
「やばい!若いけれど歯がない人はどうすれば良い?」とすぐに処置してほしいけれど、どのような治療があるか不安に思っておられる方はおられます。若いのに歯がない原因や、放置するとどのようなリスクがあるのかについて詳しくご紹介いたします。
やばい!若いのに歯がない!
若いのに歯がない状態は、なかなかないわけではありません。特に審美性という見た目を気にされやすい年齢であるため、歯がない状態は悩みの種になります。悩みがコンプレックスになると精神的にもよくありません。歯がない部分は咀嚼がしにくくなってしまうことから、歯のある部分で噛む片側噛みをしてしまい、他の歯の負担が増し、お口の健康面にとって良いことはありません。
歯がない原因とは
若いのに歯がない原因として、下記のようなものが考えられます。
虫歯や歯周病
細菌感染で起こる虫歯や歯周病は、歯のエナメル質や骨が溶けたりしますが、高齢者だけ起こるというようなことはなく、赤ちゃんや子供、もちろん若い世代でも感染するため、年齢は関係ありません。甘いものや加工食品を多く摂る生活習慣があると、虫歯や歯周病のリスクを高めます。虫歯を放置するとエナメル質、象牙質へ穴が開き、神経(歯髄)が死に、歯の根(歯根)の先に膿の袋ができてしまい、ひどい状態になると歯が抜けてしまいます。日本人が最も歯を失う可能性が高い病気が歯周病で、歯周組織に細菌感染が進行すると、骨が溶け、歯が抜けるからです。
外傷や事故
コンタクトスポーツをやっていたり、友達と遊んでいてぶつかって歯が折れたり、交通事故に遭って歯が抜けたりすることがあります。特に前歯はぶつかると折れたり抜ける可能性が高いです。
先天的な問題
生まれつき歯の発育に問題がある先天的な場合があります。永久歯がそもそも生えてこない欠損歯になっている状態を先天性欠如と呼びます。日本小児歯科学会の調査によると、先天性欠如は約10人に1人の子供が欠損歯になっているというデータがあり、決して珍しいものではありません。欠損歯の親がいる子供は、同じように欠損歯になるケースがあります。
妊娠や出産
妊娠中は女性ホルモンのエストロゲンなどが分泌されやすくなります。
- 悪阻で吐く方はお口の中を中性に保ちにくい
- 食べ悪阻の方もちょこちょこ口に食べ物を入れる機会が多く歯磨きがしにくい
いずれの場合も、お口の中は酸性に傾きやすく、虫歯菌が活性化しやすいです。またホルモン分泌で唾液の質や量が変わってしまったり、お口のトラブルが起きて虫歯になって、通院するのが体調的に難しい場合、進行して歯が抜けるということが考えられます。
不適切な治療
歯医者さんでの治療中に転勤や転校で途中で終わった場合、歯が弱くなりやすく、最終的には抜けてしまうことがあります。
これらの原因はいずれも悪い状況に陥りやすいですが、しっかりとした対応を取ることで将来的な悪化を防ぐことができます。
若いのに歯がない人が治療せずにいたらどうなる?
若い年齢の人で歯がない状態を放置するとどうなるかというと、次のような影響が考えられます。
口腔内のバランスが崩れる
歯がない部分へ隣接する歯が徐々に動いてしまい、歯並びやかみ合わせが変化します。また、噛み合わせる反対の歯(対合歯)は噛み合う歯がいないと、1本勝手に伸びて噛み合わせや顎関節が悪くなります。顎の負担が増え、さらに他の歯もダメージを受けるリスクが高まります。
噛む力の低下
前歯で食べ物をちぎり、奥歯で食べ物をすりつぶすという機能がありますが、歯がない人は食べ物を十分に噛むことができなくなり、大きいまま飲み込むと消化器官に悪影響を及ぼすことがあります。歯があってしっかり咀嚼している人に比べて、食べ物に含有する栄養も吸収出来ません。また、噛む力(咬合力)が弱ければ、ご飯やパンなどを食べてしまい、肥満からくる循環器系の病気になることも考えられます。咬合力を保ち全身の健康状態を良くするためには、やはり歯の無い状態は避けなければなりません。
自信の喪失
歯が抜けると見た目が変わることになり、笑顔に自信を持てなくなる場合もあります。特に若い世代では、見た目の影響は心理的な負担につながりやすく、口元を隠しながら会話をしたり、しっかりと口を開けて発音するということを避けてしまうケースもあり得ます。これらの問題を避けるためにも、早期の治療が重要です。
若いのに歯がない人への治療法
失った歯を取り戻すためには、義歯治療が適切です。それぞれの治療法の特徴を比較してみましょう。
インプラント
歯を失った部分にチタン製の人工歯根(フィクスチャー)を埋め込んで骨と結合させ、そのうえに連結部分(アバットメント)と人工歯(上部構造)を入れて人工歯を自立させる治療法です。オールセラミックは天然歯と遜色ない光の透過度で自然な見た目になり、ジルコニアセラミックは強度に優れているため咬合機能を回復でき、いずれの場合も長期的な安定感があるのが特徴です。しかし、保険適用外の自由診療であるため、費用が高いことや手術が必要な治療であることがデメリットです。
ブリッジ
隣接する健康な歯を削り、連結した人工歯を被せて固定する方法です。インプラントに比べると保険適用できる材料があるため、費用は安く抑えられます。ただし、健康な支台歯に負担がかかるため、長期的には支台歯にダメージを与えてしまい、その歯も弱くなってしまう可能性があります。
入れ歯
取り外し可能な義歯で、保険適用から自由診療まで様々な材料があるため、比較的安く治療ができるということがメリットです。しかし、インプラントに比べて安定性が悪いことや、金具がある入れ歯は審美性が悪いこと、毎日取り外しての洗浄が面倒になることなど使用感に不満を持つ人も少なくありません。
どの方法が最適かは、患者さんのお口の状態や予算、どこを重要視するのかによって異なります。歯科医師とよく相談して決めることが大切です。
歯のない人が気をつけたいポイント
若いのに歯を失った場合のシーンごとでの注意すべきポイントを挙げます。
日常生活で気を付けるポイント
まずは日常生活で気を付けるポイントをご紹介します。
食事
固い食べ物を避けておき、歯に負担がかからない食べ物を選びましょう。インプラント手術後やブリッジの装着直後にも、やわらかい食事がおすすめされます。
口腔ケア
食後のブラッシングや就寝前にタフトブラシやフロスで歯面や歯周ポケットの清掃を怠らないことが重要です。フッ素は歯のエナメル質を強化し、虫歯のリスクを低減するため、フッ素配合の歯磨き剤を使用しましょう。
ストレス管理
ストレスが原因で無意識下の睡眠中に歯ぎしりや食いしばりをしてしまう人も多いです。これらの行為は歯が摩耗や破折を起こすなど歯に大きな負担をかけるため、マウスピースを作製して歯にかかる力を分散して負担を減らすのも一つの方法です。
バランスの取れた食事
栄養バランスの取れた食事は、口腔内の健康にも直結します。特に、ビタミンAやCやDを含有する食品と、カルシウムを多く含む食品を積極的に摂取しましょう。カルシウムは歯にとって欠かせない栄養素ですが、カルシウムを体に吸収しやすくするためにはビタミンが必要です。
禁煙
タバコは歯周病のリスクを高め、歯を失う原因となります。健康な歯を保つためにも、禁煙は大きなステップです。歯は一度失うと取り戻すのが難しいため、早めの予防と適切なケアが欠かせません。
歯科医院で行うケア
歯を失う前に健康な状態を持続するのが最も重要ですが、これ以上歯を失わないように守るためには歯科医院でしかできないケアを受けましょう。
定期検診
歯科医院での定期検診は、虫歯や歯周病の早期発見に繋がります。最低でも半年に一度は検診を受け、歯ブラシでは落とせない歯石や歯垢をクリーニングしてもらいましょう。歯や歯肉の状態を確認してもらい、早期の虫歯や歯周病があれば歯を削らずに対処できる場合があります。インプラント治療の場合もインプラントを入れたら終わりではなく、定期的に通院し、インプラントの脱落がないか、感染がないかなどチェックしてもらいましょう。
まとめ
若いのに歯がない人が直面する問題は、噛み合わせや咀嚼、審美性など様々です。どの義歯治療が最適かを見極め、ご自身が出来る限りのしっかりとしたケアを続けることが大切です。