
骨粗しょう症は骨密度が低下し、骨折のリスクが大きくなる病気ですが、インプラントは可能でしょうか? インプラント治療は顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込み、その上に義歯を取り付けます。インプラントと骨粗しょう症についてご説明します。
インプラントできない人とは

インプラント治療は失った歯を補うための素晴らしい治療法なのですが、全ての方がインプラント治療可能なわけではありません。インプラントの手術ができない病気があります。
インプラント出来ない可能性があるのは、以下の5つの特徴をもった方です。
- 未成年の方(およそ20歳以下)
- 妊娠中の方
- 全身疾患や持病のある方
- 虫歯や歯周病がある方
- あごの骨が薄い・少ない方
インプラントの出来ない可能性のある全身疾患や持病として、まず真っ先に挙げられるのは糖尿病の患者さんです。糖尿病患者さんは免疫力が低下しているため、傷が治りにくく、細菌感染が起こると炎症が大きくなり、大変な事態になりかねません。また、骨の癒合にも影響があり、大変リスクが高い患者さんと言えます。
もちろん、出血してはならない疾患である血友病や白血病の患者さんは、口腔外科手術を伴うインプラントは不可能です。リウマチや膠原病など免疫不全によって起こる病気は、服用しているステロイドのお薬が、骨の癒合に影響を及ぼすと言われています。
歯周病や骨粗しょう症の患者様にもインプラントは不向きです。
骨粗しょう症だと何故インプラントに不向きなの?

何故、骨粗しょう症の患者さんにとって、インプラントは不向きなのかという点についてご説明します。通常はインプラント体と骨が結合するまでに3~6ヶ月程度の期間が必要です。骨粗しょう症の患者さんは骨密度が低いため、通常の2倍程度の期間をかけた方がインプラント体と骨の結合がしっかりと強固なものになり、治療の成功率が高くなります。
そして、治療の為の薬の種類によっては薬剤性顎骨壊死(がくこつえし)のリスクがあるとされています。骨粗しょう症の治療薬としては優秀で、多くの骨粗しょう症の患者さんが使用して骨折などのトラブルを回避することが出来ている薬なのですが、インプラント治療や抜歯は危険だとされています。
骨粗しょう症で服薬中だとインプラントできないわけは?

ビスホスホネート製剤(略称:BP製剤)服用中の方に、なぜインプラントはできないのでしょうか。それは、薬の特徴によるものです。
骨粗鬆症の患者さんはビスホスホネート製剤や、デノスマブが含有されている注射を使用しておられる方がおられます。これらの薬には骨の代謝を抑えてカルシウムの流出を阻止し、骨を固くするという性質があります。骨の代謝を抑えるということは、すなわち新しい骨や歯周組織を作る機能も抑制されます。
そういう方がインプラント治療を行って細菌感染を起こしてしまった場合、細菌の侵入により骨が治りにくくなり、骨が腐る=骨の壊死という最悪のトラブルの原因になります。
インプラントできない人の治療法って?

疾患によってインプラントができない方の治療法は、どういうものがあるかご説明します。歯を失われた方には、インプラントの他にもブリッジや入れ歯という選択肢があります。
ブリッジは両隣の歯を削って支台にするため、敬遠される方もいらっしゃいますが、両隣の歯をなるべく削らないというヒューマンブリッジという方法もあります。
また、入れ歯をご検討の際は、是非一度保険適用内で作製することをおすすめします。えづきやで違和感が特に少なければ、自費診療でより薄型の入れ歯を作製し、快適な生活を送ることが可能です。入れ歯を装着すると、歯槽骨の吸収などというデメリットもあります。
まとめ

インプラント治療をお考えの方で、骨粗しょう症のお薬を飲まれていたり、注射による治療をされている方は、外科処置によって副作用が出るリスクがありますので、インプラントの初診カウンセリングの際に必ず担当医師にお伝えください。
適切な予防処置、術前術後の管理を行うことで、インプラント手術が可能になる場合もありますので、あきらめずにご相談くださいね。