インプラント治療前・治療後の疑問

インプラントを勧めない理由とは

インプラントを勧めない理由とは

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

インプラントを勧めない、逆にお勧めするなど、歯医者さんによってインプラント治療に対する考え方にはばらつきがあります。インプラントを勧めない歯医者さんはどんな理由によって勧めないのかをご説明します。

インプラントを勧めない歯医者さんの理由

インプラントを勧めない歯科医院、逆にインプラントを勧める医院があります。その医院がインプラントを勧める理由、そして勧めない理由についてきちんと知ることが大切です。

インプラント以外の治療法でも口腔内の機能や健康を改善できる”] しっかりとした検査や診断に基づき、このような歯科医師の考え、インプラントの治療を行わないという医院方針により、他の治療法をおすすめされ、患者様のお口の状態が現状よりも改善できるというならば問題はないでしょう。
 
上記以外にもインプラントをお勧めしない理由があります。それは、歯科医師の技術力や知識の不足、医院環境が整っていないという理由です。そのような理由でインプラント治療が難しい場合は、他の複数のクリニックを受診し、ご自身の状態を冷静に診断してもらいましょう。

インプラントとは

インプラントとは、歯を失った方に行う治療です。むし歯や歯周病、外傷などが原因により歯を失うと、噛み合わせる歯である反対の対合歯はどんどん伸びてしまいます。また、空いているスペースに隣の歯が移動し、歯並びがガタガタになるという方もおられます。歯が抜けたり、折れた場合は、なるべく早く歯医者さんへ通院しましょう。

インプラントと入れ歯・ブリッジと大きく異なるポイント

インプラントは、入れ歯やブリッジと違う大きなポイントが二つあります。

  • 人工歯根を埋入したうえに人工歯を自立させるため、他の歯に影響を及ぼさない
  • 保険適用外であるため、治療費が高い

インプラントの治療の流れ

インプラントの治療の流れをご説明します。

  1. インプラント治療が妥当と歯科医師が診断し、患者様も説明に同意する
  2. 精密検査(歯科用CT)であごの骨(顎骨)の量や高さ、質などを確認
  3. 歯肉を切開し、顎骨に穴を開けて、人工歯根(フィクスチャー)を埋め込む
  4. 歯肉を縫合し、埋入した人工歯根と骨が結合するまで待つ
  5. 人工歯根と骨の結合を確認できれば、再度切開してインプラントの頭出しを行う
  6. 人工歯根と人工歯の連結部分(アバットメント)を入れる
  7. 最終的な人工歯(上部構造)の型どりを行う
  8. アバットメントと歯茎が安定化すれば、人工歯をスクリューかセメントのいずれかで固定
  9. 治療後は定期的にインプラントのメインテナンスを歯科医院で行ってもらう

前歯か奥歯など欠損の位置、あごの骨の量や骨の質によっては、骨造成が必要なケースがあります。骨造成はインプラント治療前に処置を行います。

インプラント治療での医院選びのポイント

インプラント治療での医院選びのポイントはまずこの3点です。

インプラントで確認すべき大事な項目

  • インプラント治療の実績が豊富にあるドクターや医院なのか
  • 歯科用CTを院内に設置しているか
  • 患者様の疑問や質問にきちんと回答して、納得いくまで説明してもらえる医院か

実際、患者様にとってインプラントが最善の治療法であるにも関わらず、その治療法を選択しない歯医者さんは信頼に値するかと言われれば疑問です。また、インプラント治療が他の医院より費用が安いからと安易に治療を開始するのもお勧めできません。症例数や実績が少ない・医院内の環境が整っておらず他で検査をする必要があるなど何か事情があるケースが多いです。

その他の確認すべき項目

上記以外に下記の項目も確認してください。

  • カウンセリングでお悩みをしっかりと聞いてくれる
  • 診断や検査をきちんと行う医院である
  • 残存歯を大切にできるような治療計画である
  • インプラントのメリット・デメリットをどちらも詳しく教えてもらえる
  • インプラント以外で患者様に合った治療法も併せて提示してくれる
  • 費用についても相場の範囲で明確にご説明できる

インプラントの治療法について不安があれば、担当医に質問し解消したうえでインプラント治療に臨みましょう。インプラントは医院の環境が整い、歯科医師の技術が豊富で患者様のお身体の状態も問題がなければ、安全に行える治療です。安心して行うためにはどの項目も確認し、最終的にどれを選択するのか、じっくり時間をかけて決断しましょう。

インプラントを勧めない場合の理由に関するQ&A

インプラント治療はどのような方に適していますか?

インプラント治療は、歯を失った方や入れ歯やブリッジに不満を感じている方に適しています。

インプラント治療を勧めない理由は何ですか?

インプラント治療を勧めない理由は、歯科医師の技術や知識の不足、医院環境の問題などがあります。

インプラント治療の手術後のデメリットはありますか?

インプラント治療の手術後には、痛みや腫れなどのデメリットが生じる場合がありますが、個人差があります。



まとめ

インプラントは入れ歯やブリッジと比べて、他の歯の健康を損なわずしっかり咬めるようになる治療です。インプラントを勧めない歯医者さんの場合は、勧めない理由、インプラントではない治療法でご自身の口腔内の状態は改善するのか、治療計画などをしっかり説明をうけてください。検討したうえでインプラントを希望される場合は、症例数の多い歯科医院でカウンセリングを受け、判断することが大切です。

インプラント治療を勧めない場合の理由に関連する研究は以下の通りです。

1. インプラント治療に対する患者の知識、態度、意識 PrabhuとMundathajeによる2018年の研究では、インプラント治療に対する患者の知識、態度、意識について調査しました。この研究で挙げられたインプラントを選択しない主な理由は、高コスト、手術プロセス、長期間の待ち時間です。また、患者の多くは、インプラント治療についての情報が不足していると感じており、歯科医師からの詳細な情報提供が求められていました。【Prabhu & Mundathaje, 2018

2. 歯周病による歯の抜歯後のインプラント推奨 Al-Shammariらによる2006年の研究では、歯周病による歯の抜歯後に一般歯科医師が患者にインプラント治療を推奨する頻度とその決定に影響を与える要因が調査されました。この研究では、年齢が高い、男性、糖尿病、定期的な歯周病のメンテナンス訪問への適切なコンプライアンスが不足、適切な口腔衛生慣行の欠如、前歯のタイプなどが、インプラント推奨の可能性が低いことに関連していました。【Al-Shammari et al., 2006

これらの研究から、インプラント治療を勧めない理由は、高い費用、手術プロセス、長い待機期間、患者の知識不足、さらには特定の健康状態や歯周病の歴史など、多岐にわたることがわかります。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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