インプラント

インプラント治療はいつもの歯医者で受けても大丈夫?

インプラントはいつもの歯医者で大丈夫?

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

かかりつけ医の先生から「失った歯を考えると、今後の生活のためにインプラント治療をされるべきです」と言われたら、あなたはどうしますか。いつも診てもらっている歯医者さんなので大丈夫だろうと思われたなら、ちょっと待ってください。その先生はインプラント手術を沢山しておられますか?そうでないなら、その医院を利用して本当に安心なのか、考えてみましょう。

インプラントをどこで受けるかのチェックポイント

インプラント治療を受ける際、いつも通っている歯医者で治療を受けても大丈夫かどうかについては、いくつかの要素を考慮する必要がありますので、ご説明します。

1. 歯科医師の専門性と経験

インプラント治療の経験

いつもの歯医者がインプラント治療の豊富な経験を持っているかどうかが重要です。インプラント治療は技術的に高度な処置を伴うため、成功率を高めるためには経験豊富な歯科医師が理想的です。

専門的な資格や研修

インプラント治療を専門とする歯科医師は、関連する資格や研修を受けていることが多いです。歯科医師がインプラント治療に関する最新の知識と技術を持っているか確認することが重要です。

2. 設備と技術の充実度

先進的な設備の有無

インプラント治療には、CTスキャンや3Dでシミュレーションできるソフトなどの先進的な設備が必要です。これらの設備が整っているかどうかを確認しましょう。精密な診断と計画が、インプラント治療の成功に大きく関わります。

無菌環境の整備

インプラント手術は無菌環境で行われることが推奨されます。クリニックが適切な衛生管理を行い、手術が安心して受けられる環境が整っているかを確認することが重要です。

3. サポート体制とアフターケア

治療後のメンテナンス

インプラント治療には、術後のメンテナンスが欠かせません。いつもの歯医者が定期的なフォローアップやメンテナンスを提供してくれるかどうかも確認する必要があります。

緊急時の対応

万が一、インプラント治療後に問題が発生した場合に、迅速に対応してくれる歯科医師やクリニックのサポート体制があるかも重要です。

4. セカンドオピニオンの検討

複数の意見を聞く

インプラント治療を検討する際には、複数の歯科医師の意見を聞くことも有効です。特にいつもの歯医者がインプラント治療を専門としていない場合、専門クリニックでのセカンドオピニオンを受けることで、より納得のいく治療方針を決めることができます。

診療科目に歯科って書いてあったらインプラントもできる?

医院が掲げている診療科目に「一般歯科」と書いてある場合、虫歯や親知らずなどで抜歯をされた患者さんにとっては、インプラントもいつもの歯医者さんに相談すれば治療できると思っておられるかもしれません。

歯周病による抜歯や虫歯治療や予防はできても、「一般歯科」のみでは、インプラントは可能ではないのです。インプラントを治療している歯科医院は「口腔外科」または「インプラント」と看板に書いています。つまり、診療科目でそれらを標榜していない歯科は、インプラントを行っていないかもしれません。(※行っている場合もありますので問い合わせる必要があります)

インプラントは歯医者さんなら誰でもできるの?

「自分の歯や口の状態をトータルで診療してもらって感謝しているから、インプラントをするなら初めての歯医者じゃなく、いつもの歯医者で受けたい」と思われるかもしれません。確かに、昔から診療してもらっていて、信頼している歯医者さんだと、そう思われる気持ちは理解できます。しかし、インプラントのような手術を伴う治療の場合は、話が別です。

インプラント治療では、チタンでできたインプラント体を顎骨の中に埋め込む手術を受ける必要があります。その後インプラントと骨が結合するのを待ち、アバットメントと呼ばれる土台をつけ、その上にセラミックなどの被せ物をする治療です。

専門的な知識を持ち症例を積み重ねたドクターがおり、CT機器などの検査や撮影ができる設備を院内に完備している歯科医院で手術を行えば、リスクが少ないと考えます。

ですが、必要な知識が乏しく、インプラントの症例経験や検査が少ないと、見た目のお口の内部の予想だけで手術を行うことになってしまいます。上顎の骨の上にある上顎洞にインプラントを誤って刺して落としてしまったり、下顎の動脈を傷つけて出血が止まらないという事故やトラブルに繋がります。

このような事例から考える限り、インプラントの埋入を誤りなく、患者さんの負担にならないように、計画的、そして精密に行うには、やはり経験や知識が不可欠要素といえます。

インプラント治療が得意かどうか見分けるコツは?

認定証

 

インプラント治療が得意な歯科医師かどうかを見分けるコツをご紹介します。

見分けるコツとしては、まず相場をしっかり把握しましょう。そして、「相場より安い料金でインプラント治療しています」とホームページに載せているクリニックは、通院候補から除外しましょう。

何故なら治療費が極端に安い歯科医院は多くの場合、アジア製の性能の劣るコピーインプラントを使用して安く治療していたり、かぶせ物の質が悪い等の理由で安くしている場合があります。また、あまりにも安い価格で治療した結果、赤字経営がクリニックの存続を逼迫して、その医院がある日突然閉院する可能性があります。

そのため、劣悪な環境でインプラントを行うと、患者さんは他の医院でインプラントの再治療をしなければならないリスクがあります。費用が更にかかる上、手術による身体や精神的なご負担も増えるので、メリットがなくおすすめは出来ません。

そして、実際に手術をする歯科医師がどのような学会に所属しているのかをホームページで確認してみましょう。専門的にインプラント手術をしている歯科医師であれば、口腔外科やインプラント等の学会に所属しているはずです。

他にコツとしましては、インプラントを検討段階の際、予約カウンセリングを受診来院し、気になる事を質問していただきたいと思います。「本当に痛みは少ないのか」「CTが院内に設置されているか」「方法は1回法なのか2回法なのか」「アフターケアはどうなっているのか」など質問し、患者さんのご希望が叶うか、お悩みが解消されるかを確認してください。これらの質問には、実績のある歯科ならば即答できます。

その際に、数多の症例を診てきたドクターや医院ならば、衛生的な管理ができるアフターケアについても対応しているはずです。

様々な歯科を来院するのは失礼?

 

「様々な歯科を来院してお話を伺うのは、いつもの歯医者さんに悪い」とおっしゃる方がいらっしゃいます。優しい方とは思いますが、快適な治療を行うためには、冷静に判断すべきと考えます。ご自身のみで不安ならば、ご家族とご一緒に医師のお話を伺ってみてはいかがでしょうか。

インプラントは定期的にメンテナンスを受けていただき、予防歯科などでしっかりと衛生的に管理していけば、天然歯と変わらず長きにわたって使えます。手術にかかる費用も、虫歯治療費とは違って高い費用がかかります。

「虫歯治療はいつもの歯医者さんにしてもらうけど、インプラントは専門院で治療して良かった」と診療後に思えるようにするべきではないかと考えます。新たに専門的なクリニックと出会い、最短の来院で、治療を終えられるとご負担も減ります。

インプラントはいつもの歯医者でいいのかに関するQ&A

いつもの歯医者でインプラント治療は可能ですか?

いつもの歯科医師が「口腔外科」または「インプラント」の診療を標榜していて、かつその経験と知識があれば可能ですが、そうでなければ他の専門医に相談することをおすすめします。

インプラント治療が必要な場合、どのような歯科医師を選べばよいですか?

インプラント治療は専門的な知識と経験が必要です。インプラント治療の症例経験が豊富で、必要な検査設備を備えた歯科医師を選ぶことを推奨します。

インプラント治療が得意な歯科医師の見分け方は何ですか?

料金相場を把握し、それより安い料金を提供するクリニックを避けること、医師が所属する学会を調べることなどがコツとなります。

まとめ

 

インプラントのような専門的な技術が必要な治療の場合は、その治療を得意分野とする医院を把握・活用することが大切です。そして患者さんがしっかり噛めて何でも食べられる喜びを実感でき、口臭や見た目を気にせずにいられるような状態を、ぜひ手に入れていただきたいと思います。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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