インプラント

インプラントに副作用はあるのか?

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

インプラント治療にはいくつか副作用とリスクがありますので、ご説明します。

インプラント治療の副作用とリスク

インプラントで起こりうるいくつかの副作用とリスクについてご説明します。

1. 術後の腫れ・内出血がある

インプラント手術の際に起こるというよりも、あごの骨が少ない方に起こりやすい症状です。あごの骨が少ない方は、インプラントをご希望されても、直ちに治療を行えません。先に、あごの骨を増やしてから、インプラント治療を行います。

あごの骨が少ないまま、無理にインプラント治療を行うと、フィクスチャーという人工歯根が口腔内に出してしまいます。安定性という面はもちろん、衛生状態という面においても良くありません。

しっかりと噛む事が出来るインプラントにするため、あごの骨が少ない方に厚みを出すため、増骨する処置を行うときに起こりやすい症状です。

2. 骨とインプラントが結合しない

あごの骨の量についてはCTで撮影する事により確認を行いますが、稀にあごの骨の質が悪い方は結合しない状態になります。また、インプラントを入れるために注水しながらドリルを使用しますが、水の量が少ないとオーバーヒートという現象が起こります。

簡単に言えば骨がやけどした状態になってしまい、インプラントが結合できない原因になります。

3. 神経を傷つけてしまい麻痺が起こる

上顎には、上顎洞という穴が鼻の横にありますが、下顎の骨には血管や神経が通っている箇所(下顎管)があります。その箇所にインプラント治療で穴を開けてしまうと、動脈や静脈の損傷による過大な出血や痛み、神経を傷つけることによる麻痺が起こってしまいます。

インプラント治療のための精密検査(CT撮影)で、下顎管の位置を歯科医師が確認することが、肝要です。 万が一、神経損傷による麻痺が起きたケースの治療法は、神経を回復するために速やかに投薬(ビタミンB12やステロイドホルモンなど)を行い、治療をします。

4. インプラントが病気で脱落した

インプラント手術直後は、インプラント部分の歯磨きができないので、殺菌効果のあるうがい薬で口をゆすいでもらいます。このうがいを忘れて寝てしまうと、口腔内の最近は増殖し、感染を引き起こす可能性があります。歯周病に感染してしまうと、インプラント埋入部分が固定されずぐらつき、脱落を起こしてしまいます。インプラント周囲炎と一般的には呼びます。

インプラントについて

インプラントの構造

インプラントとは、むし歯や歯周病、もしくは事故などにより、抜歯・歯を失った箇所に、人工歯根(インプラント体)をあごの骨に埋入し、土台(アバットメント)を差し、被せ物(上部構造)を被せる処置です。人工歯根は、骨と結合しやすい(生体親和性が高い)チタン製、被せ物は強度や審美性の高いジルコニアセラミックやセラミックが使用されることが多いです。

▼インプラントについてはこちらで詳しく説明しています。

インプラント治療の大まかな流れ

インプラント治療の流れ

インプラント治療の流れとしては、歯肉を切開してあごの骨に穴を開け、フィクスチャーを埋入し、縫合します。ここまでが一次手術です。 日が経過し、骨とインプラントが結合したかどうかをドクターが確認すれば、二次手術を行います。

もう一度歯肉を開き、人工歯根とかぶせ物を繋ぐアバットメントを入れます。歯肉をもどして傷が治まっているかを待ち、型取りを行い被せ物を装着すれば、インプラント治療は終了します。

▼インプラントの治療の流れについてはこちらで詳しく説明しています。

https://www.kitaosaka-implant.com/implant_guide/impg_nagare.html

インプラントのメリットと特徴

ここまで、インプラント治療で起こりうる副作用やリスクについてご説明しました。 ただ、インプラント治療を行えばこれらが全て起こるわけではありませんし、きちんとしたクリニックで受ければ、リスクを減らすことができます。ここからは、インプラントのメリットともいうべき特徴をご紹介します。

メリット①他の残存歯を長く保つことができる

インプラントと入れ歯・ブリッジとの大きな違いは、周囲の歯の健康を損ねないことです。 入れ歯やブリッジは、隣の歯を支台にしなければなりません。隣の歯は、部分入れ歯のバネがかかったり、ブリッジのために削らないといけないからです。

健康な歯を削り支台にすると、支えなければならない歯の力がより負担になり、同じ末路をたどってしまいます。 インプラントは人工歯根を埋入するため、他の歯に負担をかけることがありません。きちんと、ご自身でのお手入れやメンテナンスのための定期通院を欠かさなければ、他の永久歯と同様に長持ちすると言われています。

メリット②機能復活ときれいな審美性の歯になる

噛む力を持つ審美的な歯になるのもインプラントの特徴です。入れ歯には噛む力が弱いというデメリットがあります。 その点、インプラントは永久歯と変わらない咬合力を保ちます。

保険適用内の入れ歯の場合、入れ歯を作製する際に使用できる材質に限りがありますが、インプラントは自費治療のため多くの素材から選べます。保険適用のレジン(歯科用プラスチック)は、吸水性などから数年で劣化をしますが、自費診療で使うセラミックの被せ物は硬くて天然歯と変わらない審美性を持ち、経年劣化しないため綺麗な白さを保つことができます。

インプラントの副作用に関するQ&A

インプラントの副作用はありますか?

インプラントには副作用はほとんどありませんが、治療においていくつかのリスクが存在します。これらのリスクには、術後の腫れや内出血、骨とインプラントの結合が不成功となる可能性、神経を傷つけてしまい麻痺が起こるリスク、そして感染によるインプラント脱落が挙げられます。

インプラント治療のリスクを減らす方法はありますか?

インプラント治療のリスクを減らすためには、経験豊富な歯科医師が治療を行うことが重要です。また、治療前にCTなどの精密検査を行い、患者のあごの骨の状態を詳しく把握することが大切です。さらに、治療後の適切なケアと定期的な通院もリスクを軽減する手段となります。

インプラントの特徴的なメリットは何ですか?

インプラントの特徴的なメリットはいくつかあります。まず、他の残存歯を保つことができる点が挙げられます。隣接する歯を支台にしないため、周囲の歯に負担をかけることなく永久歯と同様に長持ちするとされています。また、咬合力を保ち審美的な歯になることも特徴の一つです。インプラントは噛む力を持ち、美しい審美性を持つ歯として機能復活させることができます。

まとめ

インプラントは失った歯を補うための大変優れた治療法です。インプラント手術はきちんとした環境の歯科医院で、経験豊富な歯科医師が丁寧に手術を行えば、リスクをなるべく低下させることができます。インプラントを検討される際は、何院かカウンセリングに行き、治療方針やクリニック、医師やスタッフに信頼がおけるか、相談の際に確認することをおすすめします。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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