インプラントの基礎知識

インプラントをわかりやすく知りたい!向き・不向きはある?

インプラントをわかりやすく知りたい!向き・不向きはある?

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

インプラントをわかりやすく知りたい方や、向き・不向きがあるのか気になる方もおられるでしょう。今日はインプラントをより分かりやすくご説明します。

インプラント治療が向いている人とは?

全ての歯を失った人がインプラント治療を行えるのでしょうか。答えとしては、一部向かない人がおられます。 歯をどのようにして失ったかという原因も関係してきます。

事故による外傷で前歯の一部を欠損してしまったケースは、すぐに治療を開始できます。ただし、むし歯や歯周病などで歯を失われたケースの場合は、それらの治療が終了してからインプラント治療を開始することになります。

インプラント治療が不向きな人、注意が必要な人とは?

 インプラント治療が不向きな人、また、インプラント治療を行う際に注意が必要な人は、主に以下のような方です。

  • ビスフォスフォネート製剤の服薬がある骨粗しょう症の患者様
  • 血糖値のコントロールが上手くいっていない糖尿病の患者様
  • 高血圧・狭心症・心筋梗塞などの全身疾患などの持病がある患者様
  • 歯周病の患者様
  • 喫煙の習慣をやめられない患者様

全身疾患がある方

骨粗しょう症や糖尿病などの全身疾患の持病があり、お薬を毎日服用している患者様は、通院先の担当医へ相談をすることが大切です。

  • インプラント治療をしても良いか
  • 術前術後は服薬を止めても可能か

これらの許可を担当医よりもらう必要があります。この確認を怠ると、他のクリニックで顎骨壊死や出血が止まらないなどの重大な事故につながるからです。

歯周病がある方

歯周病の患者様については、インプラント治療よりも先にまず口腔内の歯周病の治療を優先させましょう。

  1. 歯周病の治療よりも先にインプラントを埋め込んでしまう
  2. 歯周病の場合は歯周組織に細菌感染が起きている
  3. インプラントが動揺し脱落するインプラント周囲炎になる
  4. インプラントの再手術が必要となり治療の期間や料金が再度かかる

このようなリスクを回避するためにも、歯周病の治療を終了させてから、インプラントの治療を行いましょう。

タバコを吸う方

たばこに関しては血液の流れが悪くなるため、当院ではインプラントをする前後で禁煙していただくようおすすめしております。ヘビースモーカーの方を例に挙げてご説明します。

  1. タバコを吸うことで血管が収縮します
  2. 血管の中の酸素や栄養素が少なくなります
  3. 血流が悪くなるため骨とインプラントが結合できない
  4. インプラントが結合できても外れやすくなります

インプラントに向かない生活習慣がある方は、それらを改善することでインプラント治療が可能になる可能性があります。

しかし、インプラント治療が終了したからもう大丈夫だろうと過去の生活習慣(喫煙など)に戻ってしまうと、その時からインプラントに悪影響を与えます。

インプラントとは?

体内に埋め込むという意味で、何らかの原因で身体の機能を失った場合、その部分の機能を回復させるために行う治療法です。心臓に入れるペースメーカーや、人工関節もインプラントです。

歯科医院でのインプラントは、「インプラント体(人工歯根)」「アバットメント」「上部構造(被せ物)」の3つの部品で成り立っています。

前歯のインプラントと奥歯のインプラント

インプラント治療を行うことで、食べ物を噛むことやすりつぶすことの咀嚼機能の改善が可能となり、食生活を楽しむことができます。

インプラントの歴史

インプラントの歴史は意外と古く、紀元2~3世紀ごろに鉄製のインプラントが埋まった人骨が出ています。ちゃんと使用したとわかるインプラントは7世紀のマヤ文明で、インプラントが貝殻で作製され、歯石などもインプラントに付着して人骨とともに発掘されました。

近年でのインプラントの歴史は、1913年に円筒型のインプラントが発明され、1930年代にスクリュー型、1940年代にらせん型のインプラントが開発されました。

現在行われているインプラント治療の歴史という点では、1952年にブローネマルク教授がチタンは骨と結合するという発見をしました。これはオッセオインテグレーションと呼ばれるもので、チタンは人体に影響を及ぼさない生体親和性の高い金属で、近代のインプラント治療に大きく影響を及ぼしたと言われています。

歯を失った時の3つの治療法

欠損部分に歯を入れる治療を義歯治療と呼びます。

  • 入れ歯
  • ブリッジ
  • インプラント

インプラントは義歯治療の中でも、審美性と咬合力に優れた治療法です。義歯の治療にはこの三種類がありますが、入れ歯やブリッジは隣の歯に大きな負担をかけます。入れ歯の場合は隣り合う歯にバネをかけ、ブリッジの場合は隣の歯を削ります。将来的に隣の歯をダメにしてしまい、またその隣の歯と残存歯に影響を及ぼしますし、噛む力が弱いため食事を楽しむことができません。

インプラントは、顎骨(あごの骨)に直接人工歯根を埋め込んで結合を待ち、人工歯根にアバットメントを立ててクラウンを被せる構造です。そのため、インプラントは天然歯と同じ噛み心地を味わえます。また、セラミックなどのかぶせ物を選択すると、永久歯と変わらない美しさを保つことができます。

インプラントの向き・不向きに関するQ&A

インプラント治療はどのような人に向いていますか?

インプラント治療は歯を失った人のうち、事故による外傷で前歯の一部を欠損してしまったケースや、むし歯や歯周病による歯の喪失後に治療が終了したケースに適しています。

インプラント治療をする際に注意が必要な人の特徴は何ですか?

インプラント治療をする際に注意が必要な特徴として、ビスフォスフォネート製剤の服薬がある骨粗しょう症の患者、血糖値のコントロールが上手くいっていない糖尿病の患者、全身疾患を持つ患者、歯周病の患者、喫煙者が挙げられます。

インプラント治療にタバコの影響はありますか?

インプラント治療におけるタバコの影響は大きく、喫煙によって血液の流れが悪くなり、骨とインプラントの結合が妨げられる可能性があります。また、インプラントの結合ができても外れやすくなる可能性もあります。したがって、治療前後の禁煙が推奨されます。

まとめ

インプラント相談 インプラントの治療は保険適用外であるため、高い費用がかかります。また、検査を行うための歯科用CTや設備が整っている歯科医院で、経験の豊富な歯科医師にしてもらわなければ、安全性の高いインプラント治療を行うことはできません。

 

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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