骨粗しょう症の薬を飲んでいてもインプラントできる?

執筆

執筆:総院長 松本正洋


通常、インプラントの治療法とは、虫歯や歯周病で抜歯に至ったり、疾患で失った天然歯を、あごの骨に穴を開け、親和性が高いチタン製の人工歯根(フィクスチャーとも呼びます)を顎の骨に埋入し、歯の土台(アバットメント)をネジで連結させ、かぶせ物(上部構造や人工歯と呼びます)をアバットメントの上にかぶせる方法です。インプラントを行う事により、食事の際にきちんと咬む幸せを得られますし、他の歯に負担がかからないことで、ご自身の歯を長持ちさせるというメリットがあります。ただ、特定の疾患をお持ちの方はインプラント治療を受けることはできません。今日は、それについて詳しくご説明いたしますね。

インプラントできない人とは


では、特定の疾患とは、どのような疾患でしょうか。

まず、真っ先に挙げられるのは糖尿病の患者様です。免疫力が低下しているため、傷が治りにくく、細菌感染が起こると大変な事態になります。また、骨の癒合にも影響があり、大変リスクが高い患者様と言えます。

もちろん、出血してはならない疾患である血友病や白血病の患者様は、手術を伴うインプラントは不可能です。リウマチや膠原病など免疫不全によって起こる病気は、服用しているステロイドのお薬が、骨の癒合に影響を及ぼすと言われています。

金属アレルギーの一つであるチタンアレルギーの方にも、チタン製の人工歯根を埋め込むこの治療法は不向きですね。ただ、ジルコニア製なら可能ですよ。また、顎が未発達のお子様や、服用できる薬に限りのある妊娠中の方にもインプラントは不可能です。

あとは、歯周病や、骨粗しょう症の患者様にもインプラントは不向きです。

骨粗しょう症だと何故不向きなの?


歯周病の患者様は、インプラント周囲炎を引き起こす可能性があるため、難しいのです。では、何故、骨粗しょう症の患者様にとって、インプラントは不向きなのかという点について、詳しくご案内いたします。

骨粗しょう症の患者様は、歯槽骨と呼ばれる歯の根を支える骨が、脆くなっている傾向になります。その状態でインプラントは出来ない為、他の骨を移植したり、増骨材を使用し、骨の回復を待ってから、インプラントを行う事ができます。

ただし、ビスホスホネート系のお薬をを服用中の患者様は、インプラント治療を行う事はできません。

骨粗しょう症で服薬中だとインプラントできないわけは?


ビスホスホネート製剤(略称:BP製剤)服用中の方に、なぜインプラントはできないのでしょうか。それは、薬の特徴によるものです。

ビスホスホネート製剤や、デノスマブが含有されている注射を行っている方は、骨粗しょう症という症例の方ですよね。つまり、骨の代謝を抑えてカルシウムの流出を阻止し、骨を固くするという性質が、これらの薬にはございます。骨の代謝を抑えるという事は、すなわち新しい骨や、歯周組織を作る機能も抑制されます。

そういう方がインプラント治療を行うとどうなるのか。歯磨きがきちんとできていないと、細菌感染を起こしてしまいます。まだ、それだけのトラブルなら良いのですが、細菌の侵入により骨が治りにくくなり、骨が腐る=骨の壊死という最悪のトラブルの原因になります。

実際に、そのような痛ましい事故が起きてしまったという記事をご案内します。<参照先:NEWSポストセブン「インプラント手術の80代女性 骨粗鬆症薬で顎の骨腐食」>






インプラントに痛みや違和感があると、手術を受けた医院とは別の医院を訪ねられた80代の女性がいらっしゃいました。その患者様は、インプラントが左右に揺れる状態だったようです。歯科医師がすぐにX線画像を撮影すると、インプラントの周囲は黒い影になっていて、骨が完全に溶けていたそうです。

このままだと上顎洞に突き抜けてしまう恐れがあったので、すぐにインプラントを撤去されたそうですが、使用していたインプラントも、粗悪なコピーインプラントだったそうです。お薬手帳にビスフォスフォネートを服用していると記載があったにも関わらず、前の医師は考慮をせず、患者さんを顎骨壊死(がっこつえし)という深刻な症状にまで至らしめたとの事です。

自由診療の為、安くはない費用をかけて治療をされるのに、このような事態になってしまうとは、本当に胸が痛みます。このような悲しいトラブルにならない為にも、これらの薬を服用、もしくは注射されている患者様は、担当医にご相談くださいね。

インプラントできない人の治療法って?


先程申し上げたように疾患により、インプラントができない人の治療法は、何があるかご紹介いたします。歯を失われた方には、他にもブリッジや入れ歯という選択肢があります。

ブリッジは、両隣の歯を削って支台にするため、敬遠される方もいらっしゃいますが、両隣の歯をなるたけ削らないというヒューマンブリッジという方法もあります。

また、入れ歯をご検討の際は、是非一度保険適用内で作製することをおすすめします。えづきやで違和感が特に少なければ、自費診療でより薄型の入れ歯を作製し、快適な生活を送ることが可能です。入れ歯を装着すると、歯槽骨の吸収などというデメリットもあります。

ただ、疾患を担当医に告げず患者様がインプラントをこっそり行うと、先ほどの壊死のようなトラブルが起こる可能性が高いです。そう考えれば入れ歯やブリッジは、格段に良い方法と言えるのではないでしょうか。

まとめ


今回は「骨粗しょう症の薬を飲んでいてもインプラントできる?」という事について、ご紹介いたしました。該当する疾患がある方は、必ず担当医にお伝えくださいね。患者様第一で考える医者ならば、患者様を危険にさらすより、少しでも生活の質の向上を目指す治療方法をご提案すると思います。