インプラントの基礎知識

インプラントを30代でするのはOK?

インプラントを30代でするのはOK?

インプラントの治療を30代でおすすめされれば、ショックを受けられるかもしれません。毎日使用していた歯を突然虫歯や外傷などの原因で失い、インプラントが適切と言われてもピンとこない方がほとんどです。インプラント治療や、インプラントを長持ちさせるためにはどうすべきかなどについてご紹介いたします。

30代でインプラントはどうなの?

30代は性別問わず仕事や家庭、生活が安定し始める時期です。30代後半にもなれば自己の健康管理も考えるでしょう。目立つ部分の歯を失ってしまった30代の方は、将来的な健康と周囲からの印象や見た目の美しさを重視し、長期的な視点から歯の健康を守りたいとインプラント治療を考えることが多いです。

インプラント治療とは

生体親和性の高いチタン製の人工歯根(フィクスチャー)を歯肉に埋入する手術をして、骨と人工歯根の結合を待ち、連結部分(アバットメント)を人工歯根へ入れて歯肉との安定化を待ち、その後最終的な型採りをして作製した人工歯(上部構造)を入れる治療です。定期的にメンテナンスを受けることによるインプラント治療のメリットは下記のとおりです。

  • 長期的なコストパフォーマンス
  • 見た目の自然さと歯の機能の改善
  • 他の残存歯に負担をかけない

長期的なコストパフォーマンス

インプラントを埋入する際、初期投資は他の義歯治療(入れ歯やブリッジ)と比べて高いですが、適切なケアや定期的なメンテナンスにより、結果的にコストパフォーマンスが良くなることがあります。

自然な見た目と機能性

人工歯(上部構造)にオールセラミックやジルコニアセラミックの材料を選択すると、天然歯と変わらない自然な歯に近い見た目になります。また咀嚼機能を回復できるため、日常生活の質が向上します。

他の残存歯に負担をかけない

他の義歯治療である入れ歯やブリッジのデメリットは、他の歯に負担を掛けてしまうことです。入れ歯治療の場合、部分入れ歯は隣接する歯を支台歯とし、金属のバネをひっかけるため負担がかかります。ブリッジは隣接する歯を削って欠損した部分に連続した被せ物を掛けるため、隣接歯に大きな負担をかけてしまいます。

インプラント治療の対象年齢は?

インプラント治療を受ける対象年齢については、30代は対象ではないのでは?と気にされるかもしれません。顎の骨の高さや厚みや質がきちんとあれば、インプラント治療は18歳から受けることができます。仕事や結婚などライフスタイルの変化で忙しくなることが多い30代は、歯の痛みがないと定期健診へ行かず後回しにしてしまい、ある日突然痛みや膿が出て気付いたら重度の虫歯になって、対処に長い期間がかかることがあります。インプラント治療は麻酔を伴う手術を行うため、それに耐えうる体力も必要なので、30代でインプラントを行うのは問題ありません。

30代でインプラント治療を受けるリスクは?

30代でインプラント治療を受けるリスクについてご紹介いたします。

  • 外科手術後に起きうるリスク
  • 煙草を吸わないよう健康管理の可否
  • 金属アレルギーかどうか

外科手術後に起きうるリスク

顎骨に穴を開けて人工歯根を埋め込むため、麻酔が切れた後に痛みや腫れが出ることがありますが、痛み止めやなど処方された薬を服用していると問題はありません。最も怖いのが、手術の際に神経や血管を傷つけてしまうことです。歯科用CTやインプラントガイドなどで予め患者さんの神経や血管の位置を把握しておくと、このような問題は起きません。ドリルで穴を開ける際に低速のスピードで、冷水や生理食塩水で冷やしながらと穴を開けると問題ありませんが、高速で穴を開けると骨火傷(オーバーヒート)になり組織が壊死し、インプラントと骨の結合も行えません。

煙草を吸わないよう健康管理の可否

喫煙をする方は煙草に含有される成分により、体の血流が悪くなります。口腔内も例外ではなく、血の流れが悪くなることで骨とインプラントが結合しづらくなります。結合する期間だけ禁煙し、インプラント埋入後に喫煙を再開すると、非喫煙者に比べてインプラント周囲炎になる確率が高くなります。唾液の分泌量も非喫煙者より減少するため、自浄作用が低下し、細菌の増殖を助長する口腔環境になります。

金属アレルギーかどうか

インプラントは、生体親和性の高い体になじみやすいチタンで作製されています。金属アレルギーの方でもチタンならば問題ないという方がおられますが、まれにチタンに対してアレルギー反応を起こす方がおられます。その場合は、インプラントを撤去しなければならず、心身ともにダメージが大きいです。ご自身の体の状態をよく知っておくことが大切です。

インプラントを長く保てる30代の方とは

インプラントは、ブリッジや入れ歯よりも、10~15年程度保つことが出来る義歯治療です。しっかりとメンテナンスを行うとそれ以上長い期間インプラントを保つことが出来ます。費用の面から考えても長期的な視点でお口の健康を保てるインプラント治療を行うと、他の義歯治療より安定しているため、見た目も気にならなくなります。

インプラント治療前に検討すべきこと

インプラントは保険適用外の自費診療です。具体的な費用と治療期間を理解し、計画的に治療を進めることはもちろんですが、 自分の状態に最適な治療法を選択するためには、信頼できる歯科医師を見つけてしっかり治療計画について相談することです。

参照先:厚生労働省

まとめ



30代でインプラント治療を受けるかどうかは、個人のライフスタイル、健康状態、経済状況によって異なります。インプラントについて適切な情報を得て、歯科医院のインプラントの症例数や経験豊富なドクターか相談の際に確認し、自分にとって最良の選択をすることが重要です。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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