上下同時にオールオン4をすることは可能ですか?

監修・執筆:大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋



上下同時にオールオン4をすることは可能ですか?

結論からいうと、条件が整えば上下同時にオールオン4を行うことは可能です。 上顎と下顎それぞれにインプラントを配置し、両方の歯列をまとめて治療する方法が検討されることがあります。

上下とも多くの歯を失っている、残っている歯の保存が難しい、噛み合わせ全体が大きく崩れているといった患者さんでは、上下を同時に治療することで、歯の高さや位置、噛み合わせを一体として設計できることがあります。

ただし、手術範囲が広くなるため、すべての患者さんに上下同時治療が適しているわけではありません。顎の骨、全身状態、残っている歯、手術時間、術後の食事などを含めて判断する必要があります。

この記事では、上下同時にオールオン4を行える条件、メリット・デメリット、片顎ずつ治療する場合との違い、治療期間や費用、術後生活までわかりやすく解説します。

この記事を読むとわかること

  1. 上下同時にオールオン4ができるのか
  2. どのような方が上下同時治療に向いているのか
  3. 上下同時と片顎ずつ治療する場合の違い
  4. 上下同時治療のメリット・デメリット
  5. 手術当日に上下とも仮歯が入るのか
  6. 術後の食事はどうすればよいのか
  7. 治療期間や通院回数の考え方
  8. 上下オールオン4の費用で確認すべきこと

上下同時のオールオン4は可能ですが、「一度にできるか」だけではなく、上下を同時に治療することに医学的・機能的なメリットがあるかを判断することが重要です。

 

上下同時にオールオン4をすることはできますか?

上下同時にオールオン4をすることはできますか?の図解

はい。上顎・下顎ともにオールオン4の適応条件を満たしていれば、上下を同じ日に手術することは可能です。

オールオン4は、基本的に片顎4本のインプラントを利用して、片顎全体の固定式人工歯を支える治療方法です。

上下とも治療する場合は、一例として上顎に4本、下顎に4本のインプラントを配置し、それぞれの顎に人工歯列を固定します。

特に、

  1. 上下とも多くの歯を失っている
  2. 上下とも総入れ歯を使用している
  3. 残っている歯の多くを長期的に保存することが難しい
  4. 噛み合わせ全体が大きく崩れている

といったケースでは、上下をまとめて治療する方法が選択肢になります。

上下同時と片顎治療の基本的な違い

上下同時に行うか、まず片顎だけ治療するかは、単純に「一度で済ませたいか」で決めるものではありません。お口全体の状態を確認したうえで判断します。

比較項目 上下同時 片顎のみ
治療範囲 上顎・下顎をまとめて治療 上顎または下顎のみ
噛み合わせ 上下を一体として設計しやすい 反対側の天然歯や入れ歯に合わせて設計
手術範囲 広くなる 比較的限定される
身体への負担 1回あたりの負担が大きくなりやすい 1回あたりは抑えやすい
適しているケース 上下とも大規模な治療が必要 片顎に健康な歯が残っているなど

上下とも治療が必要だからといって、必ず同時に行う必要はありません。

反対に、上下の歯を全面的に作り直す必要がある患者さんでは、別々に考えるより口全体を一つの噛み合わせとして設計する方が合理的な場合があります。

上下同時治療は可能ですが、両顎ともオールオン4が必要かどうかを先に判断します。

どんな人が上下同時のオールオン4に向いていますか?

上下同時治療が検討されるのは、上顎と下顎の両方に広い範囲の治療が必要な患者さんです。

  1. 上下とも多くの歯を失っている方

    → 残っている歯が非常に少なく、上下とも固定式の歯列を再建する必要がある場合です。
  2. 上下とも総入れ歯を使用している方

    → 総入れ歯の動きや噛みにくさなどに悩み、上下とも固定式の歯を希望する場合があります。
  3. 重度の歯周病などで多くの歯の保存が難しい方

    → 個々の歯を治療して残すことが難しく、全体的な治療計画を立て直す必要があるケースです。
  4. 噛み合わせ全体を大きく作り直す必要がある方

    → 上下の歯の高さや位置、噛み合わせが大きく崩れている場合には、上下を一体として設計するメリットがあります。

ただし、歯が何本か残っている場合には、その歯を本当に抜歯する必要があるかを慎重に確認します。

上下同時にオールオン4が「できる」ことと、残っている歯を抜いてまで「するべき」ことは別です。

保存できる天然歯がある場合は、その歯を残した治療方法も含めて検討する必要があります。

上下とも多数の歯を失っている方や、噛み合わせ全体の再建が必要な方では上下同時治療が選択肢になります。

上下同時に治療する最大のメリットは何ですか?

上下同時治療というと、「手術を1回にまとめられること」が最大のメリットと思われがちです。

もちろん、それも利点の一つです。

しかし、治療設計という観点から見ると、もう一つ重要なのが、上下の歯を同時に作ることで、噛み合わせ全体を一から設計しやすいことです。

歯の役割は、見た目を整えるだけではありません。

上下の歯が適切な位置で接触し、顎を動かしたときにも過度な力がかからないようにする必要があります。

上下とも大きく歯を失っている場合には、

  1. 歯の高さ
  2. 前歯の位置
  3. 奥歯の高さ
  4. 上下の歯の接触
  5. 顎の位置
  6. 笑ったときの歯の見え方

などをまとめて考える必要があります。

上下を同時に再建することで、既存の不安定な入れ歯や傷んだ歯だけに合わせるのではなく、新しい上下の人工歯同士で噛み合わせを構築できるケースがあります。

上下同時治療の大きな利点は、手術回数だけでなく、上下の新しい歯を一体として設計できることです。

上下同時にするメリットにはほかに何がありますか?

上下同時治療には、噛み合わせ以外にもいくつかのメリットがあります。

  1. 大きな治療をまとめて進められる

    → 上下を別々の時期に手術する方法と比べ、外科処置をまとめられる場合があります。
  2. 歯がない期間を抑えやすい

    → 条件を満たして上下とも固定式の仮歯を装着できれば、治療中の見た目や会話への影響を抑えやすくなります。
  3. 上下の見た目を統一しやすい

    → 歯の色、大きさ、形などを上下まとめて設計できます。
  4. 治療計画全体を整理しやすい

    → 上を完成させてから下を治療するのではなく、最初から完成形を想定して進められます。

上下に大きな問題がある患者さんでは、治療を何度も分けること自体が負担になることもあります。

そのため、全身状態や手術内容に問題がなければ、上下をまとめることが合理的な場合があります。

上下同時治療では、治療工程をまとめながら、機能と見た目の両方を一体として計画できる可能性があります。

上下同時のオールオン4にはデメリットがありますか?

はい。上下同時治療は範囲が広いため、片顎だけの治療より慎重な判断が必要です。

上下同時治療のメリット・デメリット

メリットだけを見ると「一度に済ませた方が楽そう」と感じるかもしれません。

しかし、一度の手術で行う処置が増えるという側面もあります。

メリット デメリット・注意点
上下の噛み合わせを一体として設計できる 手術範囲が広くなる
外科治療をまとめられる場合がある 手術時間が長くなる可能性がある
上下の歯の見た目を統一しやすい 術後の腫れや疲労などが大きくなる場合がある
条件が合えば上下とも仮歯を装着できる 上下とも術後の食事に注意が必要
治療計画全体をまとめやすい 一度に必要な費用が大きくなりやすい

特に注意したいのが、上下どちらにも手術を行うため、「手術後に反対側で噛めばよい」という逃げ場が少ないことです。

通常の片側インプラントであれば、反対側で食べられる場合があります。しかし上下全顎を同時に治療すると、術後は口全体で強く噛むことを避けなければなりません。

そのため、術後の食事を含めて治療前に準備しておくことが重要です。

上下同時は効率的ですが、手術範囲・術後負担・食事制限も大きくなるため、総合的な判断が必要です。

上下同時に手術しない方がよいケースもありますか?

あります。

例えば、

  1. 全身状態から長時間の手術を避けたい
  2. 上下どちらかの骨の状態が良くない
  3. 片顎にはまだ保存できる天然歯が多く残っている
  4. 歯周病など事前に治療すべき問題がある
  5. 手術後の食事や生活への負担を分散したい
  6. 上下のどちらかを先に治療して経過を確認したい

といった場合には、治療時期を分けることがあります。

高血圧や糖尿病などの持病がある場合も、病名だけで治療可否を決めるのではなく、病状が安定しているか、服用している薬は何かなどを確認します。

主治医との連携が必要になる場合もあります。

「1回で終わる方が負担が少ない」とは限りません。

手術回数は減っても、一度の身体的負担は大きくなるため、患者さんの状態によっては上下を分けた方が安全性や回復の面で適していることがあります。

手術を1回にまとめることが必ず負担軽減になるわけではなく、全身状態などによっては分けた方がよい場合があります。

上下同時でも手術当日に仮歯を入れられますか?

条件を満たせば、上下とも手術当日に固定式の仮歯を装着できる場合があります。

ただし、オールオン4だから自動的に即日仮歯になるわけではありません。

インプラントを埋め込んだ際に十分な初期固定が得られているかなどを確認します。

上下同時の即日仮歯で確認すること

上下とも即日仮歯を予定していても、手術当日の状況によって計画が変更される可能性があります。

重要なのは「その日に歯を入れること」より、インプラントを安定させることです。

確認項目 内容
骨量・骨質 CTなどでインプラントを支えられる骨を確認
初期固定 埋入直後のインプラントが十分に安定しているか確認
噛み合わせ 一部のインプラントへ過度な力が集中しないよう調整
歯ぎしり・食いしばり 仮歯へ強い負荷がかからないよう配慮
全身状態 術後の治癒に影響する問題がないか確認

例えば上顎には十分な初期固定が得られたものの、下顎では条件が整わなかった、といった場合も考えられます。

その際に無理をして予定通りの即時負荷を行うことが必ずしも患者さんの利益になるとは限りません。

予定変更も含め、安全性を優先できる治療計画であることが重要です。

上下同時でも即日仮歯は可能ですが、それぞれの顎で安全に負荷をかけられる状態かを判断します。

上下同時の手術後は何を食べればよいですか?

上下とも仮歯が入ったとしても、すぐに通常通り何でも噛めるわけではありません。

インプラントは手術直後から完全に骨と一体化しているわけではなく、治癒期間をかけて安定していきます。

そのため術後早期は、

  1. おかゆ
  2. 豆腐
  3. 卵料理
  4. やわらかいうどん
  5. スープ
  6. 煮魚
  7. やわらかく調理した野菜

など、強く噛まなくても食べられる食品を中心にします。

硬いせんべい、ナッツ、フランスパン、硬い肉など、人工歯やインプラントへ大きな力がかかる食品は控えます。

上下同時治療では左右だけでなく上下とも治療直後です。

したがって、術後の献立を手術前に数日分用意しておくと生活がかなり楽になります。

これは小さなことに見えますが、上下同時治療では非常に実用的な準備です。

具体的な食事制限と期間については手術内容によって異なるため、担当の歯科医師から受けた指示を優先してください。

上下に仮歯が入っても強く噛む食品は避け、術後はやわらかい食事から始めます。

上下同時と片顎ずつでは治療期間に違いがありますか?

上下同時に治療する場合、外科手術をまとめられるため、上下を別々の時期に治療する方法より全体のスケジュールを短縮できる可能性があります。

ただし、治療期間は単純に半分になるわけではありません。

上下同時と分割治療の違い

実際の期間は骨の状態、抜歯、仮歯、治癒状態などによって変わります。

以下は治療計画を考えるための比較です。

比較項目 上下同時 上下を分ける
手術 同日にまとめられる場合がある 時期を分けて行う
治癒期間 上下を並行して進められる 開始時期によって全体が長くなる場合がある
術後負担 一時的に大きくなりやすい 分散しやすい
噛み合わせ設計 上下まとめて行いやすい 先に治療した側との調整が必要
費用 一時期に集中しやすい 支払い時期を分けられる場合がある

上下同時治療では治癒期間を並行させられることがメリットですが、最終的な人工歯を入れるまでには数か月程度の経過観察が必要になることがあります。

「1日で上下全部の歯が完成する」という意味ではありません。

上下同時なら治療工程を並行できる場合がありますが、最終人工歯までには治癒期間が必要です。

上下同時のオールオン4の費用はいくらくらいですか?

オールオン4は自由診療のため、費用は歯科医院や治療内容によって異なります。

上下両方を治療する場合は片顎のみより総額が高くなります。

また、単純に「片顎料金を2倍すれば必ず総額になる」とは限りません。

確認したいのは、

  1. CT・精密検査
  2. 抜歯
  3. インプラント手術
  4. 仮歯
  5. 最終的な人工歯
  6. 麻酔・鎮静
  7. 骨造成などの追加処置
  8. 治療後のメンテナンス

が見積もりに含まれているかどうかです。

上下を同時に行う治療では総額も大きくなるため、「上下オールオン4○○万円」という表示価格だけで判断せず、最終的な人工歯まで含めた総額を確認することが大切です。

上下同時治療は高額になりやすいため、仮歯・最終人工歯・追加処置まで含めた総額を確認しましょう。

上だけ、下だけオールオン4にすることもできますか?

はい。片顎だけオールオン4にすることも可能です。

例えば上顎の歯はほとんど失っているものの、下顎には健康な天然歯が多数残っている場合には、上顎だけオールオン4を行う方法があります。

下顎だけが重度の歯周病などで保存困難な場合には、下顎だけを治療することも考えられます。

重要なのは、反対側の歯列との噛み合わせです。

天然歯は噛む力を感じる仕組みや動き方がインプラントとは異なるため、オールオン4側だけを見るのではなく、対合する天然歯・入れ歯・人工歯まで含めて噛み合わせを調整します。

オールオン4は片顎だけでも可能です。反対側の歯が健康なら、無理に上下とも治療する必要はありません。

上下同時のオールオン4でよくある質問

Q1. 上下同時だとインプラントは合計8本ですか?

基本的なAll-on-4の設計では、片顎4本ずつなので上下で計8本となります。ただし、骨量や骨質、噛み合わせなどによって必要なインプラント本数は変わることがあります。

Q2. 上下同時だと手術時間は長くなりますか?

片顎だけの治療より処置範囲が広くなるため、一般的には手術や仮歯調整に必要な時間も長くなる傾向があります。抜歯本数や追加処置によっても異なります。

Q3. 上下とも手術当日に固定式の歯が入りますか?

条件を満たせば上下とも固定式の仮歯を装着できる場合があります。ただし、それぞれの顎で十分な初期固定などが得られることが必要で、手術時の状態によって計画を変更する場合があります。

Q4. 上下同時にすると痛みや腫れも2倍になりますか?

単純に2倍になるわけではありませんが、治療範囲が広くなるため、片顎のみより身体的な負担を感じる可能性があります。症状には個人差があり、手術内容によっても変わります。

Q5. 上下を別々に治療した方が安全ですか?

必ずしもそうとは限りません。上下同時が適する方もいれば、全身状態や骨の状態から分ける方が適する方もいます。CT検査や全身状態の確認を行い、個別に判断します。

まとめ|上下同時のオールオン4は可能ですが「一度で済むか」だけで決めないことが大切です

条件が整えば、上下同時にオールオン4を行うことは可能です。

上下とも多数の歯を失っている方、上下の総入れ歯に悩んでいる方、残っている歯の多くを保存することが難しい方などでは、上下同時治療が選択肢になることがあります。

上下同時に行うメリットには、

  1. 上下の治療をまとめて進められる
  2. 上下の歯の形や見た目を統一しやすい
  3. 治癒期間を並行して進められる
  4. 上下の噛み合わせを一体として設計しやすい

などがあります。

一方で、

  1. 手術範囲が広くなる
  2. 手術時間が長くなる場合がある
  3. 術後の身体的負担が大きくなる可能性がある
  4. 上下とも治療直後なので食事に注意が必要
  5. 費用が一時期に集中しやすい

といった点も考慮しなければなりません。

特に大切なのは、「上下同時にできるか」だけで治療方法を決めないことです。

上顎と下顎の両方に治療が必要なのか、残っている天然歯を保存できないのか、上下を同時に再建することで噛み合わせにどのようなメリットがあるのかまで考える必要があります。

上下同時治療の価値は、単に手術回数を減らすことではありません。

上下の新しい歯を一つの噛み合わせとして設計できることも、大きな意味を持ちます。

反対に、片顎に健康な天然歯が残っている場合や、一度の手術負担を抑えたい場合には、片顎だけ、あるいは上下を時期を分けて治療する方が適していることもあります。

オールオン4を検討するときは、「上下同時にできますか?」だけではなく、「私の場合、上下を同時にするメリットは何ですか?」と歯科医師に確認してみると、ご自身に合った治療方法を判断しやすくなるでしょう。

関連ページ:大阪インプラント総合クリニックのオールオン4治療