インプラント治療前・治療後の疑問

インプラント治療後に頭痛や肩こりがするのは何故?

インプラント後に頭痛・肩こりがするのは何故?

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

インプラント治療後に頭痛や肩こりがひどくなったという方がおられます。一過性で時間が経てば治るケース、早めに対処をする必要があるケースなど様々です。今日は、インプラント、及び頭痛や肩こりの関係についてもご紹介します。

インプラント治療後に頭痛や肩こりが起こる原因とは

インプラント治療をした後に頭痛や肩こりなどの不調があるというケースについてご説明します。インプラントは骨を切って手術を行うため、麻酔が切れてきたら痛みや腫れなどが生じます。ただ、頭痛や肩こりが慢性的に起きる場合は、下記のトラブルが起きている可能性があります。

上顎にインプラントを行った

  1. インプラントが上顎洞の粘膜を傷つけ、細菌感染を起こしている
  2. 上顎洞炎という炎症になり、頭痛を引き起こす

噛み合わせが正しくない

  1. 骨格を見ながら最終的な噛み合わせを調整するが、固定するネジが緩んでいて噛み合わせに違和感がある
  2. 噛み合わせが悪くなるとあごの骨のずれが生じる
  3. 左右の骨のズレにより、首筋の張りや肩こり、肩こりからくる頭痛で、顎関節症を引き起こす

インプラント周囲炎が起きている

  1. インプラントの周囲が歯周病のような状態になる
  2. 歯茎の腫れ・出血の症状がある
  3. インプラントが不安定にぐらつく
  4. インプラントの埋入部分から膿が出る
  5. インプラントが抜け落ちる

義歯治療が嫌だと歯が抜けたまま放置していると、顎の骨が痩せてしまい、他の歯にまで影響を及ぼします。必ず歯を抜いた場合は、義歯治療を受診するようにしましょう。

インプラントとは

インプラントは、何らかの理由(虫歯・歯周病・事故)で歯を失った方に歯科医院で行う治療です。歯を失った場合の治療には他にブリッジ・入れ歯があります。

インプラント治療のメリット

インプラントの主なメリットは以下のようなものです。

  • 隣の歯や残存歯に影響を及ぼさない
  • 天然歯と同じくらい固い食べ物を噛むことができる
  • 第二の永久歯と言えるほど審美性が高い

インプラント治療のデメリット

インプラントのデメリットは以下のようなものです。

  • 保険適用外の自由診療であるため、高い費用がかかる
  • 入れ歯やブリッジと比べて治療期間もかかる
  • 手術であるため、重度の糖尿病、ビスフォスフォネート製剤を飲まれた方、喫煙習慣のある方はできないケースがある

インプラントの治療の流れ

インプラント治療には2種類の術式があり、インプラントと同時に歯が入る(抜歯即時荷重)一回法と、二度に分けてオペを行う二回法があります。今回は二回法でご説明します。

  1. 局所麻酔をし、歯茎を切開する
  2. 生体親和性の高いチタンなどで作製されたインプラント体(人工歯根)を埋め込む
  3. 歯茎を縫合し、骨とインプラント体が結合するまで数ヶ月待つ
  4. 骨とインプラント体が結合したら、再度歯茎を切開してインプラントの頭出しを行う
  5. アバットメントと呼ばれる部品をインプラントの頭に連結する
  6. 歯茎が治るまで少し期間を置く
  7. 最終的な型どりを行い、上部構造(被せ物)の作製を行う
  8. 上部構造をアバットメントにセット(セメントかスクリューかで固定)して完成

インプラント治療をしたら、定期的に通院することを忘れないようにしましょう。インプラント周囲炎などの細菌感染を起こさないよう、歯科衛生士のクリーニングを受診することが、インプラントを長持ちさせる大切な秘訣です。

インプラントはどこで受ければ良い?

歯科医院

インプラント治療を受ける医院を検討される際に大事なポイントは以下の通りです。

  • インプラントの症例や経験が豊富なドクターや、専門の麻酔科医がいる
  • 院内の設備(歯科用CT・レントゲン・インプラントガイド)が整備された安全な環境である
  • 治療計画や治療期間をきちんと説明してくれ、患者様のお悩みに向き合ってくれるスタッフである
  • 質問や疑問に対して安心して治療を受けられるよう丁寧に回答をくれる
  • 信頼のおけるメーカーのインプラントを使用している
参照先:厚生労働省

インプラント後に頭痛・肩こりがする理由に関するQ&A

インプラント後に頭痛や肩こりが起こる理由は何ですか?

インプラント後の頭痛や肩こりは、以下の要因による可能性があります。

・上顎洞炎による頭痛:インプラントが上顎洞の粘膜を傷つけ、炎症を引き起こすことで頭痛が起きる可能性があります。

・噛み合わせの問題:インプラントの噛み合わせが正しくない場合、あごの骨のずれや顎関節症が起き、頭痛や肩こりを引き起こす可能性があります。

・インプラント周囲炎:インプラント周囲に炎症が起きると、歯茎の腫れや出血、インプラントの不安定さなどが現れ、頭痛を引き起こすことがあります。

インプラント治療を受ける際に注意すべきポイントは何ですか?

インプラント治療を受ける際の注意点は以下の通りです。

・経験豊富なインプラントの専門医や麻酔科医がいるか確認する

・歯科用CTやレントゲンなどの設備が整った安全な環境で治療を受ける

・治療計画や期間を丁寧に説明してくれるスタッフや医師に相談し、不安や疑問に対応してくれるか確認する

・信頼できるメーカーのインプラントを使う医院を選ぶことが重要

まとめ

インプラント手術を行っている医院は、無料でカウンセリングというシステムを導入しているケースがあります。当院も予約制ではありますが、インプラントのカウンセリングをしています。インプラントの埋入位置が異なると口腔内のバランスが悪くなり、頭痛や肩こりの原因で不調をきたし、埋入したインプラントを外さないといけなくなる場合があります。インプラントを行う際には、できるだけ複数のクリニックを受診し、インプラント手術後もメンテナンスを快適に続けられるクリニックを選びましょう。

インプラント治療後に頭痛や肩こりが発生する原因には複数の要因が考えられます。一つの研究では、歯の咬合面の変形が不特定の症状、例えば頭痛や肩こりを引き起こすことが長年知られていました。この研究は、上顎の咬合面の偏位を軸椎の中心からの偏位として測定し、治療前後の症状の変化を比較しました。その結果、咬合面の調整が頭痛や肩こりの症状の著しい改善につながることが示されました。【Ueda et al., 2005

別の研究では、歯科インプラントの除去後に患者の全身症状が改善した事例が報告されています。この研究の患者は、歯科インプラント施術後に腰痛、肩こり、首の痛み、股関節の痛み、顔の痛みといった全身症状を訴えました。良好に組み込まれたチタンインプラントの除去後、これらの症状が改善したことから、インプラントが受ける有害な電磁波が体調に影響を与える可能性が示唆されていますが、その根本的なメカニズムはまだ特定されていません。【Fujii, 2016

これらの研究は、インプラント治療後に発生する頭痛や肩こりが、咬合面の調整やインプラントに関連した全身的な反応に起因する可能性があることを示唆しています。ただし、症状の原因と治療法は個々の患者によって異なるため、専門家による適切な診断と治療が必要です。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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