
入れ歯で噛めないため食事でお困りの方は本当に多く、歯科医院で度々調整していてもぴったりとした状態を維持するのが難しい場合もあります。どうしても入れ歯が合わない場合はインプラントをお勧めするケースもあります。
目次
インプラントにすると食事にどのような変化が起こるか

入れ歯をやめてインプラントに切り替えることで、食事がより快適になると感じる方は多いです。入れ歯とインプラントの違いを踏まえ、食事における快適さの改善についてご説明します。
インプラントにすることで噛む力が向上し、食事がより快適になります。食材のバリエーションも増え、食事を楽しめるようになります。
1. 噛む力の向上
インプラントは噛む力が強い
インプラントは顎の骨に直接固定されるため、噛む力が入れ歯よりも強く、安定しています。これにより、硬い食べ物や繊維質のものでもしっかりと噛むことができ、食事の際のストレスが大幅に軽減されます。
インプラントは顎の骨に固定されているため、入れ歯よりもしっかり噛むことができ、硬い物や繊維質の食材も安心して食べられます。
食事のバリエーションが広がる
入れ歯では噛むことが難しかった食べ物も、インプラントなら安心して食べられるようになります。これにより、食事の楽しみが増し、栄養バランスの良い食事を取りやすくなります。
噛む力が増すことで、これまで避けていた食事も楽しめるようになり、食生活が豊かになります。
2. 安定性と快適さ
インプラントはズレやガタつきがなく、食事中の不快感がありません。天然歯に近い感覚で、異物感もほとんどありません。
ズレやガタつきがない
入れ歯は、食事中にズレたりガタついたりすることがあり、不快感を覚えることが少なくありません。インプラントは顎骨にしっかり固定されているため、こうした問題がなく、快適に食事を楽しむことができます。
異物感がない
入れ歯は口腔内に異物感を感じやすく、慣れるまで時間がかかることがありますが、インプラントは天然歯に近い感覚で異物感がほとんどありません。食事の際により自然な感覚で噛むことができます。
3. 味覚の変化
入れ歯では覆われていた部分がなくなることで、食べ物の味をよりしっかり感じることができ、食事の満足感が向上します。
味覚の改善
入れ歯を使用していると、義歯が口腔内を覆うため、味覚が鈍くなることがあります。インプラントに切り替えることで、食べ物の味をよりしっかりと感じることができ、食事の満足感が向上します。
4. 口腔衛生の向上
インプラントは日常の歯磨きで手入れができ、入れ歯のような取り外し清掃の手間がありません。結果として口腔内を清潔に保ちやすくなります。
清掃のしやすさ
インプラントは入れ歯と異なり、毎日の歯磨きとデンタルフロスで清潔に保つことができます。入れ歯のように取り外して清掃する手間がなく、口腔内をより衛生的に保つことが可能です。
5. 精神的な安心感
インプラントなら入れ歯のように外れる心配がなく、会食などの外出先でも自信を持って過ごすことができます。
社会的な場面での安心感
入れ歯を使用していると、外出先や食事の席での不安が生じることがあります。インプラントにすることで、食事中や会話中に入れ歯が外れる心配がなくなり、精神的な安心感が得られます。
部分入れ歯をやめてインプラントに

入れ歯の違和感や痛みから解放され、他の健康な歯に負担をかけずに済むのがインプラントの大きなメリットです。
インプラントは、入れ歯の違和感や痛みから解放されるだけでなく、他の健康な歯に余計な負担をかけないのが大きなメリットです。入れ歯は歯ぐきの上に乗せて使うため、噛むと歯ぐきに負担がかかり、痛みや不快感を覚える方が少なくありません。そのため、食事や外出時に入れ歯を外してしまう方も多いのが現状です。
一方、インプラントはあごの骨としっかり結合して固定され、ズレたり外れたりしないので、「噛む力」も非常に強くなり、食事を快適に楽しめます。また、部分入れ歯はバネをかけた歯に負担がかかり、将来的にその歯を失うリスクもありますが、インプラントならその心配はありません。
ただし、インプラントは保険がきかず費用が高い点がデメリットですが、今後治療費が抑えられたり保険適用になることで、より多くの方が選択できるようになれば、部分入れ歯による悩みも減ると考えています。
インプラントを入れ歯の固定に利用する方法もある
インプラントを使って入れ歯を安定させる「インプラント・オーバーデンチャー」は、経済的で見た目も自然に仕上がる治療法です。
インプラントで入れ歯を固定するという治療法があることをご存じでしょうか?その場合、磁石を使用するのですが、インプラントの上に小型の磁石を取り付け、入れ歯側にも磁石を取り付けます。(磁性アタッチメントといいます。)そうすると、強力な磁力により安定感があり、歯茎(正しくはインプラントに取り付けられた磁石)にぴったりくっつく入れ歯になります。
この治療方法をインプラント・オーバーデンチャーといいます。磁石を使うと普通の入れ歯よりも噛む力は強くなりますし、金属のバネもありませんので見た目も自然です。通常のインプラントと比べると噛む力が少し劣ることや、入れ歯のお手入れが必要など、少しのデメリットはありますが、費用面でインプラントをあきらめている方は、一度ご相談されてみてはいかがでしょうか。
総入れ歯の噛む力

総入れ歯は自分の歯に比べて噛む力が弱く、合わなくなることも多いですが、インプラントならしっかりとした噛む力が期待できます。
全ての歯を失った場合は、保険治療では総入れ歯になります。総入れ歯は取り外し式で、土台に上下14本の人工歯をセットしたものです。
これを歯ぐきや粘膜に密着させて安定させますが、歯ぐきで支えるために、噛む力が出ません。天然の歯と比べると、総入れ歯では2割程度しか噛む力が出ないといわれています。また、歯が抜けてしまうと、どうしても顎の骨が痩せてきますので、総入れ歯が合わなくなってきます。
一般的には3~5年程度で、総入れ歯を作り変えなければなりません。床の部分はある程度は歯ぐきの形に合わせて作るのですが、ぴったりに作るのは難しく、痛みがあったり不安定な状態で食事をしている方が多いです。
「入れ歯からインプラントへ」現場で感じるメリット・苦労
多くの患者さんが「入れ歯の違和感や痛み」で悩んで来院されます。食事中に外れる/がたつく/噛むと痛いといった問題は非常に多く、何度も調整を重ねても解決しきれないケースが意外と多いです。
一方で、インプラントに切り替えた患者さんは「食事の楽しさや選択肢が増えた」と前向きな反応をされることが多いです。特にお肉やお餅、繊維質の野菜など「今までは避けていた食材が普通に噛めた」という声は診療室で何度も聞いてきました。
入れ歯の調整では、歯ぐきの炎症や義歯の適合不良が続くと患者さんの“入れ歯離れ”が加速する傾向があります。その経験から、「つらい思いを我慢せず、早めにご相談いただくこと」をおすすめします。
インプラント生活にしたら食事が快適に関するQ&A
入れ歯は歯肉の上に乗るため、噛むと歯肉に圧力がかかります。これが痛みや違和感を引き起こすことがあります。また、入れ歯がぴったりと合わない場合もあり、これが食事を困難にする可能性があります。
インプラントは顎骨に直接固定され、自然の歯に近い噛み心地と安定性を提供します。一方、入れ歯は取り外しが可能ですが、歯肉に圧力を加え、適切なフィット感を得るのが難しい場合があります。
インプラントは直接顎骨に固定されるため、周囲の健康な歯に負担をかけることなく、抜けた歯の機能を補うことができます。
まとめ
インプラントは、入れ歯に伴う不便や精神的負担を軽減し、食事や会話をより快適に楽しみやすくなる治療法です。
入れ歯安定剤も新しいものが開発されていますが、とにかく入れ歯は面倒で、食後取り外して洗う必要があったり、食事中にものが挟まったりする場合もあります。また、痛みがあったり、喋りにくくなる、発音しにくくなるといったことも、よく耳にします。
このように様々な問題が起こるため、一旦は入れ歯を作ったものの、やがてインプラント治療を決意される方もおられます。
インプラントの本数が増えると、費用もかさみますので、まずは天然の歯を大切にしてください。1本でも多く長持ちさせるように、毎日の歯みがき等のケアと、歯科医院での定期健診を欠かさずに受けるようにしてくださいね。