インプラント治療前・治療後の疑問

インプラント手術は本当に痛くない?麻酔の種類について教えて

インプラント手術は本当に痛くないの?

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

インプラント手術と聞くと「痛そう」と思われるかもしれませんが、痛みを感じなくするための様々な麻酔の方法があります。痛いのではないか?というご質問にお答えします。

インプラント手術は局所麻酔

インプラント

インプラント手術は虫歯の治療などと同じ局所麻酔で行いますので、通常は痛みを感じません。局所麻酔は痛みを伴う処置を行う部分だけに麻酔を行う方法で、処置を行う部位に局所麻酔薬を注射します。

局所麻酔は歯の治療などの比較的小さな手術の時に行われ、薬が効いていない場所は感覚があります。例えば右下の奥歯に局所麻酔の注射をした場合は、注射をした右下奥歯の周辺部分だけが麻痺して、その部分に触れても感覚がなく歯を削っても何も感じなくなりますが、右上の奥歯や左側の歯は痛みを感じます。

局所麻酔では意識もはっきりと残っており、周りの音や声も聞こえます。麻酔の効いている時間は麻酔の本数や個人差によって少し変動がありますが、大体2~3時間くらいの間です。麻酔が完全に切れるまでの間に食事をすると、頬の内側を誤って噛んでしまったり、食べ物が治療した部分に当たったりして危険ですので、食事は麻酔が切れてからとるようにお願いしています。



軽い眠り状態になる点滴麻酔の静脈内鎮静法(セデーション)

静脈内鎮静用シリンジポンプ

痛みそのものは局所麻酔で感じなく出来るのですが、歯科恐怖症の方や、怖がりの方、不安や緊張が強い方には、局所麻酔の前に静脈内鎮静(セデーション)という点滴での麻酔を行います。

静脈内鎮静を行うとリラックス状態になり、軽い眠りに入って手術の緊張が軽減されます。痛みを感じさせないための麻酔は通常の歯科治療で行う局所麻酔を行い、静脈内鎮静では不安や恐怖心を取り除いて、精神的な安静状態をもたらします。

歯科恐怖症といって、診療チェアに座っただけで脈拍が早くなり、脂汗が出たり、過呼吸気味になったりする方がおられます。そのような方は、静脈内鎮静法で麻酔を行うとリラックスして頂くことで、歯科治療が可能になります。

麻酔が効いている間は、完全に意識を失うわけではなく、担当医からの呼びかけには反応し、答えられます。うとうと眠っている間に手術が終わり、静脈内鎮静には健忘作用があるため、時間の感覚があやふやになって、あっという間に手術が終わったように感じる方が多いです。静脈内鎮静法は、精神的な負担が少なく、インプラントの埋入本数が多い場合におすすめの麻酔です。

鎮静・鎮痛効果のある笑気麻酔

笑気麻酔

静脈内鎮静法よりもお手軽な笑気麻酔(笑気吸入鎮静法)という麻酔もあります。笑気麻酔は鼻から吸い込むだけで鎮静状態になり、治療後は30分以内に肺などから体外に排泄されます。笑気とは低濃度(30%以下)のほんのり甘い香りのする無色の気体で、鎮静作用があって血圧や脈拍を安定させます。

笑気麻酔

笑気麻酔では笑気と高濃度酸素を混合して使用し、うたた寝しているようなリラックス状態になります。不安やストレスを感じなくなるため、お子さんの虫歯治療に積極的に使用している歯科医院もあります。

インプラント手術の身体へのダメージはどれくらい?

 

インプラントを1本埋入する時の身体へのダメージは、歯を1本抜歯する程度ですので、それほど強い痛みはありません。手術後に麻酔がきれてくると少し疼くように感じることはありますが、痛み止めの薬を飲んで頂けば落ち着く程度です。局所麻酔で手術が出来ますので、入院の必要はなく、その日に帰宅して頂けます。

インプラント手術で腫れや痛みが出るのは、インプラントの埋入本数が多い場合や、骨を増やすための処置を行った場合です。

腫れのピークは術後2~3日で、徐々に落ち着いてきます。その腫れは感染によるものではなく、身体に外科的な刺激を加えたため身体が反応して起こしている炎症ですので、その状態が長引くことはありません。

激しい痛みを伴う腫れには注意が必要ですが、通常はそのようなことはありません。

まとめ

このように、麻酔の方法によってもインプラント手術の痛みや不安をやわらげることが出来ます。歯医者が苦手だったり、不安が強い方は、手術当日に使用する麻酔についても担当医とよく話し合ってお決めください。

※ インプラントは保険が適用されない自由診療です。