
インプラントはただ手術を行うだけで終わりではなく、その後のケアが重要となります。インプラント治療後に起こるトラブル(膿や出血)を避けるためにはどうすれば良いかご説明します。
目次
膿が出る原因
インプラントから膿が出る場合、以下のような原因が考えられます。
インプラント周囲炎
インプラント周囲の歯茎や骨が炎症を起こす病気で、進行すると膿が出ることがあります。これはインプラント周囲の細菌感染によって引き起こされ、自然歯の歯周病に似ています。
手術後の感染
インプラント手術後に適切なケアが行われなかった場合、手術部位が感染する可能性があります。この感染が進行すると膿が出ることがあります。
歯肉の健康不良
歯肉が弱っていたり、傷ついたりすると、感染しやすくなり、膿が出るリスクが高まります。
インプラントで膿が出るケースとは
インプラント治療後に膿が出るケースには主に2つの原因が考えられます。
- 手術後数日の間に膿が出た→細菌感染によるもの
- 手術後かなり日数がたってから膿が出た→インプラント周囲炎によるもの
1. 手術後数日の間に膿が出た
インプラント手術を受けて数日間のうちに膿が出た場合は、インプラント手術をした部位への細菌感染が原因で炎症が起こっています。放っておくと悪化する場合があるため、すぐに歯科医院に連絡し、必要な処置を受けましょう。
細菌への感染は、治療中に起こる場合と治療が終わってからのセルフケアによって起こる場合があります。もちろん歯科クリニックでは細菌感染を起こさないように細心の注意を払って治療を行っておりますが、ごく稀にですが感染が起こる場合があります。
自宅でのメンテナンスが感染の原因になったケースでは、インプラント手術後に処方された抗生物質などのお薬の飲み忘れや、お口のメンテナンス不足によって起こることがあります。歯磨きの磨き残しが多く、お口のなかに細菌が多い場合、インプラントの周囲が感染して炎症を起こし、膿が出ることがあります。
膿みが出た場合はすぐにインプラント手術を受けた歯科医院に連絡し、支持を仰ぎましょう。
2. 手術後かなり日数がたってから膿が出た
手術後かなりたってから膿が出た場合は、インプラントの周囲が歯周病になった可能性があります。インプラント周囲炎は歯垢(プラーク)の中で繁殖した細菌によってインプラントの周囲の歯茎に歯周病が起こって炎症を起こしている状態をいいます。
周囲炎によってインプラントと歯茎の間に歯周ポケットが形成され、そこに歯垢がたまると、インプラント体の表面についた歯垢を落とすのは大変難しく、周囲炎が進行してしまうリスクがあります。そのまま周囲炎が進行するとインプラントが埋まっている周囲の歯茎や骨を溶かし、重度になれば膿や出血、インプラントの動揺などの症状が起こります。
膿が出た場合のリスク
膿が出るということは、インプラント周囲に感染や炎症が広がっているサインであり、以下のようなリスクがあります。
インプラントの脱落
インプラント周囲の骨や歯茎の健康が失われると、インプラントが固定できなくなり、最終的に脱落する可能性があります。
隣接する歯への影響
感染が広がると、インプラント周囲の健康な歯にも悪影響を与えることがあります。
どうすればインプラントから膿が出るのを予防できる?
インプラントから膿が出るなどのリスクを回避するためには、下記の点に注意をしましょう。
- インプラント手術から数日間は処方された薬を飲む
- インプラント手術から数日間は埋入部位を避けて歯磨きを行う
- インプラントが落ちついたらご自宅での歯磨きを毎食後にていねいに行う
- 3ヶ月に1回など定期的に通院し、インプラントが長く使用できるよう、メンテナンスを行う
ご自宅でのオーラルケアについては、歯の表側、裏側、咬合面などを一本ずつ磨きましょう。そして、デンタルフロスや、歯間ブラシなどで歯と歯の間や、歯肉にたまった食べかすや汚れを取り除きましょう。
インプラントから膿が出るのを予防するためには、以下のポイントも重要です。
定期的な歯科健診
インプラント周囲の状態を定期的にチェックし、炎症の早期発見と治療を行うことが大切です。特に、インプラント治療後は専門的なメンテナンスが必要です。
正しい方法での歯磨き
インプラント周囲を清潔に保つことが重要です。歯ブラシやフロスを使って、インプラント周辺の歯垢や食べかすをしっかり除去しましょう。
生活習慣の見直し
喫煙や不規則な生活習慣は、インプラント周囲炎を引き起こすリスクを高めます。禁煙や規則正しい生活を心掛け、口腔内の健康を保つことが重要です。
膿が出た場合の対処法
もしインプラントから膿が出た場合、早急に歯科医師に相談することが必要です。適切な診断を受け、以下の治療が行われることが一般的です。
抗生物質の投与
感染が確認された場合、抗生物質による治療が行われ、炎症を抑えることが期待されます。
インプラント周囲のクリーニング
専門的なクリーニングで、インプラント周囲の細菌や汚れを除去し、感染を抑える治療が行われます。
インプラントとは?

インプラントとは、人工歯根(フィクスチャー)・アバットメント(連結部分)・上部構造(人工歯)の3つの部分で成り立ちます。
インプラント治療前に注意が必要な方
インプラントは外科手術を行いますので、全身疾患の持病のある方は注意が必要です。
- 薬を日常的に服用している
- 糖尿病・骨粗しょう症・心臓疾患などの全身的な疾患がある
このような方は、かかりつけ医に確認して許可をもらってからインプラント治療を行う必要があります。
インプラント治療後のトラブルとは?
インプラントを行った後に、次のようなトラブルがあったら要注意です。
- 膿が出る
- 歯茎の炎症や出血がある
- 口臭がする
- インプラントがぐらつく
- 歯茎が下がってインプラントの金属部分が見えている
一つでも当てはまる場合は、インプラント周囲炎にかかっている可能性がありますので、なるべく早くクリニックを受診して対処してもらいましょう。
インプラントから膿が出る時の原因と予防法に関するQ&A
インプラントから膿が出る主な原因は、インプラント周囲炎です。この炎症は歯垢や細菌の増殖によって引き起こされ、歯茎や骨を溶かし、膿や出血の症状が現れます。
インプラントから膿が出るのを予防するためには、以下の点に注意する必要があります。まず、日常の歯磨きを食後にしっかり行い、歯垢や細菌の繁殖を防ぎます。また、定期的な通院とメンテナンスを受けることも重要です。歯科医院でのプロのクリーニングにより、歯垢や歯石を除去し、口腔内の清潔さを保ちます。
インプラントから膿が出た場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。医師は炎症の原因を評価し、適切な治療を提案します。炎症が進行している場合、抗生物質や抗炎症薬の処方、インプラント周囲のクリーニング、あるいは再手術などの治療が行われる場合があります。早期の対処はインプラントの健康を保つために重要です。
まとめ
インプラントは、保険適用外のため自由診療で、費用もブリッジや入れ歯と比べて高くなります。そのため、下記の二点を兼ね備えた医院を探しましょう。体に安心で安全なインプラントをするためには欠かせない要素です。
- 医院環境(CTが院内設備である)が整った場所でインプラントをすること
- 症例豊富で信頼がおけるドクターにインプラントを行ってもらうこと
インプラント後の腫れや痛みがある方は、リカバリーが可能なクリニックへご相談ください。