
インプラントをわかりやすく知りたい方や、向き・不向きがあるのか気になる方もおられるでしょう。今日はインプラントをより分かりやすくご説明します。
目次
インプラントとは?
まず、インプラントとは英語で体内に埋め込む器具を指します。臓器が何らかの原因で機能を失った場合、その機能を回復させるために行う治療法です。つまり、心臓に入れるペースメーカーや、人工関節もインプラントです。 歯科医院でのインプラントは、下記の3つの器具をこの順番で埋入していく治療です。
- 歯を失った部分のあごの骨に人工歯根(インプラント体)を埋入
- 連結部分(アバットメント)を立てる
- 人工歯の被せ物(上部構造)を被せる
インプラント治療を行うことで、食べ物を噛むことやすりつぶすことの咀嚼機能の改善が可能となり、食生活を楽しむことができます。
インプラントの歴史
インプラントの歴史は意外と古く、紀元2~3世紀ごろに鉄製のインプラントが埋まった人骨が出ています。ちゃんと使用したとわかるインプラントは7世紀のマヤ文明で、インプラントが貝殻で作製され、歯石などもインプラントに付着して人骨とともに発掘されました。
近年でのインプラントの歴史は、1913年に円筒型のインプラントが発明され、1930年代にスクリュー型、1940年代にらせん型のインプラントが開発されました。
現在行われているインプラント治療の歴史という点では、1952年にブローネマルク教授がチタンは骨と結合するという発見をしました。これはオッセオインテグレーションと呼ばれるもので、チタンは人体に影響を及ぼさない生体親和性の高い金属で、近代のインプラント治療に大きく影響を及ぼしたと言われています。
どのような人がインプラントに向いているか?
全ての歯を失った人がインプラント治療を行えるのでしょうか。答えとしては、一部向かない人がおられます。 歯をどのようにして失ったかという原因も関係してきます。
事故による外傷で前歯の一部を欠損してしまったケースは、すぐに治療を開始できます。ただし、むし歯や歯周病などで歯を失われたケースの場合は、それらの治療が終了してからインプラント治療を開始することになります。
歯を失った時の3つの治療法
欠損部分に歯を入れる治療を義歯治療と呼びます。
- 入れ歯
- ブリッジ
- インプラント
インプラントは義歯治療の中でも、審美性と咬合力に優れた治療法です。義歯の治療にはこの三種類がありますが、入れ歯やブリッジは隣の歯に大きな負担をかけます。入れ歯の場合は隣り合う歯にバネをかけ、ブリッジの場合は隣の歯を削ります。将来的に隣の歯をダメにしてしまい、またその隣の歯と残存歯に影響を及ぼしますし、噛む力が弱いため食事を楽しむことができません。
インプラントは、顎骨(あごの骨)に直接人工歯根を埋め込んで結合を待ち、人工歯根にアバットメントを立ててクラウンを被せる構造です。そのため、インプラントは天然歯と同じ噛み心地を味わえます。また、セラミックなどのかぶせ物を選択すると、永久歯と変わらない美しさを保つことができます。
インプラント治療をするにあたり注意が必要な人の特徴は?
インプラントを行う際に注意が必要な患者さんについてご説明します。
- ビスフォスフォネート製剤の服薬がある骨粗しょう症の患者様
- 血糖値のコントロールが上手くいっていない糖尿病の患者様
- 高血圧・狭心症・心筋梗塞などの全身疾患などの持病がある患者様
- 歯周病の患者様
- 喫煙の習慣をやめられない患者様
全身疾患がある方
骨粗しょう症や糖尿病などの全身疾患の持病があり、お薬を毎日服用している患者様は、通院先の担当医へ相談をすることが大切です。
- インプラント治療をしても良いか
- 術前術後は服薬を止めても可能か
これらの許可を担当医よりもらう必要があります。この確認を怠ると、他のクリニックで顎骨壊死や出血が止まらないなどの重大な事故につながるからです。
歯周病がある方
歯周病の患者様については、インプラント治療よりも先にまず口腔内の歯周病の治療を優先させましょう。
- 歯周病の治療よりも先にインプラントを埋め込んでしまう
- 歯周病の場合は歯周組織に細菌感染が起きている
- インプラントが動揺し脱落するインプラント周囲炎になる
- インプラントの再手術が必要となり治療の期間や料金が再度かかる
このようなリスクを回避するためにも、歯周病の治療を終了させてから、インプラントの治療を行いましょう。
タバコを吸う方
たばこに関しては血液の流れが悪くなるため、当院ではインプラントをする前後で禁煙していただくようおすすめしております。ヘビースモーカーの方を例に挙げてご説明します。
- タバコを吸うことで血管が収縮します
- 血管の中の酸素や栄養素が少なくなります
- 血流が悪くなるため骨とインプラントが結合できない
- インプラントが結合できても外れやすくなります
インプラント治療が終了したからもう大丈夫だろうと喫煙をされるのはNGです。
まとめ
インプラントの治療は保険適用外であるため、高い費用がかかります。また、検査を行うための歯科用CTや設備が整っている歯科医院で、経験の豊富な歯科医師にしてもらわなければ、安全性の高いインプラント治療を行うことはできません。