「インプラント手術をした後のセルフケアはどうやったらいいの?」
「インプラント手術後は普通の歯磨きで大丈夫?」
インプラント手術当日からの歯磨きなどのケアについての注意点をご説明します。お口の中を清潔にすることは大切ですが、手術をした部分を刺激しないようにする必要があります。
目次
インプラントをした部位の歯みがき
手術をした部位は、手術後数日は出血や腫れや痛みがみられることがあります。唾液に血が混じると気持ちが悪くてうがいをしたくなると思いますが、手術当日のうがいは厳禁です。
転んで膝をすりむいて血が出ている時と同じように、手術をした部分はやがて血液が固まり、出血や化膿を抑えます。しかしうがいや歯みがきで血液を全て洗い流してしまうと、傷の治癒が遅れてしまいます。
そのため、手術当日から数日間はインプラントを埋入した部位へのうがいや歯磨きは行わないようにして、出来るだけ刺激を与えないように注意しましょう。
インプラント手術後すぐの歯磨きについて
インプラント手術後、すぐに通常の歯磨きを行うことは避ける必要があります。手術直後の数日は、傷口がまだ治癒しておらず、強くブラッシングすることで出血や感染リスクが高まる可能性があります。この期間は、手術を受けた部分を避けて、軽くうがいや歯磨きを行いましょう。
歯磨きの再開時期
通常、インプラント手術後1週間ほど経過すると、歯科医の指示の下で通常の歯磨きを再開することができます。ただし、傷口の状態を見ながら柔らかい歯ブラシを使用し、優しく磨くように心がけることが重要です。また、インプラント周囲の歯茎には特に注意を払い、刺激を最小限に抑えることが求められます。
特別なケア
インプラント周辺は、特に衛生管理が重要です。術後のケアには、通常の歯磨きだけでなく、抗菌性のうがい薬や、デンタルフロス、歯間ブラシを使用して細かい部分の清掃を行うことが推奨されます。また、インプラント専用の歯ブラシを使うことも効果的です。
- 手術した部位は手術後数日は刺激を与えないように注意
- うがいや歯磨きについては主治医の指示に従って下さい。
お口の中は一般的に治癒の速度が速いため、術後数日は腫れや出血がみられる状態でも、そっとしておけば数日で傷口がふさがります。
手術後に帰宅されてからも出血が止まらない場合は、ガーゼや脱脂綿を噛んで圧迫止血を行います。それでも出血が止まらない場合は、早めに歯科医院にご連絡ください。
インプラント以外の部分の歯磨き
インプラント手術と関係ない歯は、普段通りに食事の後の歯磨きをしても大丈夫です。インプラント埋入部が細菌に感染しないように、お口の中を清潔にしておきたいものです。
しかしインプラントを埋め込んだ部分への刺激にならないように、歯ブラシが当たったり、傷の部分を洗い流しすぎないようにご注意ください。
様々なデンタルケアグッズを使ってピンポイントで歯垢を落とすことの出来る方法があります。「デンタルフロス」「歯間ブラシ」「タフトブラシ」をお使い頂くと、誤って手術した部位に当たることもなくお口をきれいに出来る効果があります。日頃使っていない方も、この機会にぜひお使いいただきたいと思います。
また、使用する歯磨き剤ですが、顆粒などの粒子の大きいものを含んだ歯磨き粉は、傷の中に入り込んでしまうことがありますので、お勧めできません。液体のデンタルリンスやジェル状の歯磨き剤などでお口のケアを行っていただくと良いでしょう。
- インプラント埋入部分を洗い流しすぎると治癒が遅れることがあるので、刺激しないように注意しましょう。
仮歯がある場合の歯みがき
インプラント手術後、前歯などの歯がないと見た目が悪くて困る部分には仮の歯をお入れします。仮歯が入っている場合は、なるべく傷の部分にあたらないように注意しながら丁寧に仮歯を歯磨きします。
仮歯はレジンと呼ばれる歯科用のプラスチックで出来ていますので、歯垢がつきやすく、歯磨きをしないとすぐに表面に歯垢がついて細菌が繁殖して不潔になります。そのため仮歯は特に気をつけてケアをしましょう。
- 仮歯は汚れが付きやすいので、傷に触れないように仮歯だけを注意深く歯磨きしましょう。
上部構造の装着後の歯みがき
上部構造(被せ物)はセラミックで作られることが多いです。セラミックは表面に歯垢がつきにくく、着色もされにくいため、汚れや細菌の繁殖といった面では、仮歯よりは安心です。
しかしお手入れを怠ると、上部構造と歯茎の境目の部分に歯垢がたまり、そこに細菌が繁殖すると歯肉炎を起こしてしまいます。歯肉炎の症状が進むと歯周病(インプラントの場合はインプラント周囲炎と呼びます)になり、インプラントは感染に弱いため、天然の歯と同じかそれ以上にしっかりケアすることが必要です。
- セラミックは汚れや着色が付きにくいけれど、歯周病予防のために油断せず歯磨きしましょう。
治療後は歯周病予防が大切
上部構造の装着が終わったらインプラントの治療は終了ですが、インプラントを長持ちさせるためには歯周病にならないことが大切です。
せっかく入れたインプラントを失ってしまう理由の大半がインプラント周囲炎なので、歯周病にならないように予防することは、インプラント治療後に絶対に行わなければなりません。
歯周病予防は毎日のご家庭でのセルフケア(歯みがき)と、3ヶ月に1度程度の歯科医院でのメンテナンスを行います。歯周病予防のための考え方としては、天然歯と同じく、お口の中の歯垢や歯石を出来るだけ除去して、お口の中を清潔にして細菌の数を減らすということが目的となります。
歯周ポケット内の歯垢や歯石は歯磨きだけでは落とせませんので、必ず歯科医院でのメンテナンス(定期健診・クリーニング)を受けるようにしましょう。歯周病の予防をしっかりと行えば、インプラントの長もちに繋がりますし、周囲の天然歯の寿命を延ばすことにも関わってきます。
- インプラントを長持ちさせるためにメンテナンス(定期健診)を必ず受けるようにしましょう。
他に術後気をつけることはある?
インプラント手術後、出血や腫れがまだおさまらない間は、激しい運動や熱いお風呂や長風呂を避けましょう。血管が拡張してしまうと血流が良くなって血が止まりにくくなります。入浴したい場合はぬるめのお湯にさっと浸かる程度にするか、いっそシャワーで済ませましょう。 食事に関しては、刺激物やアルコールを控えることをおすすめします。
インプラント手術後の歯みがきに関するQ&A
インプラント手術後は、手術した部位に刺激を与えないように注意する必要があります。手術当日から数日間はうがいや歯磨きを行わないようにしましょう。
インプラント手術とは関係のない歯の磨き方は通常通り行って構いません。ただし、歯ブラシが手術した部位に当たらないように注意し、傷を洗い流しすぎないようにしましょう。
手術した部分は血液が固まり、出血や化膿を抑えるために固まった血液が重要です。うがいや歯磨きで血液を洗い流してしまうと、傷の治癒が遅れる可能性があります。
まとめ
インプラント手術当日から治癒期間を経て、上部構造を取り付けた後のケアまでをご説明しました。
せっかく入れたインプラントですので、大切にしましょう。そのためにはお口の中を清潔に保ち、インプラントはもちろん、天然の歯も長もちさせられるように歯周病予防を徹底しましょう。