インプラント治療前・治療後の疑問

インプラント後は電動歯ブラシでケアOK?

インプラント後は電動歯ブラシでケアOK?

インプラントの治療後、電動歯ブラシを使用し手のケアは、インプラントの寿命という観点から良いと言えます。どうして電動歯ブラシがインプラントのケアに良いか、ご紹介いたします。

インプラントの治療の流れについて

インプラントの治療の流れを簡単にご説明します。インプラントは、失われた歯を補うために顎骨に埋め込まれる人工の歯根です。自然な歯に近い機能と見た目を回復させることができます。

インプラントの基本的な説明

インプラントは、生体親和性の高いチタンで作製されたスクリューで、顎骨に穴を開け直接埋め込まれます。期間をおいて骨との結合を待ち、その後支台(アバットメント)を入れて、人工歯(上部構造)を取り付ける義歯治療です。インプラントは自分の歯根で自立するため、咬む力や審美性が向上の他に残存歯に負担を掛けません。

インプラントのメリット

メリットとしては下記の点が挙げられます。

  • 失った歯の機能を効果的に回復させ、発音や咀嚼(そしゃく)の機能が改善されること
  • 残存歯に対してダメージを受けやすい他の治療と異なり、インプラントは歯根を埋入するため歯を続けて失うリスクが減ること
  • 自然な歯に近い見た目で人工歯との差が無く、自信を持って口元を開けられ、笑顔を見せたり話せること

インプラントのデメリット

デメリットとしては下記の点が挙げられます。

  • 手術を行うこと
  • 服用中の薬によっては負担がかかったり行えない場合があること
  • 保険適用外の治療であるため自由診療となり高い費用が発生すること

インプラントの治療後のケアの重要性

インプラントにとって、最も警戒すべき細菌感染は歯周病です。インプラント周囲炎は細菌感染で、歯垢(プラーク)が原因となり、歯肉で歯周病菌が増殖すると、インプラントを支える歯槽骨が破壊され、インプラントの動揺(グラグラ)や、脱落が起きてしまいます。インプラント周囲炎になってしまうと、まずインプラント周囲炎の対処後に、インプラントを再建しなければならず、心身や経済的に負担となります。細菌感染を起こさないためには、インプラントの周りに付着した歯垢を除去し、清潔な口腔状態を保つオーラルケアを丁寧にすることが感染症のリスクを減らし、インプラントの寿命を延ばすことに繋がります。

電動歯ブラシには様々な種類がある

インプラントを行っているデリケートな口腔内環境において、電動歯ブラシは細かい部分の汚れや歯垢を除去できます。電動歯ブラシの種類として下記のようなものがあります。違いとしてはヘッドの動き方です。

  • 音波式
  • 超音波式
  • 丸型回転式

音波式電動歯ブラシ

  • 音波振動による水流で歯周ポケット内の歯垢や、歯と歯肉の間の歯垢を除去しやすい
  • 当てる位置を変えるだけで、きちんとブラッシングが出来る
  • 音波式が一般的に多いため、選択した商品によっては差が生まれやすい

超音波式電動歯ブラシ

  • 音波よりも更に緩やかな超音波式で振動が小さい
  • 歯と歯肉への刺激が少ないが歯垢は除去できる
  • 普通の歯ブラシで磨くようにしっかりと動かさないと歯垢などを除去できない

丸形回転式電動歯ブラシ

  • 立体的な動きにより歯の汚れをこすって落とすことができる
  • 電動歯ブラシの振動が苦手な方におすすめ
  • 歯磨き剤が飛び散りやすく、歯や歯肉への刺激が強い

手動歯ブラシと電動歯ブラシの比較

手動歯ブラシはブラッシングを正しい方法で行わないと、歯の清掃効果が期待できない可能性があります。一方、電動歯ブラシは一定の圧力と速度でブラッシングを行うため、磨き残しなどが起きづらく効果的に清掃できます。

電動歯ブラシと手動歯ブラシの差

一貫した圧力と速度で磨けます。手動歯ブラシと比較しても電動歯ブラシは一定の圧力と速度で動作するため、歯や歯肉を傷つけるリスクを減らせ、効率よくプラーク除去が出来ます。振動したり高速回転するブラシヘッドが手動のブラシヘッドよりも振動や回転数が一定であるため、プラークを除去するからです。特に狭い隙間や難しい箇所の清掃に優れています。

参照先:日本歯科大学

インプラント用に適した電動歯ブラシの特徴

インプラント後のオーラルケアに適した電動歯ブラシについてご説明します。

  • ソフトブラシヘッドであること
  • 圧力センサー機能がついていること

ソフトブラシヘッドであること

インプラントの周囲はデリケートです。優しく清掃する必要があるため、柔らかめのブラシヘッドを選ぶことが重要です。

圧力センサー機能がついていること

歯磨きで力をかけ過ぎてしまうという人は大変多いです。過度な圧力でインプラントや歯へのダメージを避けるために、圧力センサーが付いているモデ選びをおすすめします。強力なモードや過度の圧力は、インプラント周囲の歯肉にダメージを与える可能性があるので、選ばないようにしましょう。

電動歯ブラシの正しい使い方

電動歯ブラシでのインプラントケアの具体的な方法についてご案内します。インプラントを傷つけないという観点から、音波式の電動歯ブラシを使用しましょう。インプラントケアのための電動歯ブラシの使用方法は、通常の歯のブラッシングといくつかの点で異なります。

インプラント部分の正しいブラッシング手順

  1. ブラシヘッドをインプラントの表面に軽く触れさせます。
  2. ブラシをゆっくりとインプラント周辺へ動かし、各部分を2秒間ずつインプラントの全周できているか注意しながら磨きます。
  3. ブラシヘッドを強く押し付けることは避け、優しく丁寧に磨きましょう。
  4. ブラッシングの時間が短すぎると清掃が充分に行われないため、フロスなども使用し時間をかけて行いましょう。

まとめ



丁寧にオーラルケアを行っていると、インプラントの寿命も長くなります。電動歯ブラシは一定の力と効率的なプラーク除去能力により、インプラントの日常ケアに非常に有効なツールです。正しいブラッシング手法と適切なブラシヘッドを選びましょう。セルフケアでは落とせない歯石については、定期的に通院しクリーニングを受診し、メンテナンスを続けることで長く健康な状態を維持できます。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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