インプラント治療前・治療後の疑問

インプラント治療後の運動や他の生活習慣に対する注意

インプラント後に運動や他の生活習慣しても良い?

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

インプラント治療後に運動や毎日の生活習慣を行うにあたっての注意点についてご説明します。

インプラント治療後に運動してもいい?

  • インプラント手術後は、軽い運動(ジョギングやウォーキング)であっても、2~3日間は控えましょう。
  • 身体がぶつかるような激しい運動(水泳やフットサル、バスケ等のスポーツ)は、1週間程度は避けましょう。

運動で身体を動かすと、全身の血流が良くなり、出血、腫れ、炎症等を引き起こし、治療が長引くリスクがあります。

入浴によっても血流が良くなりますので、運動と同じ理由で避けるようにしましょう。シャワー程度でしたら問題ありません。

インプラント治療後の生活上の注意

うがいに注意

日常生活で行ううがいには注意が必要です。勢いよくうがいを行うと、血餅というかさぶたのようなものがうがいで流れてしまい、縫合した部分から出血することがあります。出血を起こし過ぎるとドライソケットなどのトラブルが起きます。担当医から説明があると思いますが、なるべくうがいは控えるようにしましょう。

歯磨きに注意

歯ブラシが術後の箇所に強く当たると出血することがあります。インプラント治療の部分には歯ブラシを強く当てないようにしましょう。インプラント後の歯磨き方法については、医院から説明があると思いますので、その通りに行ってください。

喫煙はやめよう

タバコを吸う方は、インプラントを検討される段階から禁煙を行いましょう。タバコを吸っていると、血流が悪くなりインプラントと骨の結合が遅くなります。また、細菌感染などのリスクを増やす可能性があるので、禁煙を行ってからインプラント手術を行うのが望ましいです。

飲酒はやめよう

身体を動かすことで血流が良くなってしまうと出血が起こり、治癒が遅くなります。同様の理由でアルコールもお控えください。お酒を摂取すると血液の流れが良くなり、腫れや出血が起こるリスクが高まります。

入浴もやめておこう

日常生活で言えば、入浴も同様です。湯船に入浴すると、全身が温まり、血流が良くなってしまいます。インプラント直後はシャワーのみにしておきましょう。いつから入浴しても構わないかについても、治療計画の際に案内されると思います。

インプラントの手術を終えた直後は、インプラント体と骨を定着させるために大人しく過ごす時間とお考えください。そして、お口の中とはいえ手術を行うので、痛みや腫れが生じます。歯科医院から処方された鎮痛薬や抗生物質はきちんと服用しましょう。痛みや腫れは約1週間程度で引くことが多いです。

インプラントとは

インプラントの構造

 むし歯や歯周病、外傷や事故などで歯を失った際に行う治療には、入れ歯・ブリッジ・インプラントの3つがあります。

インプラント治療の流れ

インプラント治療には一回法と二回法がありますが、精密検査であごの骨の量や厚みがなければ一回法は難しいため、二回法で治療を行う方が多いです。今回はインプラントの二回法で説明します。

  1. 麻酔を行い歯茎を切開し、生体親和性の高いチタン製の人工歯根(フィクスチャー)を埋入する
  2. あごの骨と人工歯根が結合するまで時間をかけて待つ
  3. 人工歯根が骨としっかり結合したら二次手術を行う
  4. 再び歯茎を切開し人工歯根の頭を出して、アバットメントと呼ばれる土台を取り付ける
  5. 最終的な型取りを行い、セラミック等で上部構造(人工歯)を作製する
  6. スクリューかセメントで上部構造をアバットメントに装着する
  7. 数ヶ月に一度の定期検診を受けて、インプラントの周囲の歯茎が歯周病に感染していないかチェックしてもらい、歯のクリーニングを受ける

参照先:Straumann

インプラントのメリット・デメリット

インプラントのメリット・デメリットについてご説明します。

  • インプラントは天然の歯と同様に硬いものを噛める
  • 他の残存歯に負担をかけず自立している
  • 見た目に義歯と気付かれない自然な美しさがある

インプラントには多くのメリットがあります。もちろん、デメリットが伴うのも事実です。

  • 外科手術が必要
  • 全身疾患の服薬歴や既往歴によっては手術ができない場合もある
  • 保険適用外で自費治療のため、費用が高い

メリットやデメリットは患者さんの考えによって大きく異なります。生活の質の向上や他の歯の健康の安定を考えるならば、歯を失った際にインプラントを考えるのも一つの方法です。

インプラント後の運動などの生活習慣に関するQ&A

インプラント後の運動には注意が必要ですか?

インプラント直後の数日間は運動を控え、安静にすることが重要です。運動によって歯茎からの出血が増える可能性があります。特に接触の激しいコンタクトスポーツは一週間程度控えるべきです。

インプラント後の日常生活において注意すべき点はありますか?

インプラント後の日常生活で注意すべき点は以下の通りです。 – 勢いよく行ううがいには注意が必要で、血餅が流れ出血する可能性があります。 ・歯磨きの際には、歯ブラシがインプラント治療部分に当たらないように注意しましょう。 ・インプラント治療前から禁煙を行い、タバコの摂取を避けましょう。 ・血流を良くするためにアルコールの摂取も控えましょう。 ・入浴はインプラント直後はシャワーに限定し、医師の指示に従いましょう。 – 手術後の痛みや腫れには医師から処方された薬を服用し、約1週間程度の回復期間を考慮しましょう。

まとめ

入れ歯やブリッジは隣接する歯にバネや噛む力がかかるため、治療の期間は短いものの、残存歯がどんどん減少します。ですが、インプラントは人工歯根を歯茎に埋めるため自立できる歯で、他の歯の健康を損なうことがありません。インプラントは自由診療のため、歯科により料金が異なります。まず無料カウンセリング(当院は予約制)で相談してみましょう。

参照先:Wiley Online Libraly

インプラント治療後の運動や他の生活習慣に関しては、直接的な研究結果は限られていますが、一般的な健康維持や口腔内の健康に関連する生活習慣の重要性が強調されています。インプラント治療後の骨形成を促進するために、骨代謝を促進するサプリメントの摂取など、全身的なアプローチが有効である可能性が示唆されています。例えば、骨粗しょう症のサプリメントとして開発された合成骨鉱物(SBM)の摂取が、インプラント周囲の骨形成を加速し、治癒期間中の骨形成を促進する効果があることが、動物実験で確認されています。【Watanabe et al., 2015

また、歯科学生を対象とした別の研究では、運動やバランスの取れた食事が身体的および精神的な健康を維持し、ストレス管理に寄与することが示されています。このような生活習慣は、インプラント治療を受けた人々にも適用可能であり、定期的な運動がインプラントの長期的な成功に間接的に寄与する可能性があります。【Mahalingam et al., 2021

これらの研究は、インプラント治療後の患者が全体的な健康を維持するためには、適切な栄養摂取と定期的な運動が重要であることを示唆しています。また、インプラント周囲の健康を維持するためには、優れた口腔衛生習慣の維持が不可欠です。治療後の運動を再開する際には、特に手術直後は過度の身体活動を避け、医師の指示に従うことが重要です。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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