インプラント

インプラント手術には入院が必要ですか?

インプラント手術には入院が必要ですか?

大阪インプラント総合クリニック 歯科医師 松本 正洋

外科手術と聞くと、入院が必要!?と思い、不安になられるお気持ちはわかります。でも、ご安心ください。インプラント手術の場合は、一次手術でも、二次手術でも入院の必要はありません。日帰り手術で大丈夫です。骨を作る処置をした場合も同様です。

インプラント手術は入院の必要なし

日帰り手術が一般的

インプラント手術は通常、局所麻酔を使用して行われます。1本または数本のインプラントを埋入する場合、手術は1〜2時間程度で完了し、術後の経過が良好であれば、その日のうちに帰宅することが可能です。

日帰り手術が主流であり、特に健康状態に問題がない場合は入院の必要はありません。

インプラント手術に入院は必要ありません

インプラントの埋入手術は30分程度で、骨の再生治療を同日に行った場合でも1~2時間程度で手術が終わります。

インプラントの埋入本数が多い場合はそれだけ手術時間もかかりますが、入院が必要になることはありません。来院からお帰りまで2時間から3時間程度の方が多いです。

インプラント手術に入院が必要ない理由

インプラント手術は、基本的に「日帰りで行うことが可能」です。入院が必要ない理由は、以下のようなものがあります。

1. 最小侵襲手術であるため

インプラント手術は、「歯茎を切開して顎骨に人工歯根(インプラント)を埋め込む手術」ですが、最新の技術や機器を用いることで、必要な部分だけを最小限に切開することが可能です。

  • 治療が局所的・・患部に限られた処置のため、全身に及ぼす負担が少ない。
  • 短時間で完了・・通常、1本のインプラント埋入にかかる時間は30分〜1時間程度です。

その結果、患者さんが大がかりな手術と感じることは少なく、日常生活に与える影響も最小限です。

2. 局所麻酔で行われる

ほとんどのインプラント手術は、局所麻酔で行われます。

  • 全身麻酔が不要・・全身麻酔に比べてリスクが低く、術後の回復も早い。
  • 意識がある状態で手術・・手術後すぐに歩行や帰宅が可能。

局所麻酔の使用により、患者さんの身体的負担が軽減され、入院の必要性がなくなっています。

3. 術後管理が容易

インプラント手術後のケアも比較的簡単です。

  • 傷口が小さい・・大きな切開や縫合を伴わないため、出血や腫れが少ない。
  • 薬で対応可能・・痛みや炎症には、処方された鎮痛薬や抗生物質で対応できます。
  • 術後の診察で十分・・術後は定期的な健診で経過を確認するのみで、特別な入院治療は不要です。

4. 最新技術による安全性の向上

インプラント手術は、デジタル技術やCTスキャンの進歩により、事前のシミュレーションが可能になっています。

  • 精密な計画・・事前に手術箇所の骨の形状や神経の位置を詳細に把握できる。
  • ガイドシステムの利用・・専用の手術ガイドを使用することで、正確で安全な処置が実現。

このような技術が、短時間で安全に手術を行える理由となっています。

5. 他の歯科手術との比較

従来の歯科手術(親知らずの抜歯や歯周病治療など)と同様に、インプラント手術もクリニックや専門施設で行える日帰り手術に分類されます。

入院を伴う手術と異なる点

例えば、顎骨の大規模な再建手術などは全身麻酔と入院が必要になる場合もありますが、インプラント手術ではそれほど大がかりな処置を行うことはありません。

麻酔と手術後の休憩について

通常のインプラント手術は局所麻酔で行いますので、術後もフラフラするようなことはありません。静脈内鎮静という点滴麻酔を使ってインプラント手術を行った場合は、麻酔がさめきるまで少しフラフラするかもしれませんので、院内で少し休んでいただいた後に、患者さんの状態を見て、お帰りいただいております。

▼インプラント手術中の麻酔についてはこちらでまとめています。

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麻酔が残っている場合には少しお休みになってからお帰りになることをお勧めしておりますが、殆どの方がご来院からお帰りまで2時間から3時間程度です。二回法の二次手術は簡単な処置ですので、約30分くらいです。インプラントの埋入本数が多い場合はもう少し時間がかかります。

ただ、患者さんは緊張されたりストレスを受けたりしてお疲れだと思いますので、院内で少し休憩してからお帰りになることをお勧めしています。

手術後は院内にて少し休憩していただきますが、その後は普通に徒歩や交通機関を使ってお帰りになれます。インプラントの埋入本数が多い場合は、ご家族に付き添っていただいたり、タクシーなどでお帰りになるよう事前にお勧めしております。

インプラント手術後の過ごし方

帰宅されてから数日間はインプラントをした部分に刺激を与えないように、やわらかめの食事をしていただいたり、歯みがきはせずに軽いうがいで済ませるなど、いくつか注意点があります。

傷口が治りやすいように、心身共にあまりストレスのかかることはしないなど、出来るだけ身体をいたわっていただいた方が良いと思いますが、家の中でずっと横になっていなければいけないとか、仕事に行けないということはありません。

ただし、運動や入浴は避けて、安静に過ごしてください。これは激しい運動や入浴によって血の巡りが良くなり、出血するのを避けるためです。飲酒も当日は避けてください。喫煙はインプラントが骨と結合しにくくなりますので、出来る限り避けてください。

▼手術後の注意事項についてはこちらでまとめています。

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インプラント手術に入院が必要なケースはありますか?

一般的に、インプラント手術は日帰りで行えますが、特殊なケースでは入院が必要となることもあります。

1. 全身麻酔を使用する場合

通常、インプラント手術は局所麻酔で行われますが、以下のような場合には全身麻酔が必要になり、入院が求められることがあります。

恐怖心が強い患者さん

手術に対する強い不安や恐怖心がある場合、全身麻酔を選択することがあります。

長時間の手術

複数本のインプラント埋入や、骨造成を伴う大がかりな手術の場合、全身麻酔が適用されることがあります。

医療安全上の理由

既往症があり、麻酔の管理を慎重に行う必要がある場合、全身麻酔下で安全を確保するため入院することがあります。

2. 骨造成などの大規模な処置を伴う場合

骨造成やサイナスリフトなど、インプラント埋入前に顎骨を増やす手術が必要な場合、処置が大規模になることがあります。

顎骨の移植手術

他の部位(腰や顎)から骨を移植する場合、入院が必要になることがあります。

副鼻腔(サイナス)への影響

サイナスリフトで副鼻腔に対する大規模な処置を行う場合、術後の観察のため入院するケースがあります。

3. 全身疾患がある場合

以下のような全身疾患を抱えている患者さんでは、術中や術後の管理が慎重を要するため、入院が勧められることがあります。

心臓病

心臓ペースメーカー装着や狭心症、心筋梗塞の既往がある場合、医療機器の影響を最小限にするため入院環境での手術が選ばれることがあります。

糖尿病

術後の感染リスクが高いため、入院して術後の管理を行う場合があります。

血液疾患

血液凝固機能の異常がある患者さんは、術後の止血管理のため入院が必要になる場合があります。

4. 複数本のインプラントを一度に埋入する場合

フルマウスリコンストラクション(口内全体の再建)のように、多数のインプラントを同時に埋入する大規模な手術では、以下の理由で入院が必要になる場合があります。

  • 手術時間が長く、患者さんへの負担が大きいため。
  • 術後の腫れや痛みの管理が必要なため。

5. 高齢者や特別な配慮が必要な場合

高齢の患者さんや身体的なハンデがある患者さんでは、手術後の経過観察や全身状態の管理のために入院が必要になることがあります。

  • 高齢によるリスク増加・・全身状態が安定しない場合、術後の回復状況を確認するための入院が推奨されることがあります。
  • 介助が必要な場合・・手術後に一人で日常生活を送ることが困難な場合、短期入院が勧められることがあります。

6. 感染症や合併症のリスクが高い場合

インプラント手術は清潔な環境で行われますが、以下の場合には感染症や合併症のリスクを最小限にするために入院が必要になる場合があります。

  • 免疫力が低下している場合・・抗がん剤治療中や、免疫抑制剤を使用している場合。
  • 術後の感染が懸念される場合・・歯周病の既往があり、感染リスクが高い場合。

まとめ

このように、インプラント手術は決して入院が必要なほどの大掛かりなものではありませんのでご安心ください。大部分の歯科医院で、患者さんに対して手術後の注意についての印刷物をお渡ししていると思います。いくつかの注意点はありますが、それに従って過ごしていただけましたら、普通に生活が出来ます。

また、緊急に相談したいことが起こった場合も、歯科医院に電話やLINEで問い合わせが出来ますので、ご心配には及びません。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。インプラントの認定多数。IDIA(International Dental Implant Association国際インプラント歯科学会)認定医。I.A.A国際審美学会理事。日本抗加齢医学会認定専門医(日本アンチエイジング学会)。

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