インプラント治療前・治療後の疑問

インプラントのトラブルとは?代表的な種類とその対処法

インプラントのトラブルとは?

「せっかく高額なインプラントを入れたのに、不具合が起きたらどうしよう…」そんな不安を感じていませんか?

インプラント治療は、見た目や噛む力を取り戻すための優れた方法ですが、決して“ノートラブル”ではありません。実際には、治療後に違和感を感じたり、被せ物が外れたりといったトラブルが起こることもあります。

この記事では、インプラントで起こりやすいトラブルの種類やその原因、予防法、対処法についてわかりやすく解説します。これからインプラントを検討している方はもちろん、すでに治療を終えた方にとっても、**「後悔しないための知識」**としてぜひ参考にしていただければと思います。

インプラントにもトラブルはある?

インプラント

インプラントは「第二の永久歯」ともいえる治療法ですが、100%成功するとは限りません。治療後に何らかの問題が起こるケースもあり、早期発見・早期対応が重要です。

インプラントは優れた治療法ですが、トラブルが起こる可能性もあります。

近年、インプラントは「天然歯に近い噛み心地」「見た目が自然」「長期間使える」といった理由で選ばれることが多くなっています。たしかに、正しく治療・管理されれば、10年以上機能を保つことも可能です。しかし、すべての患者さんがトラブルなく過ごせるわけではありません。

実際には、以下のようなトラブルが一定の割合で報告されています。

  1. インプラント周囲の歯茎が腫れる・痛む
  2. 人工の歯(被せ物)が割れる・外れる
  3. インプラント本体が緩む・破損する
  4. 長期間の使用で骨に変化が起きる

これらの問題は、「治療の失敗」ではなく、術後のメンテナンス不足や体質的な要因によって生じるケースがほとんどです。

とはいえ、「インプラントが壊れたらどうしよう」「痛みが出たら失敗?」といった不安を抱えている患者さんも多いことでしょう。大切なのは、トラブルが起こる可能性を知り、正しく備えることです。

このあとの章では、実際に起こりやすいトラブルの種類や原因、予防法について詳しくご紹介します。まずは、「インプラントにもトラブルは起こることがある」と知っておくことが、後悔しない治療につながります。

「安心してインプラント治療を受けるために(PDF)」(出典元:厚生労働省)

誰にでも起こり得るトラブルとは

トラブル

インプラントのトラブルは、特別なケースに限らず、誰にでも起こり得ます。

以下のような条件があると、トラブルのリスクが高くなります。

歯磨きが不十分な方:歯垢が溜まりやすく、炎症の原因に

喫煙習慣がある方:血流が悪くなり、治癒が遅れる可能性

糖尿病など全身疾患をお持ちの方:免疫力が低下し、感染リスクが高まる

歯ぎしり・食いしばりがある方:過度な力がインプラントに加わる

どの患者さんにも起こり得るトラブルであるからこそ、正しい知識と注意が必要です。

生活習慣や体質により、誰でもトラブルのリスクがあります。

インプラントの代表的なトラブル5選

起こりやすいインプラントトラブルの種類と特徴を押さえておきましょう。

インプラント周囲炎(インプラントの歯周病)

 歯垢が溜まり、歯茎や骨に炎症が生じる状態。放置するとインプラントが抜け落ちる可能性も。

インプラント体の破損・緩み

 ネジの緩みや骨との結合不良によって、噛む力に耐えられず破損するケース。

被せ物(人工歯)の破損・脱離

 セラミックなどの人工歯が欠けたり取れたりすることがあります。

痛み・違和感が続く

 神経に近い位置にインプラントを埋入した場合などに、持続的な痛みが残るケースも。

手術時の神経や血管の損傷

 まれに、術中に神経や血管を傷つけることで麻痺や腫れが出ることがあります。

これらのトラブルはいずれも、適切な対応を行えば悪化を防ぐことができます。日々のケアと定期的な健診が鍵です。

短い要約:主なトラブルは5種類あり、どれも早期対応が重要です。

実際にあったトラブルとその対応例

リアルな事例から、どのような対応がなされたのかを学びましょう。

ケース1|歯磨き不足でインプラント周囲炎に

 ⇒ 歯垢除去と抗菌薬の使用、定期的な歯科でのクリーニングにより改善。

ケース2|人工歯が欠けた

 ⇒ 被せ物の再製作・交換で審美性と機能を回復。

ケース3|埋入後の痛みが1ヶ月続いた

 ⇒ レントゲンとCTで神経との距離を確認し、再治療を検討。

これらの対応から分かるように、「おかしいな」と思ったらすぐに歯科医に相談することが大切です。

実際のトラブル事例から、適切な対応が行われていることが分かります。

「あなたの歯科インプラントは大丈夫ですか(PDF)」(出典元:国民生活センター)

トラブルを防ぐためにできること

未然に防ぐ努力が、インプラントを長持ちさせるポイントです。

毎日の丁寧な歯磨きと補助清掃

歯科医院での定期健診

禁煙の継続

噛み合わせや歯ぎしりの確認

体調管理と薬の申告

これらは、トラブル予防の基本中の基本です。患者さんの協力があってこそ、インプラントは機能し続けます。

トラブルは防げるものも多く、日々の習慣が大きく影響します。

少しでも気になったら、すぐに相談を

すぐに相談

不安を抱えたまま放置しないことが、トラブルを防ぐ一番の対策です。

違和感や腫れ、痛みがあるときは、「様子を見る」のではなく、すぐにかかりつけの歯科医院で相談しましょう。問題の早期発見・早期対応が、インプラントの寿命を延ばします。

こんな症状があったら、早めに歯科医院へ相談しましょう

  • 噛んだときの痛みや違和感が続く
  • 歯ぐきが腫れている、血が出る
  • 人工歯がグラグラする、浮いている感じがする
  • 口臭が強くなった気がする
  • インプラント周囲がズキズキする

「これは普通のことかな?」と迷った時点で、すでに相談のタイミングです。

不安や疑問は、一人で抱え込まず、信頼できる歯科医師に相談することが、トラブルを未然に防ぐ第一歩となります。

放置せず、早めの相談が未来のトラブルを防ぎます。

まとめ

インプラントを長く安心して使うために

インプラント治療は、失った歯を補うための優れた選択肢ですが、正しいケアを怠るとトラブルに発展するリスクがあります。代表的なトラブルには、インプラント周囲炎、人工歯の破損、痛みや違和感の継続などがあり、誰にでも起こり得るものです。

しかし、次のような対策を取ることで、多くのトラブルは予防できます。

  1. 毎日の丁寧な歯磨きと清掃
  2. 歯科医院での定期的な健診
  3. 体調の変化や異変を感じたらすぐに相談
  4. 喫煙や歯ぎしりといったリスク要因の見直し

インプラントは適切なメンテナンスと早期の対応があれば、10年、20年と快適に使い続けることが可能です。少しでも不安や違和感を覚えたときは、「様子を見る」のではなく、信頼できる歯科医院に相談することが、長持ちの第一歩です。

あなたのインプラントが、ずっと健康に機能し続けるよう、日々のケアと正しい知識を大切にしていきましょう。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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