インプラント治療前・治療後の疑問

インプラントの寿命はどのくらいもつ?

インプラントはどのくらいもつ?

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

インプラントの寿命はどのくらいもつのか、その寿命が気になる方も多いでしょう。今日は、インプラント治療がどのくらいの期間もつものか、長持ちさせる方法についてご説明します。

インプラントの平均的な寿命はどのくらい?

インプラント治療は、失われた歯の機能や見た目を補うための治療法です。しかし、インプラントは永遠に機能するわけではなく、寿命があることも理解しておく必要があります。一般的に、インプラントの寿命は15〜20年とされていますが、正しいケアとメンテナンスをすればそれ以上の期間も十分に使用が可能です。

  • インプラントの平均寿命・・15〜20年
  • 適切なケアとメンテナンスによってもっと長持ちさせることも出来る

インプラントの寿命は、使用する材料、手術の精度、そして患者さんの日常的なケアに大きく影響を受けます。最新のインプラント技術を活用すれば、25年以上機能する場合もありますが、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることが寿命を左右する重要な要因となります。

インプラントの寿命に影響を与える様々な要因

インプラントの寿命には、さまざまな要因が影響します。寿命を短くするリスクは以下のようなものです。

歯磨きが正しく出来ていない

歯垢や歯石がインプラント周囲に蓄積されると、炎症を引き起こし、インプラントの寿命を縮める原因となります。

 

喫煙の習慣

タバコには血流を阻害し、口腔内の唾液を減らすニコチンやタールが含有されています。インプラント体を骨に埋める時のみ禁煙をし、手術が終わってからまたタバコを吸っているという方がおられれば、禁煙をおすすめします。

タバコにより血液の流れが悪くなると歯茎に栄養や酸素が行き渡らなくなり、自浄作用のある唾液の分泌が減るとインプラント周囲炎になるリスクが上がるという理由からです。

噛み合わせに違和感がある

インプラントと対合歯の噛み合わせが合っていないとインプラントに悪い影響を与えます。

咬む時に片側ばかり咬む・うつ伏せに寝る・頬杖などの日常の習慣でずれてしまいます。インプラントは骨に埋入しているため、力がかかってしまい、痛みを覚え、動揺や脱落を起こすという可能性があります。

歯ぎしりや食いしばりをしている

歯ぎしりや食いしばりの癖によって過度な力がインプラントに加わると、被せ物や周囲の骨にダメージを与え、寿命が短くなる可能性があります。

インプラントに日常的に強い力がかかってしまうと、インプラント体がぐらぐらし始める可能性がありますのでブラキシズムの自覚があれば、歯を守るためのマウスピースの使用をおすすめします。

糖尿病や骨粗しょう症・高血圧などになった

糖尿病などの慢性疾患を持つ患者さんは、インプラント周囲の組織の回復が遅れることがあり、寿命が短くなることが考えられます。

インプラント埋入時にはこのような全身疾患になっていなくても、その後疾患になる方もおられます。その場合、免疫力が低下するため、インプラント周囲炎を起こす可能性が通常の方と比べて高くなります。

インプラント周囲炎を引き起こした

インプラント治療後に最も気を付けなければいけない病気です。天然歯の方が歯周病になって悪化すると、歯が抜けてしまうのと同様で、インプラント周囲炎はインプラントの周囲で歯周病が起こる状態です。

食べかすが歯に付いたまま一定の時間が経過すると、最近の塊である歯垢(プラーク)に変わります。インプラント周囲の歯茎が歯周病菌に感染して炎症が起こります。インプラントの周囲で炎症が悪化するとインプラントがグラグラし始め、最終的には抜けてしまいます。

インプラントを長持ちさせるためのケア

インプラントは適切な処置を定期的に受け、きちんと口腔内の状態を管理できれば、10年と言わず更に長く保つことができる可能性があります。

正しい方法で歯磨きをする

しっかりと磨けていればインプラント周囲炎にはなりませんが、磨き残しがあると歯周病のリスクが高まります。磨き残しが起こりやすいのは以下のような場所です。

  • 舌側部分(歯の裏側)の奥歯が磨けていない
  • 頬側(歯の表側)の奥歯が磨きが足りず、歯垢が残っている

患者さんご自身の歯みがきの癖を知ることはとても大切なことです。

定期的に通院してメンテナンスを受ける

天然歯でも健康状態を維持するために痛みや腫れがある前に予防歯科へ行くことが大事です。インプラントも同じと言えます。定期健診は以下のような内容です。

  • インプラントや歯茎に異常がないかをチェックする
  • 噛み合わせが合っているかをチェックする
  • 歯垢や歯石を除去するクリーニングを行う
  • 歯磨き指導

定期健診の重要性とその役割

インプラントを長期間使い続けるためには、定期的な健診が欠かせません。専門の器械を使ってクリーニングしてもらうことにより、日常のケアでは取りきれない歯垢や歯石が除去され、歯茎の炎症を予防することが可能です。また、健診ではインプラント周囲の状態を細かくチェックし、早期の問題発見につなげます。

  • 3〜6ヶ月に一度の健診:インプラント周囲のチェックやクリーニングを受けましょう。
  • 早期発見・早期治療:健診で問題が見つかった場合には、早期に対応することでインプラントの寿命を延ばすことが期待できます。

トラブルが発生した場合の対処法

インプラントにトラブルが発生した場合、早めに歯科医院を受診し、適切な治療を受けることが大切です。以下は、よく見られるトラブルとその対処法です。

  • インプラント周囲の炎症・・歯垢や歯石が原因で炎症が起こる場合があります。歯科医院でのクリーニングと歯磨き指導で改善が可能です。
  • 被せ物の破損・・インプラント上部の被せ物が破損した場合、新しい被せ物に交換することで機能を回復できます。
  • 骨吸収・・インプラント周囲の骨が少しずつ減っていくケースでは、専門的な治療が必要になることもあります。

トラブルが発生した場合でも、早めに対応することで大きな問題に発展するのを防げます。

まとめ

インプラントは決して安い費用ではありません。インプラントを検討される場合は、「事故などなく症例数豊富な安全な医院か」「安心して治療をお任せできるドクターやスタッフであるか」など費用や治療計画以外にも大事なポイントがいくつかあります。 カウンセリングを行っている医院も多いので(当院は予約制で無料です)、一度お気軽にご相談ください。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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