インプラント

歯を失うこととストレスの関係は?

歯を失うこととストレスの関係 歯を失うということはどなたにとっても相当なストレスとなると思います。患者さんの中には、歯を失ってから入れ歯になった場合に、家族にも入れ歯だと知られたくない方や、友人との旅行の際に入れ歯だとわかるのが怖くて旅行は断る方もおられます。

歯を失ってからのストレス

歯を失って入れ歯になると、人と会って話すときにも入れ歯が気になって、次第に口元を手で覆って隠したり小声で話したりするようになる方が多いようです。それがエスカレートすると人と会うのが嫌になるという状態になります。

入れ歯をインプラントに変えたいとおっしゃる方のほとんどは、入れ歯での生活にストレスを感じており、インプラントが入れ歯によるストレスを消し去ってくれることを期待しておられます。

そのような患者さんには、表情が沈みがちで活力も乏しい雰囲気の方が多くみられます。インプラントの治療を始めて間もないころは、その表情に変化はあまり見られません。遠くから通院されている方も多く、通院そのものが大きな負担になっているケースがあるからです。

それでも続けて来院される患者さんには、一種の決意のようなものを感じます。そして治療する私達も何としてもインプラントでの治療を成功させねばという、強い使命感を感じます。

インプラント治療による患者さんの心境の変化

治療が進んでいき、埋入したインプラントに仮歯がついて、実際に噛めるようになった瞬間に、患者さんの表情が変わります。

それまでは多分、本当に噛めるようになるのか不安に思われていたのだと思います。高額な費用と長い期間をかけての治療ですので、先が見えない不安感は相当なものだと思います。

硬いものが噛めないので毎日柔らかいものばかり食べていた患者さんが、ある日、しっかり噛んで味わいながら、なんでも好きなものを食べられるようになります。再び噛めるようになったことの喜びは、人間の本能的なものなので、理屈ではありません。

まさに、言葉に出来ない程の喜びなのだとお察しします。インプラント治療の成功は私たちにとっても本当にうれしいことなのです。

ストレスと免疫、そして歯の関係

精神的に大きなストレスを抱えることが原因で、身体の抵抗力が低下してしまうことは、今や常識となっています。

ストレスがどの程度体調に関係するかは、入院患者さんが一時帰宅を許された後に病院に帰ってこられた時の表情を見れば良くわかります。患者さんは喜びに満ちたお顔をされ、目が輝いており、病状まで良くなっている場合が少なくありません。

また別のお話になりますが、会社で賃上げ闘争をしていた労働組合員のうちの4分の1の人たちに、腺窩性扁桃炎という感染症の集団発生が起こりました。患者さんたちの間には、同じ飲食物の摂取や同じ場所に長時間いた等の共通の特徴はみられず、その家族や会社の管理職の人たちは発症しませんでした。ストレスを受けていた組合員にのみ発症したという興味深い結果が見られます。

更に、最近ではストレスが自律神経を介してアトピー等のアレルギーを引き起こしやすいことや免疫力の低下が脳の働きにまで影響するという研究結果も報告されています。

ストレスは歯の疾患とも無関係ではありません。強いストレスを受けたタイミングで歯がうずいたり炎症を起こしたりする方は大勢おられますし、ストレスによって歯のくいしばりや歯ぎしりが起こり、歯を痛めることになる場合もあります。

一億総ストレス社会とも言われる昨今、ストレスから自分の身を守ることは本当に重要なことといえます。

ストレスと口の健康

ストレスと口の健康の関係には密接な関係があり、心身にストレスがかかることで、身体に様々な症状があらわれてきます。

口の健康に関することだけでも、ストレスによる免疫低下が歯周病に繋がったり、ストレスによる歯ぎしり・食いしばりが顎関節症を引き起こすこと、更にはストレスによって、お口の内に分泌される唾液の質が変化し、虫歯になりやすくなることもわかっています。

まとめ

歯科治療の目的の一つに、患者さんのQOL(Quality of Life)をあげるということがあります。QOLは 「人生の質」、「生活の質」とも訳され、私たちが生きる上での満足度をあらわす指標のひとつといわれています。
歯に関しては、患者さんだけで調べたり行動されることは難しいです。ぜひ歯科医師や歯科衛生士を頼っていただきたいと思います。