オールオン4

オールオン4のインプラント手術後の注意事項について教えて

オールオン4の手術後の注意事項について教えて

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

オールオン4(All-on-4)のインプラント埋入手術を受けた後は、毎日の生活の中でいくつかの注意事項がありますので、手術を受ける前に確認しておきましょう。

食生活について

オールオン4の手術から約1ヶ月半はやわらかい食べ物を食べる

インプラント手術後に一番避けたいのはインプラントの脱落、つまりインプラントが抜けてしまうことです。インプラントの脱落を避けるためには、インプラントに大きな力がかかりすぎないように気をつける必要があります。

オールオン4は手術直後に仮歯が入り、その日の夜から食事が出来るようになるのが特徴ですが、出来れば手術当日から約1ヶ月半の間は軟らかい食べ物を選ぶようにしていただき、強い力で噛まないようにすることをお勧めします。

するめやせんべい、フランスパンなどの硬い食べ物は避けましょう。手術からしばらくの間は噛むときの力加減がわからず、強く噛みすぎて仮歯が取れてしまう危険があるので注意が必要です。仮歯が破折すると、インプラントの脱落につながる危険があります。

更に、熱い食べ物や刺激物も避けるようにしましょう。ガムも仮歯にくっついてしまいますので、噛まないようにしましょう。

インプラント手術後3週目は特に食べ物に注意

物を噛む

手術後2週目になると歯茎は元通りに治り、抜糸を行います。3週目にはお口の中で見える部分は回復してきますが、骨とインプラントの結合という点では注意が必要な時期になります。

インプラントの固定にはインプラント体を骨に埋め込む機械的な固定(一次固定)と、インプラント体の骨結合による固定(二次固定)があります。

インプラント手術ではネジ状のインプラント体を骨に埋め込んで器械的に固定しますが、インプラント体が人工歯根として骨に固定されて動かなくなるには、二次固定がしっかりと行われることが大切なポイントになります。

手術後3週目前後は一次固定と二次固定が入れ替わる時期になりますので、インプラントに無理な力をかけないように注意しなければなりません。

手術後に歯茎が治ってくると、軟らかいものばかり食べることに飽きてしまって、少し硬いものを噛みたくなります。しかし3週目に硬いものを噛むと、仮歯が破折してやっと獲得し始めた骨結合が失われ、インプラントが骨と結合出来ずに脱落することがあります。

インプラントが脱落してしまうと、また初めから手術をやり直さなければなりません。そのため食生活に関しては、主治医からの指示を必ず守ってください。

仮歯に強い力をかけないようにする

オール・オン・フォーでは手術当日に仮歯が入り、すぐに食事が出来るようになることが大きなメリットです。しかし仮歯にはあまり強度がなく、強い力で噛むと割れたり折れたりする恐れがあります。オール・オン・フォーにおいては、失敗の殆どは強く噛みすぎて仮歯が破折したことから起こっています。

腫れは濡れタオルで冷やす

濡れタオルで冷やす

手術後数日間は腫れがあったり熱っぽさを感じたりすることがあります。その場合はお口のまわりを濡れタオルなどで冷やすと腫れが軽減するなど、症状が和らぎます。特に手術当日によく冷やすことが、翌日以降の腫れの症状に影響します。

しかし冷やしすぎると血液の循環が悪くなるため、氷で直接肌を冷やしたりしないようにしましょう。インプラント手術後の腫れは術後2~3日がピークで、その後は次第におさまってきます。

手術の部位には歯ブラシを当てないようにする

歯ブラシ

手術後は気になって歯磨きをしすぎる方がおられますが、手術との歯磨きはなるべくインプラントを埋入した部分にはブラシの毛先が当たらないようにしましょう。

手術後1週間ほどは歯磨きはしなくても大丈夫です。ただし、お口の中の一部分だけをブリッジタイプのオールオンフォーで治療された方は、残っている天然歯の部分のみに歯ブラシが当たるようにそっと磨いて下さい。

2週目からは毛先の軟らかい歯ブラシを使って力を抜いて丁寧に歯磨きを行います。決して強く当てすぎないように気をつけましょう。

手術後のうがいについて

うがい

歯科医院でうがい薬を処方されている場合は、指示通りにうがいを行います。手術直後のうがいは出血が止まりにくくなり、治癒を遅らせることに繋がりますので、頻繁に行わないようにしましょう。

オールオンフォーの手術当日に抜歯も行っている場合は特に歯肉が出血しやすくなっていますので、気をつけましょう。

アルコールは控えましょう

アルコール禁止

手術後2週間程度はアルコールを控えた方が治癒が早くなります。また、インプラント体が骨と結合するまでの2ヶ月の期間はお酒を飲みすぎないように注意しましょう。

手術当日は入浴を控えてシャワーのみにする

シャワー

手術を受けた当日は、熱いお風呂に入らないようにします。身体が温まって血行が良くなると出血しやすくなり、治癒を遅らせることにつながるからです。軽くシャワーを浴びる程度でしたら問題はありません。

どうしてもお風呂に入りたい場合は、ぬるめのお湯にさっと浸かるようにして、絶対に長風呂にならないように気をつけましょう。

手術当日は車の運転はしない

車

手術当日は麻酔の影響や体力消耗などの理由から、車の運転は避け、バイク、自転車にも乗らないようにしましょう。通常は何の問題もないことも、当日は避けておいた方が無難です。

手術後は禁煙していただくのが最良

禁煙マーク

タバコには200種類以上の有害物質が含まれており、それらは身体に悪影響を及ぼします。インプラント治療とタバコは相性が悪く、喫煙者のインプラント脱落率は非喫煙者よりも2倍も高いといわれます。インプラントが脱落する原因はインプラントの周囲の歯茎や骨が歯周病を起こす「インプラント周囲炎」によるものが多く、タバコは歯周病を進行させる大きな原因の一つと考えられています。

そのため、インプラント治療を受ける患者さんは、手術後の禁煙はもちろんのこと、これを機会に完全に禁煙することが、インプラントの長もちに繋がります。

激しい運動を避ける

オールオン4の手術後は身体が疲労しており、体力が落ちています。そのため手術後1週間はなるべく激しい運動を行わず、安静に過ごします。ジョギングや水泳、筋トレなどの運動を行うことは手術後2ヶ月程度は控えましょう。

旅行を控える

旅行

インプラント手術後、患部が安定するまでの間は急変するリスクを考え、旅行は控えましょう。手術後3ヶ月程度は旅行は控えて、なるべく身体に負担がかからないように気をつけながら普段通りに過ごすよう心がけましょう。

処方された抗生物質は指示通り服用する

処方された抗生物質等

インプラント手術後は感染予防のために抗生物質や痛み止めなどが歯科医院から処方されます。お薬をのむかどうかをご自分で判断せず、必ず歯科医師からの指示を守って、処方されたお薬は決められた量と回数を全て飲むようにしましょう。

オールオン4のインプラント手術後の注意事項に関するQ&A

オールオン4の手術後、食生活にはどのような注意が必要ですか?

オールオン4の手術後は、約1ヶ月半はやわらかい食べ物を選ぶ必要があります。硬い食べ物や熱い食べ物、刺激物は避けるべきです。また、仮歯に強い力をかけないように気をつける必要があります。

インプラントの脱落を避けるためにはどのような注意が必要ですか?

インプラントの脱落を避けるためには、インプラントに大きな力をかけないようにする必要があります。食事の際には適切な力加減で噛むようにしましょう。また、仮歯が破折するとインプラントの脱落の危険があるため、硬い食べ物を避けることも重要です。

手術後のうがいについてどのような注意が必要ですか?

手術後のうがいは頻繁に行わず、特に手術当日は控えましょう。手術直後のうがいは出血を促す可能性があるため、指示通りに行うことが重要です。また、手術当日に抜歯も行っている場合は歯肉が出血しやすくなっているため、注意が必要です。

まとめ

ダウンタイム

オールオンフォーは殆どの歯を失った方、総入れ歯(無歯顎)の方向けの治療法です。従来の治療方法では、片方の顎で6~14本のインプラントを埋入する必要がありましたが、オールオンフォーは4~6本のインプラントで10~12本の歯が繋がった状態の上部構造を顎骨に埋入したインプラントに装着して固定し、噛めるようにするという方法です。

オールオンフォーでは4~6本のみの少ない本数のインプラント体の埋め込みですので、料金が少なく済むことも大きな特徴です。

手術は1日で終わり、すぐに仮歯が入るので、その日の夜からは食事が出来ますが、強く噛み過ぎないようにするなど、注意しなければならないことがいくつかありますので、それらを守ってインプラントを長持ちさせて長期的に使用していただきたいと思います。

オールオン4のインプラント手術後の注意事項について、以下の研究からの情報を基にお答えします。

1. Patzelt et al.(2014) のシステマティックレビューでは、オールオン4治療コンセプトの生存率、適用された固定歯科義歯および近位骨レベルの時間的変化に関して評価されています。この研究は、手術後のケアや長期的なフォローアップの重要性を強調しています。特に、インプラント周囲の骨吸収は平均で1.3mm(36ヶ月)と報告されており、適切な口腔衛生の維持が重要であることが示唆されています。【Patzelt et al., 2014

2. Korsch et al.(2020) の研究では、オールオン4のコンセプトによるインプラント手術後の患者の術後不快感に関する調査が行われました。この研究は、特にジゴマインプラントを使用した場合の術後の腫れが、使用しない場合と比べて顕著であることを報告しています。このことは、術後の腫れや痛みを最小限に抑えるために、適切な術後ケアと薬物療法の重要性を示しています。【Korsch et al., 2020

オールオン4のインプラント手術後の注意事項としては、以下の点が挙げられます。

  • 口腔衛生の維持・・手術後のインプラント周囲の骨吸収を最小限に抑えるため、適切なブラッシングやデンタルフロスの使用による口腔衛生の維持が重要です。
  • 定期的なフォローアップ・・手術後は定期的に歯科医師の診察を受け、インプラントや義歯の状態をチェックしましょう。
  • 術後の腫れや痛みの管理・・特にジゴマインプラントを使用した場合、術後の腫れや痛みを軽減するために、医師の指示に従った薬物療法やケアが必要です。
この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

▶プロフィールを見る