

インプラント手術に使用する材料をご紹介します。 フィクスチャー/チタン・チタン合金(オッセオインテグレーションを獲得しやすい) アバットメント/チタン・チタン合金・ジルコニア・セラミック 上部構造/・オールセラミック(審美性と耐久性に優れ、前歯に最適) ・ジルコニアセラミック(噛む力が強い奥歯にも最適な耐久性と審美性) ・ハイブリッドセラミック(歯科用樹脂とセラミックを混ぜた材質で安価だが経年劣化による変色のリスクあり)

副鼻腔炎とは何?

今度は副鼻腔炎についてご紹介します。副鼻腔とは、鼻の周囲にある複数の空洞です。

  • 前頭洞(ぜんとうどう)
  • 篩骨洞(しこつどう)
  • 上顎洞(じょうがくどう)

主にこの三つを指し、歯科で関係があるのが上顎洞です。その中で炎症が起きている状態を副鼻腔炎と言い、耳鼻咽喉科で治療を行ってもらう必要があります。一般的に蓄膿症と呼ばれることもあるため、そちらの症状の方が浸透しているかもしれません。

副鼻腔炎の炎症

風邪の細菌・ウイルス・アレルギーが原因で、鼻腔にある粘膜に炎症が起こってしまい、粘膜の腫れやドロドロした鼻水が出ます。この鼻水で鼻の通り道がふさがれてしまい、分泌物や膿を排出できなくなり、異物も副鼻腔内に蓄積され、副鼻腔炎が発症されます。

  • 鼻が詰まる
  • 臭いのする鼻水が出てくる
  • 咳や痰がでる
  • 頭や顔の痛みがある
  • 口臭がある

これらが特徴ですが、インプラントと副鼻腔炎の関係性が見えない方も多いでしょう。インプラント手術で注意すべき大切な点を挙げつつご案内します。

インプラントで注意すべき大切な点

  1. インプラントの治療の際に検査機器など環境が整った医院で歯科用CTなど精密検査を受診する
  2. 歯槽骨の薄さや厚みなどを診断できる経験豊富なドクターが確認する
  3. 骨量やインプラントの埋入角度などを検討したうえでのインプラント手術を行う

では、今度は悪い例を具体的に挙げてご紹介します。

インプラントで事故が起こりやすい例

  1. 院内にCTなどの設備がなく、経験が浅い歯医者さんが安い価格で治療する
  2. 骨量・骨の薄さ・角度をきちんと検討せずインプラントを埋入する
  3. インプラント治療が骨を突き抜けた状態となり失敗する
  4. 上顎洞にインプラントが刺さり落ち込んでしまうと、粘膜を傷つけた状態になり、上顎洞炎を引き起こす

鼻性上顎洞炎と歯性上顎洞炎の違い

鼻性上顎洞炎

  • 鼻詰まりや黄色などの膿の色が付いた鼻水が出る
  • 目の奥が重く感じたり、頭痛を生じることもある

歯性上顎洞炎

上記の症状に加えて、この炎症の原因である歯でかみ合わせたら痛んだり、歯が浮いたように感じる

上顎洞炎の治療法

  • 鼻性上顎洞炎⇒抗菌薬や消炎鎮痛薬を投与して膿や痛みなどを取り除きます。
  • 歯性上顎洞炎⇒軽度ならば原因となる歯の神経治療・重度ならば原因となる歯を抜歯の処置をしますが、インプラントが埋め込まれたことが理由ならば、異物を除去するための手術を再度行う必要があります。

副鼻腔炎を歯科の治療で起こさないため注意すべきこと

副鼻腔炎を起こしやすい部分は、上顎のインプラント治療です。特に上顎の奥歯が欠損していて治療を行う場合は注意が必要です。歯が抜けると、骨はどんどん吸収され薄くなります。 もともと上の奥歯の近くに上顎洞が存在しているため、前歯と比べて上顎の奥歯は他の部分よりも骨が薄いです。そのため、骨の厚みがインプラント体を埋め込む程深さがないというケースが考えられます。無理やり埋め込むと、安定性が悪くなったり、抜ける可能性もあります。 では、骨が薄ければ全くインプラント手術を受けることができないかというと、そうではありません。骨を増骨する処置を行えば、インプラント治療は可能です。サイナスリフトとソケットリフト、いずれかの処置を行います。

サイナスリフト

(骨の高さが3~5mm以下・多くの歯を失った方に適用)

 

  • 局所麻酔をして上顎の奥歯の骨に穴を開ける
  • シュナイダー膜と呼ばれる上顎洞粘膜とあごの骨を剥離する
  • 骨補填材(人工骨やメンブレン)を充填する
  • 歯肉などを縫合し骨が回復する半年くらいまで待つ

 

ソケットリフト

(骨の高さが3mm以上・歯を失った本数は少ない方に適用)

 

  • 局所麻酔をして上顎の奥歯の骨にインプラントを埋入する程度の穴を開ける
  • 穴から骨補填材を充填し、シュナイダー膜を押し上げる
  • 骨移植とインプラント体を埋入する処置を同時に行えるメリットがある

 

まとめ

  • インプラント術後に慢性的な副鼻腔炎を発症した
  • インプラント術後噛んでいるうちに動揺や脱落を起こした

このようなトラブルは、骨量などをきちんと検査しておいたり、埋入位置を間違わなければ起こる確率は下がります。後悔しないためにもインプラントを希望する際には、無料カウンセリングを活用し複数の医院で相談をしましょう。信頼や実績のおける担当医に手術をしてもらい、メンテナンスを定期的に受診することで、インプラントを長く持たせることが可能です。