
気づかないうちに進行するトラブル、見逃していませんか?
インプラント周囲炎の初期症状は、最初は軽い「腫れ」や「出血」から始まり、痛みもなく静かに進行することが多いのが特徴です。気づかず放置すると、せっかく入れたインプラントが脱落してしまうこともあります。
この記事はこんな方に向いています
- インプラント治療を受けたばかりで不安がある方
- インプラント周囲に「違和感」や「歯ぐきの赤み」が出てきた方
- インプラントを長持ちさせたいと考えている方
- 定期健診を忘れがちな方
この記事を読むとわかること
- インプラント周囲炎の初期症状の見分け方
- 周囲炎が進行するリスクと原因
- 早期発見・早期対処のために日常で気をつけるポイント
- 歯科医院でのチェックとメンテナンスの重要性
目次
インプラント周囲粘膜炎とインプラント周囲炎
インプラント周囲粘膜炎
インプラント周囲粘膜炎は、インプラント周囲の歯茎のみで炎症が起こる初期段階の状態です。この段階では、炎症が歯茎に限定されており、骨の損失はまだ発生していません。早期に発見し、適切に対処することで完全に治癒する可能性が高いです。
主な症状は以下の通りです。
- 歯茎の赤み
- 歯茎の腫れ
- 歯茎からの出血
インプラント周囲炎
インプラント周囲炎は、インプラント周囲の歯茎だけでなく、骨にまで炎症が進行した状態を指します。この段階では、骨の損失が進行しており、インプラントの安定性が脅かされます。放置すると、最終的には脱落に至る可能性があります。
主な症状は以下の通りです。
- 歯茎の赤みと腫れ
- 出血
- インプラント周囲の膿
- 口臭の悪化
- 骨の損失
インプラント周囲炎の初期症状

初期症状を早期に発見することで、適切な治療と予防が可能となります。以下に代表的な初期症状を紹介します。
1. 歯茎の赤みと腫れ
インプラント周囲の歯茎が赤くなり、腫れを感じることがあります。これは炎症のサインであり、早期に気付くことで進行を防ぐことができます。
- 歯茎の色が普段よりも赤くなる
- 歯茎が腫れて痛みを感じることがある
2. 出血
ブラッシングやフロスを使用した際に出血する場合、これはインプラント周囲の炎症を示唆している可能性があります。出血は炎症の初期段階で見られることが多いです。
- 歯磨き時に血が出る
- デンタルフロス使用時に出血する
3. 軽い痛みや不快感
初期の周囲炎では、強い痛みは感じないことが多いですが、軽い痛みや不快感を覚えることがあります。特に食事中や触ったときに違和感を感じる場合は注意が必要です。
- 軽い痛みを感じる
- 触ると違和感がある
4. インプラント周囲の膿
インプラント周囲に膿が溜まることは、感染の兆候です。膿が見られる場合は、早急に歯科医の診察を受けることが重要です。
- 歯茎から膿が出る
- インプラント周囲に膿のようなものが見られる
5. 口臭の悪化
進行すると、口臭が悪化することがあります。これは感染や膿によるものです。口臭が普段よりも強く感じられる場合は、インプラント周囲炎の可能性があります。
- 口臭が強くなる
- 普段と違う臭いがする
インプラント周囲炎が発生する原因
周囲炎は、主に細菌感染によって引き起こされます。インプラントの表面に歯垢や歯石が溜まり、それが炎症を引き起こします。以下の要因が周囲炎のリスクを高めます。
- 口腔衛生の不良・・適切な歯磨きやフロスの使用が行われないと、歯垢や歯石が蓄積しやすくなります。
- 喫煙・・喫煙は血流を悪化させ、免疫機能を低下させるため、感染症にかかりやすくなります。
- 糖尿病・・糖尿病患者は感染症にかかりやすく、周囲炎のリスクが高まります。
- 不適切な手術・・手術が適切に行われなかった場合、インプラントと骨の結合が不十分になり、炎症を引き起こしやすくなります。
インプラント周囲炎の予防法
予防するためには、以下の方法を実践することが重要です。
- 定期的な歯科健診・・定期的に歯科医を訪れ、チェックしてもらう。
- 適切な口腔ケア・・毎日の歯磨きとフロスを欠かさず行う。
- 禁煙・・喫煙を避けることで、歯茎の健康を保つ。
- 健康的な食生活・・栄養バランスの取れた食事を心掛ける。
インプラント周囲炎の早期発見の重要性
早期発見は、治療の成功率を高めるために大切です。初期症状を見逃さず、早期に対処することで、インプラントの寿命を延ばすことができます。特に以下の点に注意することが必要です。
- 日常的なチェック・・インプラント周囲の歯茎や口臭に異常を感じたら、すぐに歯科医に相談する。
- プロのケア・・定期的に歯科クリーニングを受けることで、インプラント周囲の清潔を保つ。
ケースで学ぶ こんな症状見逃していませんか?
インプラント周囲炎は、目に見える大きな変化がないまま進行するケースも少なくありません。実際にあったケースをもとに、どのように症状が現れるのかを見てみましょう。
ケース① 歯磨きのときに少しだけ出血。でも痛みはなし
50代男性・インプラント治療から半年後
「歯磨きの時にちょっと血が出るけど、痛くないし大丈夫だと思っていた」と話されていましたが、診察の結果、インプラント周囲に軽度の炎症が見つかり、初期の周囲炎と診断されました。
ケース②歯ぐきが腫れていたけど、1〜2日で引いたから放置
60代女性・メンテナンス未受診歴あり
「なんとなく腫れた気がするけど、すぐ引いたから問題ないと思ってた」とのこと。ところがレントゲン検査では、骨吸収が進行していることが判明。すでに中等度の周囲炎に…。
これらの症例からわかるのは、「痛みがない=問題ない」ではないということです。小さなサインでも見逃さないことが重要です。
インプラント周囲炎の初期症状セルフチェックリスト
次の項目の中で、あなたに当てはまるものはいくつありますか?
当てはまる数が多いほど、周囲炎の可能性があるため注意が必要です。
□ 歯茎が赤く腫れている気がする
→ インプラントの周囲が炎症を起こしている可能性があります。
□ 歯磨き時にインプラントの周りから出血する
→ 出血は初期の炎症のサインです。力の入れすぎでなくても出る場合は要注意です。
□ インプラントのあたりに軽い痛みや違和感がある
→ 違和感は炎症による圧迫や腫れによるものかもしれません。
□ 口臭が気になるようになった
→ 歯垢や膿がたまることで臭いが発生している可能性があります。
□ インプラントの周囲にネバつきや粘つきがある
→ 細菌が繁殖しているサインかもしれません。
□ 最近、インプラントの周囲の歯茎が下がってきた気がする
→ 骨の吸収が始まっている可能性があります。見た目の変化にも注意しましょう。
判定の目安
- 0〜1個 → 現時点でのリスクは低いですが、引き続き丁寧な歯磨きと定期健診を心がけましょう。
- 2〜3個 → 注意が必要です。早めに歯科医院でチェックを受けることをおすすめします。
- 4個以上 → 周囲炎が進行している可能性があります。できるだけ早く受診してください。
よくある誤解「人工の歯だから虫歯にも歯周病にもならない」?
インプラントは人工物なので、確かに虫歯にはなりません。しかし、歯周病のようなトラブル(=インプラント周囲炎)にはなるのです。
そして周囲炎のやっかいな点は、一度骨が溶けると再生が難しいということ。
- 自然の歯 → ある程度は歯周病でも保存が可能なケースあり
- インプラント → ぐらつきが出ると再手術・撤去が必要になることも
こうした違いを理解して、毎日のセルフケア+定期的なプロケアを心がけましょう。
まとめ
インプラント周囲炎の初期症状は、歯茎の赤みや腫れ、出血、軽い痛みや不快感、膿、口臭の悪化などです。これらの症状を見逃さず、早期に対処することが大切です。
予防策としては、適切な口腔ケア、定期的な歯科健診、禁煙、健康的な食生活、ストレス管理が重要です。インプラント周囲炎のリスクを軽減することは、インプラントの寿命に直結しますので、長期間にわたり健康なインプラントを維持するために、これらのポイントを心掛けましょう。