費用・治療費

インプラントの値段の高い医院と安い医院の違いは?

インプラントの値段の高い医院と安い医院の違いは?

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

インターネットで費用を調べると安い医院や高い医院があり、患者さんにとってとてもわかりにくいと思います。

インプラントの費用に医院ごとのばらつきがみられる理由

1. 使用されるインプラントの種類

インプラントの価格差の大きな要因の一つは、使用されるインプラントのメーカーや品質です。高額なインプラントは、長年の研究に基づいた信頼性の高いブランドや、最新技術を使用した製品であり、耐久性や骨との結合性に優れていることが多いです。一方、安価なインプラントは、製造元が不明確なものや、使用実績が少ないものが含まれる場合があります。

2. 技術や設備の違い

高額な医院では、最新のCTスキャンやデジタル技術を用いた精密な診断や治療計画が行われることが多く、インプラントの埋入手術がより正確に行われます。また、歯科医師の技術や経験も価格に影響を与えます。高度なスキルや豊富な経験を持つ歯科医師が行う治療は、成功率が高く、リスクが少ない傾向があります。

一方、安価な医院では、設備や技術に大きな投資をしていないことがあり、診断や治療が標準的なレベルに留まることが多いです。

3. 手術環境や衛生管理

高額な医院では、手術が行われる環境や衛生管理にも力を入れています。専用の手術室や最新の滅菌設備を備え、感染リスクを徹底的に減らすことが行われます。手術前のカウンセリングや術後のフォローアップも充実しており、患者にとって安心できる環境が整っています。

一方で、安価な医院では、手術環境や衛生管理が最小限に抑えられている場合があります。

4. 保証制度の有無

高額な医院では、インプラント治療に対する保証制度が設けられていることが多く、万が一インプラントが脱落した場合でも、再治療が無料または割引で行われる場合があります。保証期間が長いほど、患者にとっての安心感が高まります。

一方、安価な医院では、保証が限定的であったり、全く提供されないことがあり、トラブルが発生した際に追加費用がかかる可能性があります。

5. 医師の技術や経験

インプラント手術は高度な技術を要するため、医師の経験や技術力も価格に影響を与えます。高額な医院では、経験豊富で研修や専門資格を持つ医師が治療を行うことが多く、治療の安全性や仕上がりが期待できます。一方、安価な医院では経験が少ない医師や、一般的な歯科医がインプラント手術を行うことがあり、リスクが高まる場合があります。

インプラントの値段が安い医院について

1本20万とか25万とか安い医院があります。そういう安い医院は、経費削減とか、大量仕入れとか、宣伝広告費の圧縮とか、利益幅の圧縮などにより、安く治療できるのだと言っておられます。

安すぎる値段でインプラントを行える理由

どうやって歯科医院が安い値段でやっていけるのかについては、様々なことが考えられます。以下は一例です。

  1. 「薄利多売」で、大幅な治療技術の低下、難症例への対応不備(GBR、ソケットリフトの失敗など)
  2. 東南アジア製のコピーインプラントを大量に仕入れたり、安い素材のかぶせ物を使ったりしてる(食品偽装に近い?)⇒安全性が不安、また材料、器具が粗悪
  3. 採算優先のため、安全性や長期予後の軽視して、訴訟も多く抱えてる
  4. 医学的にインプラントが向いてない方にも平気で勧める
  5. HPには、○万円と安くうたっていたのに、実際には「あなたの場合は無理」とか言われて結局高くなったり、うたっていた費用が本体だけの費用で、しかもかぶせ物が異様に高かったりなど、安く見える費用で患者さんを集めて、高く請求してるところが多いです。
  6. 実際には広告宣伝費もたくさん使ってる

しかし、実際には料金が安い医院で治療をしたもののうまくいかず、他の医院でやり直しをしている患者さんもかなり多いです。

安すぎるインプラントの問題点

治療のやり直しは大学病院等に行く患者さんが多いのですが、大学病院での治療のやり直しはなかなか予約が取れず、半年待ちという状態になっています。私どものところにも多くの方がインプラントのやり直しの相談に来られます。

また、価格の安い医院では、患者さんの身体に内科的な病気があったり、歯周病になりやすい方に対しても、無理があるとわかっていながら売上至上主義のためインプラントをしています。

そういう場合は手術自体が危険であったり、早期にインプラントが駄目になったりしており、倫理観が欠けていると言わざるを得ません。例え価格面で患者さんにメリットがあったとしても、それ以外の安全面でデメリットがあるということです。

インプラントの治療は非常にオプションが多く、高度でち密です。更に、治療するにあたっては、患者さんのお口の中だけではなくメンタル的なこともじっくり考えて治療する必要があり、術後も長い期間にわたってメンテナンス等のおつきあいをしなければならないため、値段が安すぎる場合は、相当無理があると考えます。

私どもの医院は、費用に関しては何通りかのご提案をしており、その中には費用を抑えたご提案も含まれます。しかし安全性や機能の高さ、審美性の良さなどは信頼を得るために外せないと思っています。

インプラントの値段が高い医院について

インターネット上で公開してる範囲では、全国で料金が高い医院で1本60~70万くらいです。ただ、公開はしてませんが1本100万円近くでしているところもあると聞きます。

「費用が高い=良くない」とは一概に言えませんが、確かに高いのは事実です。経費ベースで考えた場合、1本が60万円以上かかることはありません。

どんなに素晴らしい手術室などの設備があったり、十分過ぎるほどの検査をしたり、いい材料や器具を使ったり、人件費をかけたり、静脈内鎮静法を使ったりしても経費ベースではそこまでかかりません。

では何故そんなに高いかというと、基本的にインプラントは自由価格制度で、医院が自由に値段を設定できるからです。適切な費用は、常識的に30~50万円くらいです。これより安い場合は粗悪、高い場合は利益を取りすぎ、ということが言えます。

料金をいつ払うかということも確認しましょう

  • 最初に一括払いをするのか?
  • 手術や処置に応じてその都度支払うのか?
  • 分割は可能か?
  • 追加料金はないか?

なども正確に確認しましょう。

まとめ

インプラント治療の費用はどうしても経費がかかってしまいます。一部には格安を謳ってる医院もありますが、当院では治療の質と安全性と保つため、どうしてもその分の費用はかかってしまい、費用を抑えて格安にするのは難しい状況にあります。

治療の質とは、世界スタンダードのメーカーのインプラントを使う、常に勉強会、学会、講習会に参加する、歯科医が集まって症例検討会をする、などです。勉強にも交通費や参加費、書籍代など経費がかかります。

安全性を保つ為には、CTによる診査・診断に多くの時間をかける、手術の準備にも多くの時間と労働力をかける、器具の滅菌・消毒を完璧に行う、手術のシミュレーションソフトで術前に充分検討する、などです。

価格の安さは患者さんにとっては魅力的でしょうが、価格だけで決めず、安全性が確保されているか、有名メーカーのインプラントが使われているかなど、しっかりと確認して頂きたいと思います。

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この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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