インプラント治療前・治療後の疑問

インプラントが禁忌という人はどんな人?

インプラントが禁忌という人は?

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

インプラントは外科手術が必要ですので、禁忌があり、治療を受けられない方がおられます。インプラントが禁忌な方と、無理に行うとどんな問題が起きるかについてご説明します。

インプラントを禁忌とする方

インプラント治療を禁忌とする方がおられます。禁忌とは、してはいけないという意味ですが、外科手術を受けることに対してリスクが高い方、持病や服薬によって骨の結合を妨げるようなリスクをお持ちの方が該当します。インプラントを禁忌とする方については、以下の通りです。

  • 全身疾患
  • 服薬
  • 既往歴

これらや現在の全身状態が原因ですが、それ以外にも適用外の方がおられます。

病気以外でインプラントを禁忌とする人

病気以外ならばインプラントを行えるかと言われるとそうではありません。インプラントは下記の方も禁忌と言えます。

未成年の方

事故や怪我で前歯を失ったら、インプラントをしたいと思われるのはわかりますが、未成年の方は身体や顎骨(あごの骨)も成長途中です。仮に未成年の方がインプラント手術をされても、顎の骨が成長して歯の位置が動く可能性があります。それにより歯と人工歯がぶつかり、健康な天然歯を損なう可能性があるという理由で、未成年はインプラントを行うことができません。

妊娠されている方

インプラントの手術前には、精密検査が必要です。そのため、レントゲン検査による体の影響があります。また、手術中には麻酔をして出血がありますし、術後には薬(抗生物質・痛み止めの鎮痛薬)を服用してもらうため、薬の飲めない妊婦の方には、行えない歯科治療です。

絶対的禁忌症と相対的禁忌症を比較

禁忌についても大きくわけると、2つに分かれます。

  • 絶対的禁忌症
  • 相対的禁忌症

絶対的禁忌症と相対的禁忌症はどのような差があるのか、比較しながらご説明します。

絶対的禁忌症(インプラント治療ができない)

上の言葉が示す通り、インプラント治療をできる状態ではないケースの疾患です。

絶対的禁忌症があり、インポウランとが出来ない場合

  • チタンアレルギー 人工歯根がチタンであるため、金属アレルギーの症状が出るため
  • 白血病や血友病などの血液疾患 いずれも出血が止まりにくい疾患であるため
  • Ⅰ型糖尿病 遺伝により起こる先天性の糖尿病で若い方や子供でも起きるため、免疫力が低下していて傷が治りにくい
  • 免疫不全 免疫機能の低下により、骨とインプラント体が結合せず、ステロイド系の薬も要因
  • 脳梗塞や心疾患を起こして半年以内の方 薬を服用していて、身体の状態も不安定であるため
  • あごの骨に放射線治療を行っている方 唾液の分泌が放射線により少なく、無理に治療をすると顎骨骨髄炎を起こす可能性があるため
  • ビスホスホネート製剤を服用している方 悪性腫瘍による高カルシウム血症・骨粗しょう症で薬を服用しているのに、無理に治療をすれば顎骨壊死を発症するため

相対的禁忌症(場合によってはインプラント治療が可能)

基本的にはインプラント治療を避けた方がよいとされるが、かかりつけの担当医が「インプラント治療を行える身体状態」と診断すれば、行えるケースの疾患です。

相対的禁忌症でかかりつけ医の診断が必要な場合

  •  Ⅱ型糖尿病 血液中にブドウ糖が多くなるが、血糖値をコントロールできれば可能
  • 高血圧症 血圧抑制の薬を服用で血が止まらないトラブルになりますが、薬のコントロールや静脈内鎮静法を行えば可能
  • 骨粗しょう症 歯槽骨がもろいと歯を支えきれませんが、自家骨移植や骨造成を行えば可能(ビスフォスフォネート製剤服用の方を除く)
  • 重度の歯周病 術後にインプラント周囲炎という症状を起こしやすく、インプラントが脱落するリスクがあるため、あらかじめ歯周病の治療を受ければ可能
  • あごの骨の厚みが足らない方 インプラントをする位置が上顎か下顎かによっても異なるが、サイナスリフトやソケットリフトなどの骨造成を行えば可能
  • 喫煙される方 タバコを吸うと血流が悪くなるため、骨とインプラント体の結合が結合しにくくなるが、禁煙すれば可能
  • 歯ぎしり・食いしばりの癖がある方 睡眠時に上下の歯を合わせるため、インプラントが脱落してしまう恐れがあるが、マウスピースを使用すれば可能

インプラントとは

インプラントの構造

まずはインプラントの治療の流れについて簡単にご説明いたします。インプラントとは、義歯治療(入れ歯・インプラント・ブリッジ)の種類のうちの一つの方法です。虫歯や歯周病、外傷などで歯を失った方には、義歯を入れる治療を歯科医院で行い、改善する治療法です。入れ歯やブリッジは保険適用が可能で、通院回数が少ないメリットがありますが、他の残存歯に大きな負担をかけたり、審美性が劣るというデメリットがあります。

部分入れ歯/入れ歯を安定させるバネをかける隣接する歯・顎の骨 総入れ歯/あごの骨 ブリッジ/欠損部分の噛む力がかかるため隣の歯

インプラントは、フィクスチャー(インプラント体)・アバットメント(連結部分)・人工歯(上部構造)という三つを口腔内に入れる治療です。自由診療の治療で高い費用と治療の期間がかかるというデメリットがあります。

  1. 生体親和性の高いチタン製の人工歯根を顎の骨に埋入する手術を行う
  2. 人工歯根とあごの骨の結合をドクターが確認する
  3. 歯肉を切開し、人工歯根へアバットメントを連結する
  4. アバットメントがきちんと確立出来たら最終的な型どりを行う
  5. 歯科技工士が作製した被せ物(セラミック・オールセラミック・ハイブリッドセラミック)をかぶせる

定期的にメインテナンスで感染を予防しつつクリーニングをすれば、インプラントは長く保てます。それにより、他の歯へ影響することはありません。他の義歯治療と比べて、しっかりと噛むことが可能で、患者さんの歯の色に合わせて作製するので、審美性も高いです。

インプラントの禁忌に関するQ&A

インプラント治療の禁忌とは何ですか?

インプラント治療の禁忌とは、治療を避けるべき状態や条件のことを指します。全身疾患や服薬、既往歴などの要因があり、手術のリスクや骨の結合を妨げる可能性がある場合には禁忌とされます。

インプラント治療を禁忌とする主な条件は何ですか?

インプラント治療を禁忌とする主な条件は以下の通りです。 ・全身疾患の存在 ・薬物の服用 ・過去の病歴

病気以外でインプラント治療が禁忌とされる場合はありますか?

病気以外でもインプラント治療が禁忌とされる場合があります。未成年の方や妊娠中の女性もインプラント治療が適さないとされます。

まとめ

インプラントは医療費控除を行えば後ほど返ってきますが、決して安い治療費とは言えません。経験が多い歯科医師に安全な環境でお任せして安心できる手術を行ってもらうべき治療です。インプラントをご希望の際には、無料カウンセリング(予約制)を受診し、歯医者さんやスタッフに信頼がおけるか、価格は高すぎないか、歯科用CTなどの医院環境は整っているかなど確認しましょう。いくつかのクリニックを回り、お気軽に質問や相談をしてください。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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