
インプラントの手術が終わったあと、手術当日に注意すべきことが何点かありますので、ご説明します。インプラントは外科手術が必要なため、手術後はどのように過ごしたら良いのか不安になる方も多いと思います。基本的には普通にお過ごしいただいても大丈夫ですが、控えて頂きたいことが何点かありますので、ぜひご一読ください。
目次
インプラント手術後の食事の注意点
インプラント手術後は食事に注意が必要ですのでご説明します。
1. 手術直後の食事制限
インプラント手術直後は、麻酔がまだ効いているため、唇や舌の感覚が鈍くなっています。麻酔が完全に切れるまでは、誤って口の中を噛んだり、やけどをしたりするリスクがあるため、食事は控えることが推奨されます。通常、麻酔が切れるまでに2〜3時間ほどかかるため、その間は水分補給程度にとどめましょう。
2. 柔らかい食事の選択

手術後の数日間は、柔らかい食事を選ぶことが重要です。手術部位に負担をかけないように、噛む力をあまり必要としない食材を選びましょう。スープ、ヨーグルト、プリン、マッシュポテト、豆腐などが適しています。また、温かすぎるものや冷たすぎるものも、手術部位に刺激を与える可能性があるため、適温で食事を摂るようにしましょう。
3. 避けるべき食べ物
手術後の傷口を守るため、固い食べ物や粘着性のある食べ物は避けるべきです。ナッツ類、チューインガム、キャラメル、ステーキなどは、手術部位に過度な負担をかけ、インプラントの安定性に影響を与える可能性があります。また、辛い食べ物や酸味の強い食べ物も、傷口を刺激するため控えた方が良いでしょう。
4. 食事の回数と量
手術直後は一度に多くの食事を摂るのではなく、少量の食事を数回に分けて摂ることが推奨されます。これにより、消化器系への負担を軽減し、体が回復に集中できるようにします。また、栄養バランスの良い食事を心がけ、体力の回復を促進することが重要です。
5. 適切な水分補給
手術後は、口腔内の乾燥を防ぐために適切な水分補給が必要です。ただし、ストローを使って飲むと、口腔内の圧力が変わり、手術部位に負担をかける可能性があるため、ストローの使用は避けるべきです。コップを使って、ゆっくりと水分を摂取するようにしましょう。
6. アルコールとカフェインの制限

アルコールやカフェインは、血行を促進し、手術後の出血を悪化させる可能性があります。そのため、少なくとも手術後1週間はこれらの飲み物を控えることが推奨されます。また、アルコールは薬の効果を阻害する可能性もあるため、処方された薬を服用中は特に注意が必要です。
7. 食後の口腔ケア
食事後は、手術部位に食べ物の残りが溜まらないように、丁寧に口腔ケアを行う必要があります。ただし、手術部位を強く擦らないようにし、優しくうがいをする程度にとどめることが推奨されます。また、手術部位以外の部分については、通常通り歯磨きを行い、口腔内の清潔を保ちましょう。
これらの注意点を守ることで、インプラント手術後の回復をスムーズにし、インプラントの安定性を確保することができます。
インプラント手術後のセルフケアについて
インプラント手術当日の歯みがき

手術当日は、食後に簡単にうがいをして口全体をきれいにしましょう。ただし強くうがいをすると傷口から出血することもありますので、うがい薬をお口の中にいきわたらせる程度にします。
翌日は食後は少し念入りにうがいをし、食事以外の時も時々うがいをしましょう。水のうがいや、リステリン、イソジン等殺菌の効果があるものをお使いいただくと良いと思います。
歯磨きについては、手術した部分を避けるようにして、それ以外の歯は歯ブラシできちんと歯垢が取れるようにしっかりと磨いてください。手術した部分には触れないように気をつけましょう。舌で触れるのも刺激になり、手術した部分から出血したり感染や炎症を起こしたりして治癒を遅らせる可能性があります。
インプラント手術後の運動、入浴について
インプラント手術当日の運動は控えましょう
インプラント手術後は、ウォーキングや室内での腹筋、スクワットなどの軽い運動は2~3日の間は控えましょう。スポーツなどの激しい運動は、1週間程度は避けていただいた方が、腫れや炎症を起こすことなく傷口が治りやすくなります。
インプラント手術当日の入浴はシャワーのみに
手術当日は湯船につからず、シャワーのみにしましょう。お風呂につかると、アルコールと同じように血行が良くなって出血や炎症が起こりやすくなります。
血の巡りが良くなることは避けるというのがポイントです。
インプラント手術後の仕事などの日常生活について

手術当日は安静にリラックス
手術当日は、出血や腫れが起こっていることがあるため、出来るだけ安静にリラックスしてお過ごしください。翌日からはデスクワークなどの軽いお仕事なら可能です。
増骨の処置をした場合は殆どのケースで腫れが伴いますし、身体を動かすと出血や腫れがひどくなることがありますので注意が必要です。
疲労や寝不足にならないように
また、疲れや睡眠不足があると、免疫力が低下して細菌に感染しやすくなったり、傷が治りにくくなりますので、疲労が残るようなことは避けましょう。
このような注意点は、手術後に患者さんに直接お話させていただいており、ツール(印刷物)をお渡ししますので、ご安心ください。
インプラントと喫煙について

インプラント治療のためには、出来るだけ喫煙をやめていただくことが望ましいです。
ヘビースモーカーの方の場合、インプラント体が骨と結合しにくいという臨床結果が出ています。
どうして喫煙がインプラントに良くないかといいますと、喫煙することによって体内に取り込まれたニコチンが強い血管の収縮を起こしたり、血流を阻害して血行が悪くなるような働きをしたり、白血球の機能障害を起こすと言われています。これらのことが合わさってインプラント体と骨との結合がしにくくなり、手術の際の傷の治りも遅くなります。
インプラントが骨と結合しなければ、ぐらぐらした義歯になってしまいます。これはインプラントの失敗を意味していますので、普段喫煙される方も、インプラント手術前と手術後の一ヶ月間は禁煙するようにお願いしています。
タバコは歯周病にも良くないと言われていますので、健康のためには出来ればインプラント治療の間だけでなく、ずっと禁煙していただくことが望ましいです。
インプラント手術後にこんな症状が出たら注意!
以下のような症状が出た場合は早めに歯科医院にご連絡ください。
- 痛み止めを飲んでも痛みが続く
- 痛み止めを飲んだら下痢や湿疹がおこった
- 下唇の感覚が戻らない
- 鼻から血や膿が出る
- 出血が止まらない
- 大きく腫れている
痛み止めのお薬が身体に合わない場合は、薬を服用してしばらくするとお腹が緩くなることがあります。術後の気になる症状には個人差がありますが、腫れや出血などの辛い症状が続く場合は手術した部位に感染が起こっている可能性があるため、なるべく早く受診してください。
インプラントの安全性について

せっかくインプラント治療をして快適に食事ができるようになっても、もし壊れてしまったら・・と、不安に思われる方が多くおられます。インプラントはまだまだ新しい治療法で、今後どうなるかわからないと思われている方も多いです。
確かにインプラントの技術は最先端治療で、まだまだ新しい分野と言えるかもしれませんが、長年にわたる研究と多くの臨床データによって確立された治療法で、世界の五十カ国以上で治療が行われています。
長年の研究の積み重ねによって、安全性が高く強固な、現在のインプラントの構造が生まれました。そのため、インプラント本体が折れて骨がダメージを受けるということはありません。インプラント本体の上に取り付けられている上部構造も、セラミックで作られているため、とても丈夫です。
必ず何年持つという言い方は出来ないのですが、スウェーデンのアデル教授によって「90パーセント以上の方が15年以上安定して使用している」という内容が発表されており、殆どの方がインプラントを安定して使い続けているというデータが数多くあります。
また、当院では、インプラント本体は10年間、上部構造は5年間の保証期間をもうけておりますので、安心して治療を受けていただくことが出来ます。
インプラント手術当日の過ごし方と注意点に関するQ&A
初めての食事は、麻酔が完全に切れて口の中の感覚が戻ってきてからにしてください。
アルコールの摂取は控えてください。血流が良くなり、出血が止まりにくくなったり、腫れや炎症を起こしやすくなる可能性があります。
手術した部分を避けて、他の歯はきちんと歯垢が取れるようにしっかりと磨いてください。
まとめ

インプラント手術当日の注意点や過ごし方をご説明しました。インプラント手術をした部位の痛みや腫れは通常殆どの場合、1週間程度でおさまります。気になる症状があったり体調が悪い状態が続くときは我慢せずに歯科医院にご連絡ください。処置によって不快な症状を改善できることがあります。