オールオン4

全部の歯をインプラントにする場合どんな治療方法になりますか

全部の歯をインプラントにする場合どんな治療方法になりますか

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

全部の歯をインプラントにする場合どんな治療方法になりますか?

全部の歯を失った場合でも、複数のインプラントを埋入し、その上に人工歯列を固定する「フルマウスインプラント」や「オールオン4」などの方法で、自然な見た目としっかり噛める機能を取り戻すことができます。

この記事はこんな方に向いています

  • 総入れ歯が合わずに困っている方
  • すべての歯を失ってしまい、どんな治療法があるか知りたい方
  • オールオン4などの全顎インプラント治療を検討している方

この記事を読むとわかること

  1. 全部の歯をインプラントにする際の代表的な方法
  2. フルマウスインプラントとオールオン4の違い
  3. 手術や治療期間、費用の目安
  4. メリット・デメリットと長持ちさせるコツ

 

全部の歯をインプラントにする方法は?

全部の歯をインプラントで補う場合、1本ずつ入れる方法から、数本のインプラントで全体を支える方法まで複数の治療法があります。中でも「オールオン4」「オールオン6」などは、治療負担を減らしながらも安定性を高められる代表的な方法です。

すべての歯を失っても、数本のインプラントで全体を支える治療法があります。

主な治療法の種類

治療法 インプラントの本数 特徴
フルマウスインプラント(1本ずつ) 10〜14本前後 天然歯に近い構造・費用と期間が長い
オールオン4 4本 手術が比較的簡単・費用を抑えられる
オールオン6 6本 より安定性が高く長持ちしやすい
インプラントオーバーデンチャー 2〜4本 取り外し可能でメンテナンスしやすい

このように、「すべて固定式にするか」「取り外し式にするか」で治療法は異なります。歯科医師が骨の状態や希望に合わせて、最適なプランをご提案します。

総入れ歯からインプラントへ

すべての歯をインプラントにする方法

  • オールオン4
  • オールオン6
  • インプラントオーバーデンチャー

なぜ全部の歯をインプラントで治すことが可能なの?

インプラントは顎の骨と結合する「オッセオインテグレーション」という仕組みによって、人工歯をしっかり支えることができます。そのため、歯が一本も残っていない場合でも、骨がある程度残っていれば安定した人工歯列を作ることができます。

骨と強く結合するため、歯がなくても支えが作れます。

インプラントが骨と結合する仕組み

  1. チタン製のインプラント体が、顎の骨と化学的に結合
  2. 結合後は天然の歯根のような強度で機能
  3. 食事や会話中の動きにも安定して対応

この結合により、全顎的な咬合力(噛む力)を再現できるのがインプラント治療の強みです。

また、歯が1本もない状態でも、

  • 骨の厚み・高さ
  • 全体の噛み合わせバランス

を精密に評価することで、人工歯列を正確に支える位置にインプラントを埋め込むことができます。

全部の歯をインプラントにする場合の手術の流れは?

全顎インプラント治療では、事前の検査・設計を経て、複数のインプラントを埋入します。即日に仮歯を装着できるケースもあり、歯のない期間を最小限に抑えられます。

綿密な検査→埋入手術→仮歯→最終被せ物の順で進みます。

手術と治療の流れ

  1. 精密検査(CT・シミュレーション)

      → 骨の量や質、神経の位置を確認して治療計画を立てます。
  2. 手術(インプラント埋入)

      → 静脈内鎮静法を用いてリラックスした状態で行うことも可能です。
  3. 仮歯の装着

      → オールオン4などでは手術当日に仮歯を装着できる場合があります。
  4. 治癒期間(3〜6ヶ月)

      → 骨とインプラントが結合するのを待ちます。
  5. 最終の人工歯を装着

      → セラミックなどの素材で作製された人工歯を固定します。

このように、治療期間はおおよそ4〜8ヶ月が目安となります。

ただし、骨造成(骨を補う手術)が必要な場合は、期間が延びることもあります。

治療費や期間はどれくらいかかるの?

全部の歯をインプラントにする場合、治療法によって費用と期間に差があります。フルマウスインプラントは高額ですが、オールオン4なら費用を抑えつつ機能を回復できます。

治療方法で費用・期間が大きく異なります。

費用と期間の目安

治療法 費用の目安(税込) 治療期間の目安
オールオン4 約250〜400万円 約4〜6ヶ月
オールオン6 約350〜500万円 約5〜8ヶ月
インプラントオーバーデンチャー 約150〜250万円 約4〜6ヶ月

治療期間や費用は、骨の状態・使用する素材・麻酔方法などによっても変わります。増骨の処置が必要な場合は、治療費に追加されます。

カウンセリング時に見積りとシミュレーションを確認しておくことが大切です。

インプラントオーバーデンチャー

磁石式義歯

インプラントオーバーデンチャーとはインプラントと総入れ歯を組み合わせた治療です。総入れ歯が動かないようにインプラントの頭の部分についた磁石の力を利用します。必要なインプラントの本数は2~4本程度で、磁石やボタンなどで総入れ歯を固定します。

インプラントオーバーデンチャーの総入れ歯は患者さんご自身の手でいつでも取り外して洗うことが出来ます。その後の装着も簡単にご自身で行えます。普通の総入れ歯と比べると噛む力は強くなり、上顎を覆う床の部分がないため、異物感が少ないことも特徴です。

また、インプラントを使用して安定させてはいますが、基本的には取り外し式の総入れ歯とお考えいただき、毎日取り外して清掃を行うことが必要になります。

インプラントオーバーデンチャーはインプラントを埋め込む本数が2~4本と少ないため、身体への負担が小さく、保険が適用されない自費診療ではあるものの、費用も抑えることが出来ます。

オールオン4

オールオンフォー

オールオン4(オールオン6)は、インプラントと総入れ歯を合わせたような治療です。4~6本のインプラントで顎骨に埋入することで、プラスチック製の床に10~12本の歯を並べた上部構造を固定し、支えることが可能です。

少ないインプラントで固定できる秘訣は、長めのインプラントを斜めに傾斜させて骨の多い部分に埋入出来ることにあります。

総入れ歯は床をお口の粘膜に吸着させますが、オールオン4はインプラントで固定させますので、床の部分が最小限の面積で済み、総入れ歯と比べると違和感が少なく、良く噛めるようになります。

オールオン4は4~6本という少ない本数のインプラントで多くの歯を作ることが出来る上、手術当日に仮歯が入りますので見た目を気にする必要がなく、そして強くは噛めませんが、手術当日から食事が可能になることもオールオン4の大きな特徴です。

インプラントオーバーデンチャーとの違いは、オーバーデンチャーは患者さん自身で取り外し可能で、外した入れ歯を毎日洗浄する必要がありますが、オールオン4は固定式で自分では取り外しが出来ず、天然の歯と同じように歯みがきをして清掃するという点です。

オールオン4と従来の個別にインプラントを埋入する方法

オールオン4 / オールオン6

少数のインプラント(4本または6本)を使って、12本の歯をつくる方法です。少ないインプラントで多くの歯を支えるため、費用を抑えつつ短期間で治療が完了する点がメリットです。

個別インプラント

失った全ての歯に対してインプラントを埋入する方法です。各歯に1本のインプラントを埋め込み、その上にクラウンを装着します。この方法は非常に安定しており、自然な噛み心地が得られますが、費用が高額になり、治療期間も長くなる傾向があります。インプラントの埋入本数が多いため、手術に時間がかかり、身体への負担も大きくなります。

インプラントブリッジ

既に何本かインプラントを埋入しておられる患者さんには、それ以外の欠損部分に部分的なインプラントを埋入することで歯を補うという方法もあります。

この場合、埋入しているインプラントの本数が多いために上部構造の安定が良くなり噛みやすくます。インプラントを埋入する部分の骨が足りない場合は、骨造成の処置が必要になり、通常のインプラントの治療期間に骨が出来るまでの期間が追加され、治療が完了するまでにはやや長めの期間がかかります。

インプラントオーバーデンチャーとオールオン4の比較

インプラントオーバーデンチャーとオールオン4の特徴を比べてみましょう。

インプラントオーバーデンチャーとオールオン4の比較

全部の歯をインプラントにする治療はどんな人に必要?

シニア

全部の歯をインプラントにする背景として考えられるのは、事故や虫歯や歯周病などが原因で全ての歯を失ってしまったということです。または、既に総入れ歯をお使いで、総入れ歯がどうしても合わないないためにインプラント治療を考えておられるのかもしれません。

全ての歯を失う過程としては、虫歯は再治療を繰り返す程、抜歯に至る確率が上がりますし、歯周病は重度になると歯槽骨が溶けて歯が抜けてしまい短期間に連続して歯を失うケースもあります。

歯を失う度にブリッジや入れ歯やインプラントで治療を行うわけですが、ブリッジの場合は一度にブリッジに出来る本数に制限がありますし、入れ歯は歯を失う度に複数の歯をカバーするためにどんどん大きくなります。

総入れ歯をお使いの方で、より快適に噛めることを目標にして治療を行う際には、治療の選択肢としてインプラントが候補にあがります。

全部の歯をインプラントにする場合の治療方法に関するQ&A

全部の歯をインプラントにする治療はどんな人に必要ですか?

インプラント治療は、事故や虫歯、歯周病などの原因で全ての歯を失った方や既に総入れ歯を使用していて合わないためにインプラント治療を考えている方に必要です。

全部の歯をインプラントにする場合、どのような治療方法がありますか?

全部の歯をインプラントにする方法として、インプラントオーバーデンチャーやオールオン4があります。

まとめ

すべての歯をインプラントで再建するのは「現実的で確実な選択」

全部の歯をインプラントにする方法は、総入れ歯よりも安定性・見た目・快適さに優れた治療です。治療費や期間の負担はありますが、人生を通して「しっかり噛める喜び」を取り戻せる大きなメリットがあります。

  • 骨の状態に応じてオールオン4・オールオン6・オーバーデンチャーなどの選択肢がある
  • 事前の検査・診断を丁寧に行えば、安全性も高い
  • 術後のケアと定期健診で長期的に安定が得られる

すべての歯を失っても、もう一度「自分の歯のように噛める」生活を取り戻すことは可能です。まずは専門の歯科医院で、あなたに合った治療方法を相談してみてください。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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