インプラント治療前・治療後の疑問

顎の骨を削るのが怖いのですが…不安を和らげるために知っておきたいこと

顎の骨を削るのが怖いのですが…

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

「顎の骨を削る処置が必要です」と歯科医に言われたとき、強い不安を感じる方は少なくありません。

「骨を削るなんて痛そう」「大がかりな手術になるのでは?」と、頭の中で不安が膨らんでしまうこともあるでしょう。

特に「顎骨 削る 怖い」という言葉で検索される方の多くは、インプラント治療や親知らずの抜歯、あるいは外科的な矯正治療などで、骨に手を加える必要があると言われて戸惑っているのではないでしょうか。

このコラムでは、

  • 顎骨を削る治療の目的
  • どんなケースで必要になるのか
  • 怖さをやわらげる工夫
  • 安心して治療に臨むための準備方法

といったポイントを、患者さんの立場に寄り添いながら丁寧に解説していきます。

「怖い」と感じるのは、まだ知らないことが多いから。

まずは情報を知ることから、不安の解消を始めてみませんか?

顎の骨を削る処置は必要最小限、安全に行われます

「顎骨を削る」と聞くと怖く感じるかもしれませんが、歯科治療において骨を削る処置は、安全性を十分に確保した上で、必要最小限の範囲で行われます。特に現代の歯科医療では、麻酔や精密な診断装置によって、患者さんの負担を抑える工夫がされています。

顎の骨を削る治療は安全かつ最小限で行われ、不安を和らげる対策が整っています。

削る理由には治療の成功率や安全性が関係しています

顎骨を削るのは、無意味に削っているわけではありません。たとえばインプラント治療では、正しい位置に埋入するためにドリルで骨に穴をあけます。また、必要に応じて、骨の厚みを調整したりすることもあります。これは、治療の成功率や将来の安定性を高めるために重要な工程です。

骨を削るのは、治療の成功と安全性を高めるために必要な処置です。

どのような治療で顎の骨を削るのか?

顎骨を削る治療は、限られた場面で行われるものです。以下のようなケースが代表的です。

  1. インプラント治療

     → 骨に人工歯根を埋め込むため、骨の高さや厚さを調整する場合があります。
  2. 埋伏歯の抜歯(親知らずなど)

     → 骨の中に埋まった歯を取り出すために、周囲の骨を少し削ることがあります。
  3. 顎の不正咬合に対する外科的矯正

     → 骨格の問題がある場合、顎の骨を部分的に切除または整形する治療が行われます。

顎骨を削るのは、主にインプラントや親知らずの抜歯、外科的矯正などに限られます。

顎骨を削る処置の主な例とその特徴

治療内容 削る目的 削る範囲の目安 患者さんの負担(目安)
インプラント治療 骨の厚みや形を整え、インプラントを安定させるため 数ミリ程度 局所麻酔で対応可能。術後は腫れや痛みが数日程度
埋伏歯の抜歯(親知らずなど) 骨に埋まっている歯を取り出しやすくするため 歯の周囲を部分的に削除 麻酔下で実施、術後の腫れは個人差あり
顎変形症に対する外科的矯正 骨格のバランスを整え、不正咬合を改善するため 骨を一部切除・移動 全身麻酔下の手術、数日間の入院が必要なことも

これらの処置はいずれも、「骨を削る=怖い」という印象だけではなく、医学的な必要性に基づいて実施されています。無理に削ることは決してなく、治療の計画段階でCTなどの精密検査により判断されます。

インプラント治療における顎骨を削る目的と流れ

インプラント治療では、人工歯根(インプラント体)を顎の骨に埋め込む必要があります。このとき、骨の形や厚みが不適切だと、安定性に欠け、インプラントが長持ちしません。そこで、安全にインプラントを埋入できるように、必要最小限で骨の表面を整える処置が行われます。

インプラントを安全に埋め込むために、骨の形を整える処置が行われます。

インプラント手術の基本的な流れ

以下のようなステップで、骨を削る処置が行われます:

  1. 精密検査(CTスキャンなど)

     → 骨の厚みや高さ、神経の位置を把握し、安全な位置を確認します。
  2. 局所麻酔を実施

     → 手術中に痛みを感じないように、十分な麻酔をかけます。
  3. 骨を削る処置(ドリリング)

     → インプラントを埋入する穴を作るため、ドリルで数ミリ程度の穴を開けます。必要に応じて、骨の表面を整えるだけのこともあります。
  4. インプラント体の埋入

     → 人工歯根を顎骨の中にしっかりと固定します。
  5. 骨との結合を待つ期間(約2〜6ヶ月)

     → 骨とインプラントがしっかりと結合するのを待ってから、被せ物(人工歯)を装着します。

このように、インプラント手術では「削る=怖い手術」というよりも、精密で計画的に行われる工程の一部に過ぎません。麻酔も効いていますので、実際に痛みを感じることはほとんどありません。また、骨の厚みが足りない場合でも「骨造成」といった再生処置が可能であり、多くの患者さんに対応できる治療法です。

不安を和らげる工夫:麻酔・説明・技術の進歩

顎の骨を削る処置でも、痛みを感じないように以下のような対策が取られています。

  1. 局所麻酔の使用

     → 痛みはほぼゼロになるように、十分な麻酔を施します。特に怖がりな方は、静脈内鎮静法という点滴による麻酔も追加することが出来ます。
  2. 事前の説明で不安を軽減

     → どのくらい骨を削るか、どんな器具を使うかをあらかじめ説明します。
  3. CTや3D診断による精密な計画

     → 必要最小限の切削で済むよう、事前にシミュレーションします。
  4. 手術時間の短縮と無理のない手技

     → ドリルなども最新の静音設計で、患者さんの心理的負担にも配慮されています。

痛みや不安を最小限にするための工夫が、歯科ではしっかりと行われています。

「怖い」と感じるのは、見えない・分からないからです。治療内容を事前にしっかり理解し、信頼できる歯科医師のもとで受けることで、不安は大きく和らぎます。

患者さんにできること:事前相談と正しい理解が大切です

顎骨を削ることに不安がある場合は、治療前に歯科医院でしっかりと相談しましょう。自分の口の中の状態や、骨を削る必要性があるかどうかを説明してもらうことが大切です。

  • セカンドオピニオンの活用

     → 不安なときは他院の意見を聞くことも選択肢です。
  • 説明資料や模型を見せてもらう

     → 目で見て理解することで、イメージが湧きやすくなります。
  • 疑問は遠慮せず質問する

     → 小さな疑問でも放置せず、理解することが安心につながります。

納得して治療を受けるために、不安は早めに相談しましょう。

患者さんの理解と納得があることで、治療はより安心・安全に進められます。不安は我慢せずに、気軽に相談できる環境を選ぶことが重要です。

まとめ

怖さは「わからない」から来るもの。まずは理解から

顎の骨を削る処置は、医療的に必要だからこそ行われます。不安があるのは当然のことですが、怖さの多くは「知らないこと」から来るものです。治療の意味や方法を理解すれば、安心して前向きに治療を受けられるでしょう。

理解が不安を減らす第一歩。分からないことは一つずつ確認しましょう。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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