上部構造のトラブルの種類とその原因は?

監修・執筆:大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

インプラントの上部構造が欠けたり、グラグラしたりすることはあるの?

はい。インプラントの上部構造(被せ物)には、欠け・割れ・脱落・ぐらつき・摩耗などのトラブルが起こることがあります。原因は、歯ぎしりや食いしばり、噛み合わせ、上部構造にかかる強い力、スクリューの緩みなどさまざまです。小さな欠けなら修理できる場合もありますが、破損の程度によっては交換が必要になります。

インプラント治療が終わったあと、「被せ物が少し欠けた」「噛むと何となく違和感がある」「インプラントの歯がグラグラする気がする」といった症状が出ることがあります。

こうしたトラブルが起きると、「せっかくインプラントを入れたのに失敗なのでは?」と心配されるかもしれません。

しかし、上部構造のトラブルが起きたからといって、すぐにインプラント体そのものが使えなくなったという意味ではありません。

インプラントは、顎の骨に埋め込まれたインプラント体、その上にあるアバットメント、口の中に見えている上部構造から成り立っています。トラブルがどの部分で起きているかによって、必要な処置は変わります。

また、壊れた部分を修理するだけでは不十分なこともあります。歯ぎしりや食いしばり、噛み合わせなど、「なぜ壊れたのか」まで確認しなければ、同じトラブルを繰り返す可能性があるからです。

この記事では、インプラントの上部構造に起こる代表的なトラブルと原因、修理と交換の判断、スクリューの緩み、歯ぎしり対策、メインテナンスまで詳しく解説します。

この記事を読むとわかること

  1. インプラントの上部構造とはどの部分か
  2. 上部構造に起こりやすいトラブル
  3. 欠け・割れが起こる原因
  4. 被せ物がグラグラする原因
  5. スクリューが緩む理由
  6. 上部構造の修理と交換の違い
  7. 歯ぎしり・食いしばりとの関係
  8. ナイトガードを使用する理由
  9. インプラント周囲炎との違い
  10. トラブルを予防するためのポイント

 

目次

インプラントの上部構造とはどこの部分ですか?

インプラントは一般的に、顎の骨に埋め込む「インプラント体」、インプラント体と人工歯をつなぐ「アバットメント」、口の中に見えている「上部構造(被せ物)」から構成されます。上部構造のトラブルとインプラント体そのもののトラブルでは、必要な処置が異なります。

上部構造とは、インプラントのうち口の中に見えている「歯の部分」です。

インプラントという言葉は、治療全体を指して使われることが多いですが、実際には複数の部品から構成されています。

主な構造は次の3つです。

  1. インプラント体

    → 顎の骨に埋め込まれる人工歯根にあたる部分です。一般的にはチタンまたはチタン合金などが使用されます。
  2. アバットメント

    → インプラント体と上部構造をつなぐ部分です。インプラントシステムによって構造は異なります。
  3. 上部構造

    → 口の中に見えている人工の歯です。一般の方には「インプラントの被せ物」と説明した方がわかりやすいでしょう。
前歯のインプラントと奥歯のインプラント

まずは、どの部分にどのようなトラブルが起こるのか整理してみましょう。

「インプラントがグラグラする」という一つの症状でも、問題が起きている場所は同じとは限りません。

部分 役割 起こりうるトラブル
上部構造 実際に噛む人工の歯 欠け、割れ、摩耗、脱落など
アバットメント・スクリュー 上部構造とインプラント体をつなぐ 緩み、破損など
インプラント体 顎の骨に固定される人工歯根 まれに破損や動揺など
周囲の歯茎・骨 インプラントを支える組織 インプラント周囲粘膜炎・インプラント周囲炎など

日本口腔インプラント学会でも、インプラント治療後に起こりうる問題として、上部構造の破折や脱落、スクリューの緩み、インプラント周囲粘膜炎・インプラント周囲炎などを挙げています。

つまり、患者さんが「インプラントが壊れた」と感じても、上部構造だけの問題なのか、内部の部品なのか、周囲組織なのかによって状況は異なります。まず原因を確認することが重要です。

インプラントの上部構造にはどんなトラブルがありますか?

上部構造に起こる代表的なトラブルには、欠け・割れ・脱落・ぐらつき・摩耗・噛み合わせの違和感などがあります。症状だけで原因を特定することはできず、スクリューやアバットメント、インプラント体、周囲組織まで確認が必要になる場合があります。

欠け・割れだけでなく、「グラグラする」「以前より噛みにくい」といった変化もトラブルのサインです。

インプラントの上部構造に起こるトラブルは、「完全に割れた」というわかりやすいものばかりではありません。

たとえば、

  • セラミックの一部が小さく欠けた
  • 被せ物全体が割れた
  • 被せ物が外れた
  • 指や舌で触ると少し動く
  • 噛んだときにカチッとした違和感がある
  • 以前より噛み合わせが高く感じる
  • 長年の使用ですり減ってきた

などがあります。

次の表は、症状から考えられる主な原因を整理したものです。

あくまで目安であり、症状だけで自己判断することはできません。気になる変化があれば歯科医院で確認しましょう。

症状 考えられる主な原因 対応の考え方
上部構造が欠けた 強い噛む力、歯ぎしり、材料の破折など 小範囲なら修理できる場合あり
上部構造が大きく割れた 過大な力、設計・材料など複数要因 再製作を検討する場合あり
グラグラする スクリューの緩み、部品の問題など 早めに受診
被せ物が外れた スクリューや固定部分の問題など 自分で戻さず受診
噛むと違和感がある 噛み合わせ、スクリュー、周囲組織など 原因の確認が必要
すり減った 長期間の使用、歯ぎしりなど 状態に応じ調整・再製作を検討

特に「少し動くだけだから大丈夫」と放置するのはおすすめできません。小さな変化の段階で原因を確認できれば、上部構造やスクリューの調整だけで対応できる場合があります。反対に、そのまま強い力を加え続けることでトラブルが大きくなる可能性もあります。

上部構造が欠けたり割れたりする原因は何ですか?

上部構造が欠けたり割れたりする原因として、歯ぎしり・食いしばり、強い噛む力、噛み合わせの偏り、硬いものを噛んだこと、材料や設計などが関係する場合があります。原因が一つとは限らず、複数の要因が重なって破損することもあります。

上部構造の破損では「何が壊れたか」だけでなく、「どんな力が加わったか」を確認することが重要です。

歯ぎしり・食いしばりが原因になることはありますか?

歯ぎしりや食いしばりがあると、就寝中などに本人が気づかないまま上部構造へ大きな力が繰り返しかかる場合があります。その結果、上部構造の欠けやスクリューの緩みなどにつながる可能性があります。

無意識の歯ぎしり・食いしばりは、インプラントに繰り返し強い力をかける要因になります。

歯ぎしりというと「ギリギリと音を鳴らすもの」を想像するかもしれませんが、音が出ない食いしばりもあります。

インプラントの上部構造は日常的な咀嚼に耐えられるよう設計されていますが、想定以上の力が繰り返しかかれば、上部構造や接続部に負担が蓄積します。

日本口腔インプラント学会のFAQでも、インプラント治療後には上部構造の破折やスクリューの緩みなどが起こることがあると案内されています。

噛み合わせが原因になることはありますか?

噛む力が上部構造の一部分に集中していると、特定の部位に負担がかかり続け、欠けや破損につながることがあります。天然歯や噛み合わせは時間とともに変化するため、インプラントを入れた時点で問題がなくても定期的な確認が必要です。

インプラントは入れたときだけでなく、その後の噛み合わせの変化も確認する必要があります。

口の中は何年経ってもまったく同じ状態ではありません。天然歯のすり減り、歯の移動、歯を失うことなどによって噛み合わせは変化します。

そのため、インプラント治療直後に噛み合わせが良好でも、長期間の使用によって一部へ負担が集中するようになることがあります。

硬いものを噛むと割れることがありますか?

極端に硬い食品や食品以外のものを強く噛んだ場合、上部構造が欠けたり割れたりする可能性があります。天然歯でも硬いものを噛めば欠けることがあるため、インプラントだから何でも噛んでよいというわけではありません。

インプラントでも、氷や非常に硬い食品、ペンなどを噛む習慣には注意が必要です。

インプラントはしっかり噛めることが大きな特徴ですが、「壊れない歯」ではありません。無理な力を加えないことも、長く使うためのメインテナンスの一つです。

ジルコニアやセラミックでも割れることがありますか?

ジルコニアやセラミックは歯科治療で使用される強度の高い材料ですが、絶対に欠けたり割れたりしないわけではありません。材料の種類、上部構造の厚みや設計、噛み合わせ、歯ぎしりなどによって破損リスクは異なります。

「硬い材料=絶対に壊れない」ではありません。材料だけでなく設計と噛み合わせも重要です。

セラミックとジルコニアを一括して「硬い反面、割れやすい材料」と説明するのは適切ではありません。

材料ごとに強度や性質が異なり、同じ材料でも形や厚み、支え方によって条件が変わります。

また、上部構造の破損を考える際には、

  • 使用されている材料
  • 上部構造の設計
  • 噛む位置
  • 噛む力の強さ
  • 歯ぎしり・食いしばり
  • 対合する歯の状態

などを総合的に確認します。

材料だけを別のものに変更すれば解決するとは限らないという点がポイントです。

インプラントの被せ物がグラグラする原因は何ですか?

インプラントの被せ物がグラグラするときは、上部構造を固定しているスクリューの緩み、アバットメントなど接続部の問題、上部構造そのものの脱離などが考えられます。まれにインプラント体そのものに問題が生じている場合もあるため、早めに歯科医院で確認しましょう。

被せ物がグラグラしてもインプラント本体の失敗とは限りませんが、放置せず確認が必要です。

インプラントがグラグラすると、「骨からインプラントが外れてしまった」と考えてしまう方もいます。

しかし、実際にはインプラント体ではなく、上部構造やスクリューなどの接続部分に問題がある場合もあります。

考えられるのは、

  1. 上部構造を固定するスクリューが緩んでいる
  2. アバットメントを固定する部分に問題がある
  3. 上部構造そのものが外れかけている
  4. 部品の一部が破損している
  5. インプラント体そのものが動いている

などです。

インプラントの被せ物がグラグラする場合、上部構造そのものだけでなく、固定しているスクリューやアバットメントに問題が起きている可能性もあります。日本口腔インプラント学会でも、インプラント治療後には上部構造の破折・脱落や、スクリューの緩みが起こることがあると説明しています。

患者さん自身がどの部分が動いているかを見分けるのは難しいため、「少しだけだから」と使い続けず、歯科医院で確認してもらいましょう。

インプラントのスクリューはなぜ緩むのですか?

インプラントの上部構造やアバットメントを固定するスクリューには、噛むたびに繰り返し力が加わります。強い咬合力、歯ぎしり、食いしばり、噛み合わせの偏りなどによって負担が大きくなると、スクリューが緩む原因になることがあります。

スクリューの緩みは、繰り返しかかる「力」の問題と関係することがあります。

スクリューは適切に締められていても、長期間にわたり大きな力が繰り返しかかればトラブルが起こる可能性があります。

スクリューの緩みをそのままにすると、

  • 上部構造のぐらつきが大きくなる
  • 噛み合わせが不安定になる
  • スクリューへさらに負担が加わる
  • 他の部品まで傷める

可能性があります。

このため、スクリューを締め直して終わりではなく、「なぜ緩んだのか」まで考えることが大切です。

歯ぎしりが強い、特定の場所だけ強く当たるなどの原因がある場合には、噛み合わせの調整や力への対策を検討します。

インプラントのスクリューは適切に締められていても、長期間にわたり大きな力が繰り返しかかることで緩みや破折が起こる可能性があります。日本口腔インプラント学会「インプラントのメインテナンスに関する学会見解」でも、スクリューへの過大な応力の繰り返しが緩みや破折につながることが示されています。

上部構造のトラブルを放置しても大丈夫ですか?

欠けやぐらつきなどの症状がある場合は、痛みがなくても放置しないことをおすすめします。小さな破損やスクリューの緩みでも、そのまま使用を続けることで破損範囲が広がったり、別の部品へ負担がかかったりする可能性があります。

痛くなくても「いつもと違う」と感じたら、早めに歯科医院で確認しましょう。

上部構造のトラブルは虫歯のようにズキズキ痛むとは限りません。

そのため、

  • 少し欠けただけ
  • ちょっと動くだけ
  • 食事はできるから大丈夫

と放置してしまうことがあります。

しかし、上部構造の破損やスクリューの緩みは、噛む力が正常に伝わっていないサインである場合があります。

日本口腔インプラント学会も、治療部位に何か変化を感じた場合には、治療を受けた歯科医師・歯科医院へ連絡して診てもらうことが重要としています。<インプラントの上部構造に欠け・ぐらつき・違和感などの変化がある場合は、痛みがなくても早めに歯科医院で確認することが大切です。

日本口腔インプラント学会でも、治療部位を含め口の中に何か変わったことがあれば、治療を受けた歯科医院へ連絡して診てもらうことを勧めています。する方が、結果として小さな処置で済む可能性があります。

壊れた上部構造は修理できますか?

上部構造の小さな欠けであれば、破損した場所や材料によっては修理できる場合があります。一方、大きく割れた場合、形が大きく変わった場合、適合や噛み合わせに問題がある場合などは、再製作が必要になることがあります。

小さな破損なら修理、大きな破損なら交換となる場合がありますが、状態によって判断します。

「少し欠けただけだから接着剤で付けてもいいですか?」という質問をいただくことがありますが、市販の接着剤などを使って自分で修理することは避けてください。

歯科医院では、

  1. どの材料が壊れたのか
  2. 欠けた範囲
  3. 内部の構造に問題がないか
  4. スクリューが緩んでいないか
  5. 噛み合わせに原因がないか
  6. 同じトラブルを繰り返す可能性がないか

などを確認します。

修理できるか交換が必要かは、破損の大きさだけでは決まりません。

次の表は一般的な判断の考え方です。実際には口腔内で確認したうえで治療方針を決めます。

状態 考えられる対応
小さな欠け 材料や場所によって修理を検討
大きな破折 上部構造の再製作を検討
スクリューの緩み 状態確認後、締め直しや部品交換などを検討
スクリューの破損 破損した部品の除去・交換を検討
噛み合わせに原因がある 修理とあわせて噛み合わせを確認
インプラント体に問題がある 上部構造だけではなくインプラント全体を評価

ここで重要なのは、修理できたかどうかだけを治療のゴールにしないことです。同じ場所が何度も欠ける、何度もスクリューが緩むのであれば、そこには繰り返し強い力が加わっている可能性があります。

上部構造を修理するか交換するかはどう判断しますか?

修理と交換の判断では、破損範囲、材料、使用期間、噛み合わせ、スクリューやアバットメントの状態、上部構造の適合などを確認します。また、何度も同じトラブルを繰り返している場合には、単純な修理ではなく設計や噛み合わせを含めた再評価が必要になることがあります。

「直せるか」だけでなく、「直したあと再発しにくいか」まで考えて判断します。

たとえば、小さな欠けであれば修理できるケースがあります。しかし、修理できるからといって、必ず修理が最善とは限りません。

判断材料には、

  1. 破損している範囲
  2. 上部構造の材料
  3. 上部構造の使用期間
  4. 噛み合わせ
  5. スクリュー・アバットメントの状態
  6. 上部構造の適合
  7. 同じ場所が以前にも壊れていないか

などがあります。

特に、短期間に同じ場所が何度も壊れている場合には注意が必要です。破損は、ときに「力のかかり方に問題があります」というサインでもあります。この視点を持つことが、再発を防ぐためには重要です。

歯ぎしり・食いしばりがある場合はどう対策しますか?

歯ぎしりや食いしばりを完全に止めることは簡単ではないため、「癖を治す」というより、インプラントへかかる力を管理することが重要です。噛み合わせの確認やナイトガードの使用などを検討することがあります。

歯ぎしり対策では「止める」ことより「強い力から守る」という考え方が重要です。

睡眠中の歯ぎしりは本人が意識して止めることができません。そのため、患者さんによっては就寝時にナイトガードと呼ばれるマウスピースを使用し、歯やインプラント上部構造へ加わる力への対策を行う場合があります。

ただし、ナイトガードを使えば絶対に上部構造が壊れないというわけではありません。

2026年に日本口腔インプラント学会誌へ掲載されたシステマティックレビューでは、固定性インプラント上部構造装着後の口腔アプライアンスが軽微な合併症を減らす可能性が示された一方、現時点の研究には限界があり、さらなる検証が必要とされています。

そのため、ナイトガードだけに頼るのではなく、

  • 噛み合わせ
  • 上部構造の状態
  • 歯ぎしり・食いしばり
  • 天然歯の状態
  • スクリューの緩み

などを定期的に確認することが大切です。

上部構造のトラブルとインプラント周囲炎は違いますか?

上部構造の破折やスクリューの緩みは主に機械的なトラブルです。一方、インプラント周囲炎はインプラント周囲の歯茎や骨に炎症が起こる生物学的なトラブルです。原因や治療方法は異なりますが、同時に問題が起きていることもあるため、インプラント全体を確認する必要があります。

「被せ物が壊れる問題」と「歯茎・骨に炎症が起こる問題」は別ですが、どちらも定期的な確認が必要です。

インプラントのトラブルというと、すべて「インプラント周囲炎」と考えてしまう方もいます。

しかし、

  • 上部構造が欠けた
  • スクリューが緩んだ
  • 上部構造が外れた

といったトラブルと、

  • 歯茎から出血する
  • インプラント周囲に炎症がある
  • 周囲の骨が失われている

といった問題は性質が異なります。

上部構造の破折やスクリューの緩みは主に機械的なトラブルであり、インプラント周囲炎はインプラントを支える周囲組織に起こる炎症性のトラブルです。日本口腔インプラント学会でも、上部構造やスクリューの問題と、インプラント周囲粘膜炎・インプラント周囲炎を分けて説明しています。

ただし、患者さん自身で区別する必要はありません。

「グラグラする」「歯茎から血が出る」「噛みにくくなった」などの変化があれば、上部構造だけを見るのではなく、インプラント周囲の歯茎・骨まで含めて確認します。

上部構造のトラブルを予防するにはどうすればいいですか?

上部構造のトラブルを完全に防ぐことはできませんが、定期的なメインテナンス、噛み合わせの確認、歯ぎしり・食いしばりへの対応、極端に硬いものを噛まないこと、違和感を放置しないことなどによって、トラブルを早期発見し大きな問題になるのを防げる可能性があります。

「壊さない」だけでなく、「小さな変化のうちに見つける」ことが予防では重要です。

インプラントを長く使うために大切なのは、毎日の歯磨きだけではありません。上部構造という人工物にも、噛み合わせや部品の状態を確認するメインテナンスが必要です。

具体的には、

  1. 定期的にメインテナンスを受ける

    → 上部構造、スクリュー、噛み合わせ、周囲の歯茎などを確認します。
  2. 歯ぎしり・食いしばりへの対策を行う

    → 必要に応じて噛み合わせやナイトガードについて検討します。
  3. 非常に硬いものを無理に噛まない

    → 「インプラントだから丈夫」と過信せず、天然歯と同じように大切に扱いましょう。
  4. 違和感を放置しない

    → 小さな欠け、カチッとした感覚、ぐらつきなどがあれば早めに相談します。
  5. 歯磨きで周囲を清潔に保つ

    → 上部構造だけでなく、その周囲の歯茎を健康な状態に保つことも重要です。

上部構造のトラブルは突然起きたように感じても、以前から小さな変化が出ていることがあります。次のようなサインがあれば、次回のメインテナンスまで待たずに歯科医院へご相談ください。

気になる変化 対応
小さく欠けた 破損範囲が広がる前に確認
カチッと音や感触がする スクリューなどを確認
わずかに動く 早めに受診
噛み合わせが変わった 噛み合わせを確認
何度も同じところが壊れる 力・設計・噛み合わせまで再評価
歯茎から出血する 周囲組織も含めて確認

インプラントを長く使用するためには、毎日の歯磨きだけでなく、定期的に上部構造やスクリュー、噛み合わせ、周囲の歯茎などを確認することが大切です。公益社団法人 日本口腔インプラント学会でも、治療後に変化があれば歯科医院へ連絡し、経過が順調な場合でも定期的なメインテナンスを受けることを勧めています。

メインテナンスの役割は「壊れていないことを確認する」だけではありません。壊れる前の変化を見つけることにもあります。

上部構造の修理・交換にはどのくらいの費用や期間がかかりますか?

費用や治療期間は、破損の程度、上部構造の材料、修理できるか再製作が必要か、保証の対象になるかなどによって異なります。小さな修理と上部構造を一から作り直す場合では、必要な通院回数や費用も異なるため、診察後に見積もりを確認しましょう。

修理費・交換費は状態や保証内容によって異なるため、まず診察で原因と必要な処置を確認します。

上部構造が壊れたときに、「いくらかかりますか?」という点は気になるところでしょう。

しかし、実際には、

  1. その場で修理できる程度なのか
  2. 歯科技工所での修理が必要なのか
  3. 上部構造を再製作するのか
  4. スクリューなどの部品交換が必要なのか
  5. 治療を受けた医院の保証対象になるのか

によって大きく異なります。

また、上部構造を再製作する場合には、型取りや口腔内スキャン、噛み合わせの確認、試適などが必要となり、複数回の通院が必要になることがあります。

費用だけを聞くより、「なぜ壊れたのか」「どこまで直す必要があるのか」「保証は使えるのか」まで確認することをおすすめします。

大阪インプラント総合クリニックが上部構造のトラブルで大切にしていることは?

上部構造が破損したときは、壊れた部分だけを修理するのではなく、破損した理由まで確認することが重要です。歯ぎしりや食いしばり、噛み合わせ、スクリューの状態などを確認し、同じトラブルを繰り返しにくい状態を目指します。

「直す」だけで終わらず、「なぜ壊れたか」を確認することを大切にしています。

たとえば、上部構造が一度欠けただけであれば、偶発的に硬いものを噛んだことが原因かもしれません。

しかし、

  1. 同じ場所が2回、3回と欠ける
  2. スクリューを締めてもまた緩む
  3. 新しい上部構造にしても違和感が続く

という場合は、別の原因を考える必要があります。

治療では「壊れた歯を元の形に戻すこと」が目の前の目標になりがちですが、長くインプラントを使用することまで考えるなら、それだけでは足りません。

壊れた上部構造は結果であり、その前に「壊れやすくなる理由」が隠れていることがあります。この原因まで確認しておくことが、再発を減らすためには大切です。

インプラントの上部構造のトラブルに関するQ&A

Q1. インプラントの上部構造が少し欠けただけでも受診した方がいいですか?

小さな欠けでも一度歯科医院で確認することをおすすめします。そのまま使える場合もありますが、噛む力が集中していることが原因であれば、欠けが広がったり再発したりする可能性があります。

小さな欠けでも、原因を確認しておくと安心です。

欠けた部分だけでなく、噛み合わせや反対側の歯も確認することが重要です。

Q2. インプラントの被せ物がグラグラするのは危険ですか?

スクリューの緩みなど比較的対応しやすい原因の場合もありますが、インプラント体や周囲組織に問題がある可能性も否定できません。グラグラした状態で噛み続けず、早めに受診してください。

グラグラしたら使用を続けず、早めに歯科医院へ相談しましょう。

上部構造だけが動いているのか、インプラント体まで動いているのかを歯科医院で確認します。

Q3. 上部構造が取れたら自分で戻してもいいですか?

自分で接着したり押し込んだりすることは避けてください。内部のスクリューやアバットメントに問題がある可能性もあるため、外れた上部構造を保管して歯科医院へご相談ください。

市販の接着剤などを使って自分で戻さないでください。

無理に戻すと、内部の部品や噛み合わせに問題を起こす可能性があります。

Q4. 欠けた上部構造は必ず交換になりますか?

必ずしも交換になるとは限りません。破損の範囲、材料、場所などによっては修理できることがあります。大きく割れている場合や適合に問題がある場合には再製作を検討します。

小さな欠けは修理できる場合もあります。

修理か交換かは、診察で状態を確認して判断します。

Q5. スクリューは一度緩むとまた緩みますか?

必ず再発するわけではありません。ただし、強い噛む力や歯ぎしり、噛み合わせの偏りなど原因が残っていれば再び緩む可能性があります。そのため、締め直すだけでなく原因の確認も重要です。

何度も緩む場合は「なぜ緩むか」の確認が必要です。

繰り返す場合には上部構造や噛み合わせを含めて再評価します。

Q6. ジルコニアの上部構造でも割れることがありますか?

ジルコニアは強度の高い歯科材料ですが、絶対に破損しないわけではありません。上部構造の設計、厚み、噛み合わせ、歯ぎしりなどの条件によって破折する可能性があります。

ジルコニアも「絶対に壊れない材料」ではありません。

材料の特徴と患者さんの噛み合わせを考えて選択することが大切です。

Q7. 歯ぎしりがある人はナイトガードを使った方がいいですか?

歯ぎしりや食いしばりがある患者さんでは、インプラントへ加わる力への対策としてナイトガードを検討する場合があります。日本口腔インプラント学会誌に掲載されたシステマティックレビューでも、固定性インプラント上部構造装着後の口腔アプライアンスについて検討されていますが、現時点では研究数が限られており、患者さんごとに適応を判断することが重要です。

ナイトガードが適しているかは、歯ぎしりや噛み合わせを確認して判断します。

ナイトガードだけでなく、定期的な噛み合わせのチェックも大切です。

Q8. 上部構造のトラブルとインプラント周囲炎は同じですか?

同じではありません。上部構造の破損やスクリューの緩みは主に機械的な問題で、インプラント周囲炎は歯茎や骨に起こる炎症です。ただし同時に問題が起きる場合もあるため、インプラント全体を確認します。

被せ物の破損と歯茎・骨の炎症は別のトラブルです。

症状だけで判断せず、歯科医院で原因を確認しましょう。

まとめ

インプラントの上部構造には、

  • 欠け
  • 割れ
  • 脱落
  • ぐらつき
  • 摩耗
  • 噛み合わせの違和感

などのトラブルが起こることがあります。

原因としては、歯ぎしりや食いしばり、強い噛む力、噛み合わせの偏り、上部構造の材料や設計、スクリューの緩みなどが考えられます。

小さな欠けであれば修理できる場合もありますし、スクリューの緩みであれば部品を確認して対応できる場合もあります。一方、大きく破損している場合には上部構造の再製作が必要になることがあります。

ここで最も大切なのは、「壊れたところを直して終わり」にしないことです。上部構造が壊れたという事実の裏には、歯ぎしりや噛み合わせなど、壊れやすくなった理由が隠れていることがあります。原因が残ったままなら、新しく修理・交換した上部構造にも同じような負担がかかるかもしれません。

また、インプラント治療後は上部構造だけでなく、スクリュー、アバットメント、インプラント周囲の歯茎や骨まで継続的に確認することが大切です。日本口腔インプラント学会も、治療後に変化を感じた場合には歯科医院へ連絡し、問題がなくても定期的なメインテナンスを受けることを勧めています。

「少し欠けただけ」「少し動くだけ」と思える段階で受診することが、大きなトラブルを避けるための近道です。

大阪インプラント総合クリニックでは、上部構造に問題が起きた場合、破損している部分だけではなく、噛み合わせやスクリュー、周囲組織などを確認し、原因に応じた対応を行います。インプラントの被せ物について気になる変化がありましたら、早めにご相談ください。