オールオン4は自分の歯が数本残っていても受けられますか?

監修・執筆:大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋



オールオン4は自分の歯が数本残っていても受けられますか?

結論からいうと、自分の歯が数本残っていてもオールオン4を受けられるケースはあります。ただし、残っている歯をそのまま残してオールオン4にするという意味ではありません。

オールオン4は、片顎全体の歯を4本程度のインプラントで支える治療です。そのため、同じ顎に残っている歯が保存困難と判断された場合には、抜歯したうえでオールオン4へ移行することがあります。

一方、十分に長く使える健康な歯まで、オールオン4にするためだけに抜歯するとは限りません。大切なのは「何本残っているか」より、その歯を今後どのくらい使える見込みがあるかです。

この記事を読むとわかること

  1. 歯が数本残っていてもオールオン4にできるのか
  2. 残っている歯を抜くのはどのような場合か
  3. 自分の歯を残したほうがよいケース
  4. オールオン4へ移行する判断基準
  5. 入れ歯や通常のインプラントとの違い
  6. 治療期間・費用・通院回数の考え方

「残っている歯を抜くべきか」というのは、オールオン4を検討するときの大きな分岐点です。目先の本数だけではなく、5年後、10年後のお口全体まで考えることが重要になります。

 

歯が数本残っていてもオールオン4はできますか?

はい。数本の歯が残っている状態からオールオン4へ移行することは可能です。

オールオン4は、一般的に片顎の歯を失っている方や、残っている歯の多くが保存困難になっている方に検討される治療です。保存できない歯が残っている場合には、必要な歯を抜歯してからインプラントを埋入し、片顎全体を固定式の人工歯で補います。

判断のポイントは「歯が残っているか」ではなく、「その歯を残す価値がどの程度あるか」です。

歯が残っている状態でも、その状態によって治療方針はかなり異なります。まずは大まかな考え方を整理してみましょう。残存歯の本数だけでオールオン4の適否を決めることはできません。

残っている歯の状態 考えられる治療方針
健康で安定している 歯を残した治療を優先して検討
重度の歯周病で大きく揺れている 抜歯後にオールオン4を検討することがある
虫歯や破折で保存が難しい 抜歯後のオールオン4が選択肢になる
数本だけ残り、全体として噛めない 口全体を評価してオールオン4を検討

特に重要なのは、1本ずつの歯を見るだけでなく、片顎全体として安定した噛み合わせをつくれるかどうかです。数本だけ歯を残すことが、必ずしもお口全体にとって良い結果につながるとは限りません。

All-on-4に関する海外のコンセンサス報告でも、歯がすべて失われている方だけでなく、今後残すことが難しい歯が残っている方も治療対象になり得るとされています。

オールオン4にする場合、残っている歯は抜く必要がありますか?

同じ顎をオールオン4で治療する場合、保存困難な残存歯は抜歯することが一般的です。

オールオン4では、4本程度のインプラントを利用して片顎全体につながった人工歯を固定します。そのため、治療する範囲の中に天然歯を数本だけ残す設計は通常行いません。

ただし、ここで大切なのが「オールオン4にするから抜く」という順番で考えないことです。

まず残っている歯が保存できるかを診断し、その結果としてオールオン4が適しているかを判断します。

抜歯を検討しやすいのは、例えば次のようなケースです。

  1. 重度の歯周病で歯が大きく揺れている

    → 歯を支える顎の骨が大きく失われている場合、治療をしても長期的な維持が難しいことがあります。
  2. 歯の根まで大きく虫歯になっている

    → 被せ物などで修復することが難しく、歯の根そのものを保存できない場合があります。
  3. 歯根が割れている

    → 歯根破折の状態によっては保存が困難となり、抜歯が必要になります。
  4. 残っている歯だけでは安定して噛めない

    → 数本の歯を残せても、それらに噛む力が集中すると、かえって負担が大きくなる場合があります。

つまり「歯がある=残せる」ではありません。

残すことと、長く使えることは別の問題として考える必要があります。

健康な歯まで抜いてオールオン4にしたほうがいいですか?

基本的には、長期間使える可能性が高い天然歯であれば、安易に抜歯するべきではありません。

天然歯には歯根膜があり、噛んだときの微妙な感覚を脳へ伝える働きがあります。一度抜歯した天然歯は元には戻せません。そのため「インプラント4本で全部治せるなら、残っている歯も抜いたほうが簡単」と考えるのはおすすめできません。

オールオン4は“歯を抜くための治療”ではなく、“多くの歯を失った方の噛む機能を再建するための治療”です。

残っている歯を保存するか抜歯するかは、次のような項目を総合して判断します。一つの検査結果だけで決めるものではありません。

確認する項目 主なチェック内容
歯周病 歯の揺れ、歯周ポケット、顎の骨の減少
虫歯 歯根まで残せる状態か
歯根 破折や根の周囲の感染がないか
噛み合わせ 残存歯へ過度な力が集中しないか
清掃性 日常の歯磨きで清潔に維持できるか
将来性 今後も長期的に使える可能性があるか

ここはオールオン4を検討するうえで特に慎重になるべき部分です。

「今残せるか」だけではなく、「数年後にも治療の土台として使えるか」まで考えることが重要です。

数本の歯を残す治療とオールオン4はどう選びますか?

残存歯がある場合、選択肢はオールオン4だけではありません。

状態によっては、残っている歯を保存しながら、失った部分だけ通常のインプラントやブリッジ、入れ歯で補う方法もあります。

「オールオン4ができるか」より先に、「オールオン4にする必要があるか」を考えることが大切です。

それぞれの治療には向き・不向きがあります。

残存歯の状態や骨量、費用、希望する噛み心地などを含めて比較する必要があります。

治療方法 向いているケース 特徴
オールオン4 多くの歯を失っている・残存歯の保存が難しい 少数のインプラントで片顎全体を支える
通常のインプラント 一部の歯だけを失っている 必要な部分を個別に補いやすい
部分入れ歯 手術を避けたい・費用を抑えたい 取り外して使用する
ブリッジ 欠損範囲が比較的小さい 周囲の歯を利用して固定する

例えば健康な歯が何本も残っているのであれば、すぐにオールオン4へ移行するより、それらの歯を活用した治療のほうが適している場合があります。

反対に、残っている数本の歯が次々と悪くなり、そのたびに入れ歯の修理や治療を繰り返している場合は、一度お口全体の治療計画を見直すタイミングかもしれません。

歯が残っている状態からオールオン4にするメリット・デメリットは?

残存歯を抜歯してオールオン4へ移行すると、片顎全体をまとめて再建できます。

その一方で、抜歯した天然歯は元に戻せないため、メリットだけで決めるべき治療ではありません。

最大のメリットは「インプラント4本で済むこと」そのものではなく、歯全体を一つの治療計画で再構築できる点にあります。

主なメリットには、

  1. 固定式なので入れ歯より安定しやすい
  2. 多数のインプラントを1本ずつ埋入する方法より本数を抑えられる
  3. 条件が整えば手術当日に仮歯を装着できる場合がある
  4. 片顎全体の噛み合わせをまとめて設計できる

などがあります。

一方、

  1. 残存歯を抜歯することがある
  2. 外科手術が必要
  3. 自由診療のため費用負担が大きい
  4. 治療後も定期的なメンテナンスが必要
  5. インプラント周囲炎などのリスクがある
  6. インプラントの本数が6~7本になり費用が増える場合もある

といった注意点もあります。

「入れたら終わり」の治療ではありません。オールオン4を長く使うためには、人工歯の下まで清潔に保ち、定期的なチェックを続けることが重要です。

オールオン4を受けられないケースもありますか?

歯が残っているかどうか以外にも、オールオン4の適否を左右する条件があります。顎の骨の状態だけでなく、全身状態や生活習慣まで含めて診断します。

「残っている歯を抜けば誰でもオールオン4にできる」という治療ではありません。

注意が必要なのは、

  1. 糖尿病などの全身疾患のコントロールが十分でない
  2. 重度の歯周病があり感染のコントロールができていない
  3. 喫煙習慣がある
  4. 顎の骨の状態が治療に適していない
  5. インプラント手術に影響する薬を使用している

といったケースです。

ただし、これらに当てはまったからといって必ず治療できないわけではありません。

主治医との連携や歯周病治療、禁煙などによって治療できる可能性もあるため、自己判断で諦めず歯科医師に相談することが大切です。

オールオン4の費用・期間・通院回数はどれくらいですか?

オールオン4は自由診療のため、費用や治療期間は歯科医院、使用する材料、骨の状態、抜歯本数などによって異なります。

特に残存歯がある場合は、抜歯や歯周病治療などが追加される可能性があります。

広告に掲載された「オールオン4本体の価格」だけでなく、検査・抜歯・仮歯・最終的な人工歯・メンテナンスまで含めて確認しましょう。

以下は治療を考える際の一般的な確認項目です。実際の費用や期間は、お口の状態によって大きく変わります。

項目 考え方
費用 片顎200万~400万円程度が一つの目安。ただし医院・材料・治療内容により異なる
手術 基本的にインプラント埋入手術を行う
仮歯 条件が整えば手術当日に装着できる場合がある
治療期間 数か月程度が目安だが骨や全身状態によって異なる
通院回数 検査・手術・経過観察・人工歯の製作など複数回必要

特に「即日で歯が入る」という説明は、その日に治療がすべて終了するという意味ではありません。仮歯を入れたあともインプラントと骨の状態を確認し、噛み合わせを調整しながら最終的な人工歯へ移行します。

残っている歯を抜くか迷ったときは何を基準にすればいいですか?

オールオン4を検討している方にとって、最も難しいのはこの判断かもしれません。

「せっかく残っている自分の歯なのだから1本でも残したい」という気持ちは当然です。一方で、予後の悪い歯を無理に残したために、治療を繰り返すことになるケースもあります。

「抜けるまで使う」のが必ずしも歯を大切にすることではありません。反対に、「どうせ悪くなるから」と早く抜くのも適切とは限りません。

ここで考えたいのが、1本の歯の寿命ではなく、お口全体の治療の寿命です。

例えば残っている2本の歯を治療しても数年後に抜歯になる可能性が高いのであれば、

「その数年間のために何回治療が必要なのか」

「入れ歯を何度作り直す可能性があるのか」

「最終的にオールオン4へ移行する可能性はどの程度あるのか」

まで聞いてみると、治療を選びやすくなります。

逆に10年以上使える可能性が十分にある歯なら、残す価値は大きくなります。

「この歯は残せますか?」だけでなく、「残した場合、今後どのような治療経過が予想されますか?」と歯科医師に尋ねることをおすすめします。

まとめ|オールオン4は「歯が何本残っているか」だけでは決まりません

自分の歯が数本残っていても、オールオン4を受けられるケースはあります。

特に、残っている歯が重度の歯周病や虫歯、歯根破折などによって長期的な保存が難しい場合には、それらを抜歯してオールオン4で片顎全体を再建する方法が選択肢になります。

ただし、健康で十分に長く使える歯までオールオン4のために抜歯するとは限りません。

重要なのは、

「何本残っているか」ではなく、

「その歯をあと何年、どのような状態で使える可能性があるのか」

という視点です。

オールオン4を検討するときは、残存歯の状態、顎の骨、噛み合わせ、全身状態などを詳しく調べたうえで、通常のインプラントや入れ歯なども含めて比較しましょう。

そしてもう一つ大切なのは、「今治療できるか」だけではなく、「5年後、10年後にどのようなお口になっていたいか」から治療方法を考えることです。

残っている歯を抜くかどうかは簡単に決められる問題ではありません。だからこそ、一つの治療方法だけを前提にせず、天然歯を残した場合とオールオン4にした場合の両方について説明を受け、納得したうえで治療を選ぶことが大切です。

関連ページ:大阪インプラント総合クリニックのオールオン4治療