オールオン4

オールオン4とは?

オールオン4とは?

歯を失うと、食事や会話に支障をきたすだけでなく、見た目にも大きな影響を与えます。総入れ歯を装着する方も多いですが、動きやすかったり、固定が難しかったりといった問題に悩む方も少なくありません。そこで登場したのが、少ないインプラント本数で安定性と審美性を実現する「オールオン4」です。特に総入れ歯が必要な患者さんに適しており、快適な噛み心地を提供しながら、治療期間や負担を大幅に軽減できます。

オールオン4とは何か?

オールオン4

オールオン4は、総入れ歯や複数の歯を一度にインプラントに置き換える治療法です。従来のインプラント治療では、失われた歯1本ごとにインプラントを埋め込むのが一般的でしたが、オールオン4では4本のインプラントで上下の上部構造を支え、自然な噛み心地や審美性を回復します。この治療法は主に総入れ歯の患者さんにとって有効で、入れ歯に不満を持つ方やしっかりした噛み合わせを求める方にとっても優れた選択肢です。

オールオン4が生まれた背景

総入れ歯に対して機能面や審美面で不満を持つ患者さんは一定数おられます。また、歯周病や加齢による歯の喪失が増える中で、従来の義歯よりも自然な見た目と機能を提供するインプラント治療が注目され、多くの方が治療を受けるようになりました。

しかし、本数が多くなると、インプラントはコストや治療期間がかかるため、患者さんへの負担が課題でした。そこで、少ない本数のインプラントで12本分という広範囲の上部構造(人工の歯)を作るオールオン4が開発され、患者さんの負担軽減を実現しました。

オールオン4の仕組みと特徴

オールオン4

オールオン4の治療は、従来のインプラント治療法と異なり、少ないインプラント本数で12本の歯を作ることが大きな特徴です。この治療法は、主に以下の3つの仕組みと特徴に基づいています。

1. 最小限のインプラント本数で全体を支える

オールオン4は、上下顎それぞれに4本のインプラントを埋め込むことで、義歯全体を固定します。従来のインプラント治療では、欠損した1本ごとにインプラントを埋め込む必要がありましたが、オールオン4では最小限の本数で全体の安定性を実現するため、患者さんの費用負担が軽減され、治療にかかる時間も短縮されます。

2. 斜め方向のインプラントで安定性を確保

オールオン4オールオン4では、前方(前歯側)のインプラントを垂直に、後方(奥歯側)のインプラントを斜めに埋入します。この「斜めインプラント」の技術により、後方のインプラントは骨の厚みのある部位を選んで埋入することが出来、しっかりと固定されて上部構造全体の安定性が増します。

また、斜めの配置により、上顎洞や下顎の神経を避けることができると共に、追加の骨移植を不要にする場合が多く、治療のリスクや時間を抑えられます。

3. 即時負荷による治療期間の短縮

オールオン4では、多くの場合、手術当日に仮歯を装着する「即時負荷」が可能です。これにより、治療期間中でも患者さんはすぐに噛む機能を取り戻せるため、食事や日常生活にほとんど支障がありません。また、仮歯の装着後にインプラントと骨がしっかりと結合することで、最終的な義歯が装着されるまで安定した使用感が保たれます。

このように、オールオン4は少ないインプラント本数で自然な機能と見た目を取り戻せるため、総入れ歯に不満を持つ患者さんにとって、快適で効率的な選択肢となります。

オールオン4のメリットとデメリット

オールオン4の治療にはいくつかのメリットとデメリットがあります。

メリット

  1. 治療本数が少ないため、手術の負担が少ない
  2. 治療期間の短縮通常、即日仮歯の装着が出来る
  3. 自然な見た目と快適な噛み心地の回復が可能
  4. 上部構造によってきれいな色と歯並びになり、見た目が良くなる

デメリット

  1. 適応条件に制限があり、すべての患者さんが受けられるわけではない
  2. 後方のインプラントを斜めに埋め込むため、熟練した技術が必要
  3. 上部構造の歯磨きを怠ると歯周病のリスクが高まる

オールオン4の適応条件と向かないケース

女性

オールオン4はすべての患者さんに適しているわけではなく、以下の条件を満たす方に向いています。

  • 多くの歯を失った方・・特に総入れ歯の方や複数の歯が欠損している方に有効
  • 顎骨の厚みがある方・・後方に埋め込むインプラントの支えが必要
  • 日常的なメンテナンスができる方・・汚れがついて歯茎に炎症が起こるのを防ぐため、定期的な健診と毎日の歯磨きが必要です

逆に、以下の方には向かない場合があります。

  • 顎骨の厚みが不十分な方・・骨の厚さが足りない場合、インプラントが固定しにくい
  • 高血圧や糖尿病などで手術が難しい方・・持病によっては手術が制限されることがあります

オールオン4の治療の流れ

オールオン4の治療は、一般的に以下の手順で進みます。

  1. カウンセリングと検査・・患者さんの口腔状態を確認し、インプラントの位置をシミュレーションします。
  2. インプラント手術・・上下顎にそれぞれ4本のインプラントを埋め込みます。
  3. 仮歯の装着・・手術直後に仮歯を装着することで、即日から食事や会話が可能です。
  4. 最終義歯の装着・・インプラントが骨と結合した後、最終的な義歯を装着します。

治療後のメンテナンスとケアの重要性

メンテナンス

オールオン4の成功には、治療後のケアが欠かせません。以下のポイントを守ることが重要です。

  • 毎日の歯磨き・・歯垢がたまると歯周病のリスクが高まるため、丁寧なデンタルケアが欠かせません。
  • 定期健診・・インプラントの安定性やお口の健康状態を確認するために、健診を受けることが推奨されます。
  • 食生活の注意・・インプラントが骨の中で安定するまでは硬い食べ物を避け、インプラントの負担を軽減することが大切です。

まとめ

オールオン4は、少ない本数のインプラントで12本分の安定を保つ画期的な治療法です。治療後は、毎日の歯磨きや定期的な健診が必要で、適切なメンテナンスが長期間の成功を左右します。患者さんにとっては、治療後の噛み心地や見た目の向上が得られるメリットが大きく、総入れ歯や従来のインプラントに代わる有力な選択肢です。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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