
インプラントを検討中の方で、喫煙習慣をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、たばこを吸うとお口に様々なリスクを起こす要因につながります。今日はたばこで起こるインプラントの問題についてご説明しますね。
そもそもインプラントって?

まず、インプラント治療についてご説明します。
インプラントとは、虫歯や歯周病、事故などで歯を失ってしまった場合の治療です。まず歯科医師が歯茎を切開し、フィクスチャーと呼ばれる人工歯根を顎に埋入する手術を行います。その後チタン製の人工歯根が骨と結合するのを待ちます。しっかりと結合するまでには数か月かかります。
人工歯根が骨としっかりと結合したら、アバットメントと呼ばれる土台を入れて、上部構造と呼ばれるかぶせ物(セラミック製が多いです)を装着します。これが一般的なインプラント治療の手順で、天然歯のような噛める幸せを手に入れることができます。インプラント後も、歯科医院でメンテナンスをしっかり行えば、インプラント周囲炎などのトラブルを防ぎ、インプラントをを長く保つ事が出来ます。
タバコでお口にどんな影響がある?

では、患者さんがタバコを吸ってしまうと、お口にどんなデメリットがあるのでしょうか。
一般的に広く知られていますが、タバコにはヤニが含まれています。ヤニが歯に付着すると、歯周病菌の原因となる細菌を歯に付着させてしまう一因となると言われています。すなわち、歯周病や歯肉炎などの疾患につながります。
歯周病に関しては、日本歯周病学会のホームページをご覧ください。<参照先:日本歯周病学会>
喫煙が口腔内にとって悪い理由はいくつかあり、喫煙する人は非喫煙者に比べ、歯周病にかかりやすいという統計的データがあります。タバコに含まれる化学物質が歯肉からの出血を抑えてしまったり、歯肉組織を硬くすることで、歯周病の症状が気づきにくくなるのです。
また、喫煙者は末梢血(血管の中を流れる通常の血液)への影響があるので、通常より歯周病の治り方が悪いそうです。つまり、煙草は歯周病等の疾患になりやすくするばかりでなく、気付き難くし、治り難くする原因といえます。
インプラント前だけたばこ我慢すればいい?

歯科医院のカウンセリングでインプラント相談の際に、患者さんに喫煙習慣があることがわかった場合、担当医はインプラント治療をすぐに開始しすることが出来ません。なぜなら、インプラントは骨と癒合することを前提とした治療なので、喫煙により骨と結合しにくくなる可能性があるからです。すぐに禁煙できる喫煙者の方がそれほど多いとも思えませんし、喫煙によりインプラント治療でトラブルを抱えることが予想できます。
喫煙者の方は歯周病を疾患としてお持ちのケースが多く、感染のリスクも高いからです。つまり、歯周病などの歯肉の処置を終了してから、インプラントを開始することになります。
また、たばこに含まれるニコチンは、毛細血管の収縮を促す作用があります。毛細血管が収縮してしまうと、血行が悪くなります。そのため、インプラント体と骨がくっつかず、失敗となってしまいます。インプラント治療を安心して受けるためには、タバコを一時的にやめるようにお願いしています。
インプラント終了しても煙草我慢すべき?

インプラントがあごの骨と無事に結合し、土台や被せ物も入れたからといって、禁煙を終わりにしようと思わないでください。インプラントが成功したからと喫煙を復活させると、歯肉の炎症や口腔内の感染症のリスクを起こしやすい環境にしてしまいます。
煙草を吸うと、お口の中の唾液が減ってしまう傾向にあります。元来、唾液には口腔内を殺菌したり、洗浄する効果があるので、唾液が減るとその効果が薄れ、リスクである歯周病を誘発します。歯周病にかかると、インプラントの動揺や脱落などのトラブルが起きやすくなるため、インプラントそのものの寿命を縮めてしまいます。
このように喫煙にはメリットがありません。なるべく喫煙をやめておくべきかと考えます。
まとめ

このように、インプラント治療を成功させるためには患者さん側の努力が必要がケースがあります。タバコはインプラントにとって、百害あって一利なしといえます。できる限り禁煙して、インプラント治療を成功させていただきたいです。