インプラント

インプラント長持ちの重要ポイント 周囲炎の予防と噛合の調整

インプラント長持ちの重要ポイント 歯周病予防と咬合の調整

インプラントを長持ちさせるにはインプラント周囲炎(歯周病)にならないようにすることが大切ということは、よく言われています。

もう一つ重要なのが、噛み合わせの調整をするということです。噛み合わせが悪かったり歯ぎしり・食いしばりがあると、インプラントに横に揺れる力が加わってグラつくリスクがあります。インプラントを長もちさせるためのポイントについてご説明します。

インプラントを長もちさせるためのポイント

インプラントの平均寿命は10年~15年であるという説がある一方で、きちんとメンテナンスをすれば40年以上長もちするケースもあります。

インプラントを長もちさせるためには、いくつかの重要なポイントがあります。主なものについてご説明します。

インプラントを長もちさせるためのポイント

  1. 毎日のセルフケア
  2. 歯科医院でのメンテナンス
  3. 骨を強くする生活
  4. 喫煙しない
  5. 咬合の調整
  6. 一流メーカーのインプラント

1.毎日のセルフケア

歯磨き

インプラントは日々の歯磨きを丁寧に行いましょう。上部構造をセラミックで作製している場合は歯の表面には歯垢がつきにくいのですが、歯と歯の間に歯垢や歯石がつくと、その中に細菌が繁殖して歯茎に炎症を起こし、歯周病の原因となります。

インプラントの周囲の組織が歯周病になることをインプラント周囲炎といい、インプラントを失う理由のトップです。そのため、まず毎日の歯磨きなどのセルフケアをていねいに行って、出来るだけインプラントや周りの歯に歯垢がつかないように清潔に保つ必要があります。

歯ブラシだけでは不十分で、歯と歯の間などに歯垢が残ってしまいます。デンタルフロスや歯間ブラシ、タフトブラシなども使ってきれいに清掃するようにしましょう。

2.歯科医院でのメンテナンス

メンテナンス

メンテナンス(定期健診)ではセルフケアでは落としきれない歯垢(プラーク)や歯石を専門の器械を使って徹底的に除去し、お口の中の歯周病菌を減らします。

3ヶ月に1回程度の頻度で、定期的に歯医者に通ってプロによる歯のクリーニングを受けると、お口の隅々まで清掃することが出来ますので歯周病のリスクが減ります。歯面をツルツルに磨き上げますので、歯垢がつきにくくなり、新しく歯石が出来るのを防ぎます。既に軽度の歯肉炎を起こしている場合も、改善させることが可能です。

インプラント周囲炎を防ぐためにも、セルフケアに加えてプロのメンテナンスを受けるようにしましょう。インプラント周囲炎はある程度進行するまでは自覚症状がなく、ご自分では気づきにくいですが、歯科医師や歯科衛生士がプロの目で見ると歯肉の僅かな腫れも見逃さずにチェックでき、トラブルになる前に対応することが可能ですので、ご安心ください。

3.骨を強くする生活

毎日の生活を規則正しくし、食生活や運動にも気を配って骨を強くしましょう。全身の健康が結果的にインプラントの寿命を延ばすことにも繋がります。良く噛むことは脳に刺激を与え、認知症の予防にもなります。

4.喫煙しない

インプラントは喫煙と相性が悪く、タバコに含まれる有害物質が歯ぐきから血流に入り込むと、免疫力が落ちて歯周組織や骨を弱らせます。また、喫煙は歯周病を進行させるリスクにもなりますので、完全に禁煙するのは無理な場合も、出来るだけタバコは控えるようにしましょう。

5.咬合の調整

お口全体の噛み合わせが悪いと特定の歯に強い力がかかり、歯を傷めると同時に歯周病のリスクとなります。特にインプラントを入れた歯は歯根にしっかりと固定されているため、天然の歯よりも強く噛むことが出来ます。強く噛みすぎたり、食いしばりや噛みしめの癖がある方は注意が必要です。

噛み合わせについては後述します。

6.一流メーカーのインプラント

一流メーカーのインプラント体は世界的に多く利用されており、実績があります。また、臨床データの蓄積によりエビデンスも豊富で信頼できます。

噛み合わせが悪いとインプラント周囲炎になりやすい

入れ歯の痛み

インプラントを長く使うためには噛み合わせの調整が大切です。噛み合わせが悪いと全ての歯で均等な力で噛むことが出来ず、歯の一部分にだけ強い力が加わることになります。

上下の歯の角と角が噛み合わずにいびつにぶつかり合い、ものを噛むとその一点に体重の5倍もの力がかかります。そのため被せたもの(上部構造)に負担がかかり、インプラントがグラグラしてきてやがて抜けてしまうこともあります。

そもそも歯を失ってしまった原因は歯周病だった方もおられるでしょう。歯周病になる原因は歯周病を引き起こす細菌に感染するからだと一般的に言われていますが、噛み合わせの悪さからも歯周病が引き起こされます。

噛み合わせが悪いと一部の歯に無理な力がかかり続けて、歯の根が傷んで歯周病になってしまうのです。インプラントの周囲の歯肉が歯周病になることを、インプラント周囲炎と呼びます。その症状は歯周病とほぼ同じ経過をたどり、悪化するとインプラントが抜けてしまいます。

噛み合わせの悪さから歯周病になって歯が抜けてしまい、インプラント治療を受けて咬合を回復させても、根本的な問題である噛み合わせの悪さは解決していません。結果的に、無理な力がかかり、歯の根が傷んでインプラント周囲炎になってしまうこともあるのです。

噛み合わせが悪いと咬合崩壊を起こすこともある

歯の模型

全ての歯は隣の歯とぴったりと並んで支え合っています。歯を1本失うと、そのすき間を埋めるために隣の歯の生えている角度が変わり、更にその隣の歯の角度が変わり、と順々に歯が僅かずつ動いていきます。

そして1本の歯を失ったために歯並びが悪くなり、奥歯が噛み合う位置が変わってしまって噛み合わせが狂ってきます。歯の一点に力がかかり続けると、歯の根が傷んで、また歯を失うということが起こります。

歯を失う連鎖がどんどん起こり、咬合のバランスが崩れて噛み合う歯がなくなっていくことを咬合崩壊といい、そのまま治療しなければほぼすべての歯を失うこともあります。

歯と歯根は上下合わせて28本あります。本来は28本の歯根全体を使って噛む力を分担するように出来ているのですが、歯を失って歯根の数が少なくなったり、噛み合わせがずれていたりすると、噛む時に歯1本にかかる負担が大きくなって歯の亀裂や破損、知覚過敏などを引き起こします。

インプラントで咬合崩壊を防ぐには

歯と歯茎

インプラントは入れ歯やブリッジと違って人工歯根があるから、咬合崩壊を起こさないのでしょうか?実はそうとも言い切れないのです。

失った歯をインプラントで補った後も、お口の中には治療をしていない天然の歯や、金や銀やプラスチック、セラミックなどの様々な詰め物・被せ物が存在しています。

それらは一つひとつの硬さが違いますので、物を食べた時の歯のすり減り方がそれぞれ違います。つまり、インプラント治療によって理想的な噛み合わせを作ったとしても、噛みしめの癖がある場合には歯のすり減り方が大きく変わってきて、噛み合わせが崩れるスピードが速いということになります。

そのため、やはり大切なのは歯ぎしり、噛みしめなどの癖を治すことと、少しでも噛みしめから歯を守るために、ナイトガードを使用することが必要になります。

それが天然の歯や被せ物をした歯、そしてインプラントの上部構造を守ることになり、インプラントの長もちに繋がっていきます。

【動画】インプラントの寿命について

クローバー歯科総院長の松本正洋がインプラントの寿命について解説。

まとめ

インプラントは高額な治療なので、出来るだけ長もちさせたいものです。咬合崩壊を防ぐためには、インプラント治療をして人工歯根を入れるだけでなく、噛みしめ癖のある方はナイトガードを使って噛み合わせが崩れないようにしましょう。

また、せっかく入れたインプラントがだめになって後悔しないためには、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けると共に、噛み合わせの調整を受けることをおすすめします。